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スワロとご主人 〜スワロと夏のおこづかい帳〜  作者: 渡来亜輝彦


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21/33

20:ラッピングぷろじぇくと(包み紙)

「スワロちゃん、お小遣い、貯まった?」

 ウィスにたずねられて、スワロは持ってきていたおこづかい帳をみせます。

「わあ、かわいいわね。きれいにシールも貼れてるし」

 えへん。

 スワロも、ウィスにもらったシール貼って可愛くしたんですよ。

 ご主人がお仕事の後、立ち寄ったバーにちょうどウィステリアが来ていました。ご主人とお仕事のお話の後、ウィスはスワロとお話ししてくれます。

「あと三千円くらいか。もうすぐだね」

 そうなんです。ウィスのおかげもあって、もうちょっとでゴールです。ただ、ちょっと足踏み中なんです。

「そうだ。買うものはブローチなんでしょう。ラッピングは決めてあるの?」

 ラッピング!?

 そうか、ラッピング……それは盲点でした。

「お店の人もしてくれると思うけれど、旦那の行きつけの仕立て屋さんよね。あそこのオヤジさん、そんなにかわいいラッピングしてくれる感じじゃないかな」

 うん、スワロもそう思います。

 いや、別に、かわいいのが似合わないご主人に渡すんですから、かわいくなくてもよいんですが……、おこづかい帳もこんなにかわいくしたのに、プレゼントが箱だけはさみしい気がしますね。

「それなら、明日、あたしとラッピングを見にいく? 前もって準備していても良いかもしれないもんね」

 それは願ってもないです。ウィスならかわいいの、選んでくれそうですもん。

「お前ら、なにこそこそ話してるんだ?」

 獄卒仲間と談笑していたご主人が、ふとこちらにやってきました。

「なんでもないわよ。明日、スワロちゃんとお出かけしていい? 服を買うんだけど、スワロちゃんの意見を聞きたくて」

「はァ? 勝手に好きにしろよ」

 ご主人はぶっきらぼうに答えますが、スワロは知っていますよ。ご主人、スワロとお出かけするのを許可してくれる相手のことは、信頼してますからね。



 翌日、スワロはウィステリアとおでかけしました。

「あの店頭に置いてある観覧車のブローチね。あれ、とても素敵だし、旦那にとても似合いそうだわ」

 ウィスとスワロは、仕立て屋さんのショーウィンドウをちらっとみてきました。道から見えるところにあのブローチがあります。

「スワロちゃんのピンバッジと一緒なんだね」

 はい。この間もらったピンバッジです。

 スワロは、今日はほんのり『すちーむぱんく』な雰囲気のかわいい帽子を被せてもらいました。そこにあのピンバッジを飾ると、とても良い感じです。

「箱に入れてくれるだろうから、包装紙でつつんでリボンをかけましょうか。どんな柄にする? 男性向けだと色はブルー系? でも、旦那は暖色系のも好きそうだよね」

 ウィスにそうきかれて、スワロも迷ってしまいます。ご主人は確かに派手な色が好きだから、目立つ包装紙でもとても喜んでくれそう。

「リボンやシールなんかに凝ってみるのもよいわよね。タグとかメッセージカードつけたり」

 うんうん。それはおしゃれで素敵です!

 ラッピングするだけでこんなにたくさんあるなんて、奥が深い世界ですね。

 と、不意にウィスに電話がかかってきました。

 慌ててウィスが電話に出ます。

「ああ、そう、わかったわ」

 お仕事の電話みたいです。

「それは困るわね。そこのあたしの伝えていた件については、準備ができて? そこはしっかりしておいて欲しいわ」

 ウィスはお仕事の電話が入っています。

「やり方は伝えていた通りよ。そこのところは、全部つぶしてあるし、情報も伝えてる。後はそちらでよろしくね」

 ウィステリアは、そういう時はキリリとしています。姐御肌の気の強い女性という感じです。ステージ衣装も色気のある感じで、お仕事の服もビシッとした服が多いのです。

 ウィスのことを、ちょっと怖いやりてのおねえさんだと思っている人は、結構多いと思いますが……。

「あっ、ごめんね。スワロちゃん。電話が入っちゃって。さ、行きましょう!」

 ウィスは、今日はフェミニンな印象の、大人っぽくも可愛らしいワンピースを着ています。

「あっ、これ。に、似合わないかな?」

 そんなことないです。ウィスにはよく似合っていますよ。

「そうかな。ありがとう。あたし、かわいい服も着てみたいんだけど、普段がああだからね」

 ウィスは、そう言ってちょっとほおを赤くします。

「今日はスワロちゃんの帽子がとてもかわいいから、あたしもかわいいので合わせて良いかなって思って、せっかくだから着てみたんだ」

 ウィステリアは、本当は、お嬢様みたいな子なんです。本当は姐御っぽいのも、セクシーな歌姫なのも、がんばってそうしているってスワロ知っています。

 本当はかわいいお嬢さんなのに、クールな包み紙で自分をラッピングしてるんだなって思います。それだけに、ウィスがスワロにはお嬢様なところを見せてくれるの、なんだか心開いてもらってるみたいで嬉しいです。

「色んな包装紙があるもの。お店で色々みてみましょう」

 ウィスの提案に、スワロがそうのりかけたところで、不意に角でばったりとご主人と会いました。

 あれ、来ていたんですか?

「あ、あー、その、近くを通りかかったら、スワロを見つけたから、お、お前らが仲良くやってるかな……と思って」

 ご主人、わかりましたよ。

 スワロとウィスが心配になって、こっそり着いてきたんです?

 かほごですね! 

「いやその、ウィスの着ているものの雰囲気違うからよ、見間違えたと思ってな。スワロも見失ったので帰ろうかと思ったとこだったんだよ」

「あ、そ、そうだったわね。に、似合わないかな?」

 ウィステリアにそういわれて、ご主人は珍しく、

「そ、そんなことねえよ。だ、大体、服くらい、好きな服着りゃいーじゃねえか」

 ご主人、珍しく悪態つきません!

 ここで悪態ついたら、さすがにスワロも制裁加えようと思いましたよ。

「その、普段の服より、いいんじゃねえか」

 ちょっとウィスがほおを赤くします。

「じゃあな、俺は用事済ませて帰るから」

 ご主人、なんやかんやで挙動不審に帰ってしまいましたが。

 そうだ、ご主人、かわいいのが好きですもんね。

 ご主人は、ウィスのステージ衣装に難しい顔していることがありますが、多分、素のお嬢様なおようふくのウィスがすきなんだと思います。

 ご主人は、ウィスが本当はかわいいお嬢さんなんだってわかってるのかな。ちょっと見直しますね。

 でも、やはりそれなら、ラッピングはかわいいのにしましょう。レースとかもつけても良いですよ。

「えっ、かわいいの? 旦那、そんなので良いかな?」

 我に帰ったウィスがそう尋ねてきました。

 大丈夫です。ご主人、かわいい方が好きですもの。


スワロのおこづかい帳

残高:6,800円(+300円)

メモ:ウィスから暗号文の解読のお仕事を受けました。今回は簡単だったのでちょっぴりだけ報酬をもらいましたよ。あと、新しいキラキラシールももらいました。うれしいので早速貼ってしまいます!

目標まで3,200円

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