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第2話

「なあリボルー。そろそろ良くない? 半分くらい書いたし疲れたよー」


「物語の大まかな流れを私が作って、司織はそれに沿って小説に変えているだけだからそこまで疲れないと思うのですが」


「俺はリボルみたいに無尽蔵な体力はないし、しっかりとした文章に変えるのも結構大変なんだぜー。なあ、今日はもう終わりにしようぜ、な?」


「……はあ。仕方ないですね。今日は終わりでいいですよ。明日もこのペースでやれば終わる予定にはなっているので」


 リボルは俺がこうやって何度もお願いすれば、いつも折れてくれる。ちょろいと言ったらちょろいのかもしれない。……って、明日? 今日は何曜日だっけ? スマホのカレンダーを急いで確認する。


「明日月曜じゃねーかー! 学校があるから今日と同じようになんか無理だっ!」


「あ、そうでした。明日は学校でしたね。これはごめんなさい」


「それ絶対わかってて言ってたやつじゃん! 許さんぞー」


 きれいに頭を下げたリボルに飛びかかる。だが、横にすっと避けられて俺はそのまま、後ろにあったベッドに頭から突っ込む。


「お、お前どこに目をつけてんだよ、」


 痛む鼻を抑えながらなんとかリボルの方に向く。


「私はAIなので360度全方向把握しています」


「それもう何度も聞いた、あ」


「じゃあ、なんで学ばないんでしょうね」


 もう一度リボルに飛びかかろうとベッドから飛び起きる。が、また躱されて今度は地面に墜落する。


「もうやめてくださいよ。けがの手当てするのは面倒ですよ」


 俺はこうやってリボルとわちゃわちゃするのが好きだ。窓の外に見える太陽が雲に隠れていった。



                   *



 六時四十五分。リボルに起こされて俺は起きた。


「そろそろ起きてください」


 機械特有の冷たい手を感じる。ひんやりしていて気持ちいい。人工皮膚を纏っているらしいが温度だけは再現できないらしい。


「リボルか。わかったよ。起きる」


 朝だというのにもう暑い。夏が来たって感じがするな。洗面所に行って顔を洗う。生ぬるい水でなんだかさっぱりしない。まだぼやけた頭で半袖のワイシャツに腕を通す。朝食も軽く済ませて自転車に乗り込む。自動運転してくれるからとても楽だ。晴れきった空を背に走り出す。



                  *



「おはよー、大叶たいが。こんな暑いってのにお前は変わらず元気だよな」


 同じクラスの大叶に話しかける。こんなに暑いってのにピンピンしてやがる。


「おお、司織か。おはよ。こんくらいの暑さでばててどーするんだよ。こっからどんどん暑くなるぞ」


「わかってるけどさー。こんな暑いとやる気もなくなるっての」


「もしや、課題をやってない感じか?」


 俺の学校では週末課題として、十ページほどの小説を書くことになっている。ちなみにこれは俺が小説を選択しているだけであって、詩だったり絵だったりとコースがいろいろある。


「ふっふっふ。残念だったな大叶。これがしっかりとやってきてるんだよな」


「まじかよ。お前のことだからやってきてないかと思った。お前の小説いつも面白いけどなんでそんなにぽんぽんストーリーが浮かんでくるんだよ」


「えー。それはインスピレーションが、みたいな?」


「やっぱ、出版社ついてる奴はちげえわ」


 まさかリボルに小説のネタを作ってもらっているとは、口が裂けても言えない。毎回この手の話は何とかして茶化している。今んところは何とか誤魔化せているはず。


「さあ、みんなー。席に着けー。SHR始めんぞー。あ、そうだ司織。昼休み職員室来い。ちょっと話がある」


 いつの間にか時間になり、先生が入ってきた。てかなんで俺職員室呼ばれてんだ。なんかしたっけ。怒られるのだけはやだなー。

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