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雷獣  作者: ごーまるな
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2022年4月13日 16時20分

天須羅市街を抜け、倉真へ続く県道へと入る。

倉真は天須羅市の北の端に位置し、倉真温泉の名で知られている。

県道を20分程度走り、倉真温泉街を突っ切り、人間の居住エリアの端ギリギリまでやってきた俺は、目標の電柱までもう少しのところまで来ていた。


一度道端に車を停め、ナビに目をやる。

目的地は天須羅の監視所へ続く県道から、左へ分岐した農道の先にあるようだ。前方には大きな鉄塔が何本もそびえたっている。

続いて社給スマホを取り出し、さっき受信した伝票内容を確認する。


-202 [電圧調査]。

-スマートメーターにて電圧低下イベント確認。調査願う。


スマートメーターとは最近導入された通信機能のある電子式のメーターで、異常を感知すると配電指令へ通知するようになっている。

契約は「低圧深夜電力B」となっていた。お茶畑の防霜(ぼうそう)ファンの契約か何かだろう。


再度車を発進させ、県道から分岐した農道へと車を進める。

右側には何本も連なる鉄塔、他はすべて茶畑。そんな道を俺は軽快に飛ばしていく。


目的地まで残り300メートルのところで俺は異変に気付いた。


なんだあれ。


目を凝らすと電柱の上に何か動物がいるのが見える。ちょうど目的の電柱「09イ111」あたりである。


カラスにしては大きいけどまさかね。

俺はブレーキに足をかけ、スピードを10キロ程度まで落とす。


近づくにつれ動物の姿は大きくなる。

「それ」を目で捉えた俺は絶句した。

体長は3メートルはある大巨体で、タヌキに似たようなそれは、柱上変圧器付近の電線にかじりついていた。


6年前の凄惨な光景が脳裏をフラッシュバックする。空を飛んで、ヒトを襲い、電気をエネルギーとする不可思議な生命体。そこにいたのは雷獣そのものであった。

≫ぼうそうファン【防霜ファン】

農作物に霜の被害が及ぶことを防ぐ目的で設置される送風機のことである。駆動は200Vの動力の電気で、深夜帯の低温時に稼働する。

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