【新吉良12】 爆撃空手
「人間だよ、一応ね。」
ワナベは続けた。
「さっきの蹴り見させてもらったけど、
凄かったよ。キミ、ウチに来ない?」
「さっきの蹴りぃ?
あぁ、あのゴリラの事かぁ!」
タクヤはケンタとの事を思い出し、声を尖らせて言い放った。
「熊なんだけどね、一応。」
ワナベが呟いた。
「おいぼっちゃん、素手でやる気がねぇんなら相手を変えさせてもらうぜぇ?」
タクヤがタクチに訪ねた。
「まあいいわ、オレ様はそんな野蛮な遊びに興味ねぇ。
おいハゲ!アキータコマチを探しに行くぞ!運転しろ!」
「承知しました。」
タクチとヒデキはダンプに乗り込み、アキータコマチを探しに出掛けた。
タクヤがワナベに顔を向けた。
「おい、相手してくれよ。
オメェ、相当強ぇーんだろぉ?
破壊神ぶっ飛ばす前の肩慣らしだ。」
「きみ、面白いね。
やろうよ、僕もそのつもりで来たんだ」
ワナベが優しく微笑んだ。
「いくぞ。」
タクヤがガードを上げ、左右に体を揺らしながら疾る。
ワナベは微笑みながら仁王立ちで待っていた。
タクヤは初めからトップギアだ。
タクヤは体を揺らしながら、
1発目のパンチを右フックで左頬に、
2発目を左フックでボディに、
3発目を右アッパーで顎に
渾身の鋭く重たいパンチを打ち込んだ。
「くぅ‼︎硬ぇ‼︎」
ワナベの体は、この世に産まれてきたその日から、今日もそしてこの先も、毎日毎日1日も休む事なく鍛えられ上げていた。
「もう一度聞くぞぉ。
オメェ、本当に人間かぁ?」
「一応、ね」
「でもキミのパンチ、筋がいいよ。
ウチに来て僕達と鍛えれば、キミならすぐに覚醒できると思うよ?」
「覚醒?
オラは薬物なんてやんねーよ!」
タクヤは口調を尖らせた。
「薬物はウチでも禁止してるよ。
悪魔で自然な覚醒さ。
覚醒もできないと、僕はおろか、シノブさんにも到底勝てるわけないよ。」
ワナベは優しく言った。
「その覚醒ちゅーもん、見せてくれよ。
オラのこの目で確かめねえとなぁー。」
「いいよ、折角だし見せてあげる。」
そう言うとワナベは、ポケットから小さなカプセルを取り出した。
「おい!なんだオメェ!やっぱり薬物じゃねえかぁ!」
タクヤがガッカリして叫んだ。
「違うよ、これはカプセル型のただの水分さ。
“この覚醒”は喉がもの凄く渇くんだ。」
ワナベはカプセルを飲み込んだ。
「じゃあ、いくよ」
ワナベが両手で円を描く様な動きをし、大きく息吹を吸い込み吐き出した。
「カァーァ!カァッ!」
ワナベの筋肉がミルミル大きなっていき、通常時のガタイよりも一回りゴツくなった。
「これが覚醒さ。
どうだい?キミもできるようになりたいかい?」
「いややめとくわ。
オラはやっぱり、ナチュラルオーガニックが好みだぜぇ。」
そう言うとタクヤは再びファイティングポーズをとった。
「そうか、それは残念だよ。
まあこれだけじゃないけど、
ウチに来る気がないんなら、壊しちゃおっか。」
ワナベも左の足と拳を前に出し、右の足と拳を手前に引いて構えた。
「じゃあ、いくよ?」
ワナベが動いた。
タクヤの目の前に一瞬、阿修羅像の姿が浮かび上がった。
次の瞬間、ワナベの正拳突きがタクヤのミゾオチで爆発した。
「ぐぅぉっはぁぁ‼︎」
タクヤは口から鮮明な血を飛び散らかせた。
「え?まだ我慢してよ?」
更に攻撃を続けて、ワナベは後ろ回し蹴りでタクヤの首を刈りに来る。
すかさずタクヤはそれをかわし、バックステップした。
「こいつはやべぇな、流石にオラも覚醒に興味が湧いてきたぜぇ。」
タクヤが血を吐きながらワクワクした。
「ふーん、僕の突き受けた後によくその動きが出来たね。凄いよ。
キミ、才能あるよ。僕が言うんだから間違いないよ。」
「ふん、オメェに言われたら間違ぇねぇかもなぁ。」
タクヤは喜んだ。
「じゃあ、今からワナベ流奥義を1つだけキミにプレゼントするから、
言い残す事は無い?」
ワナベは優しく訪ねた。
「言い残す事ぉ?
そうだなぁ、そのプレゼント、食えるのかぁ?」
タクヤはワクワクしながらファイティングポーズをとった。
「キミ、飽きたよ。
じゃぁもう壊して、事務所の産廃場でサンドバッグとして就職させてあげるよ。」
ワナベは腰を低く落とし、タクヤの前へ飛んだ。
「ワナベ流奥義、虎の型、月嵐」
そう呟き、ワナベの両拳が一瞬光を放った。
タクヤはガードを上げ、上体を揺らす。
次の瞬間、ワナベから嵐の様な正拳突きが物凄い音と共に放たれた。
「やべぇ‼︎」
タクヤはそれを何とか避けながら、数を数えていた。
111発目、タクヤは自分の誕生日の数で攻撃を完全に見切った。
「マイ・ハッピー・バースデー⤴︎⤴︎」
そう呟き、ワナベの左顔面正拳突きに、己の左フックをクロスカウンターで合わせる。
すかさずワナベがそのフックを見切り、そのままの勢いで回転し、右裏拳を打ち込む。
タクヤの鼻にネジ込まれた。
しかしタクヤはそれを計算していた。
その裏拳を掴み、後ろに引き込み倒れ
ワナベを三角絞めの形に取った。
「オメェ、空手で1番なんだろぉ?
オラは何でもアリの喧嘩でこの世の1番目指してんだ。
舐めんなよぉ?」
タクヤはワナベを三角絞めで締め上げた。
ゴキっとゆう音がしてワナベの肩が外れた。
ワナベは優しく笑いながら、
「ハハハハハ!
キミ、凄いね!一本取られたよ。」
そう言うと、
ワナベは三角絞めに取られた状態から
左の拳で重たいパウンドをタクヤの顔面にぶち込んだ。
タクヤの顔面が地面にめり込んで爆発した。
ワナベの腕がタクヤから離れた。
タクヤは左のパウンドまでは計算していなかった。
ワナベがタクヤから少し離れて
左手で右肩の外れた骨をポキっと戻す。




