表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
雷獣  作者: ごーまるな
11/34

2022年5月3日 7時45分

寮から会社までは歩いて10分くらいだ。

西日本電力天須羅支社は、駅前通りを少し西へ少し行ったところにある8階建ての大きな建物だ。

屋上には通信用の巨大な鉄塔がそびえたっている。


今日は同じ寮に住む同僚の森田と歩いて出社していた。


「そういえば軽井沢の保養所どうだった?」

「最高だったよ!個室露天風呂付で、彼女もテンション上がってた!」


森田は同じ配電部の同期入社で、一番仲の良い奴だ。

趣味も考え方も共通点が多いが、俺と唯一違うことは彼女持ちということだ。


「いいなー。会社の人は安く使えるんだろ?」


西日本電力は西日本各地に福利厚生施設を有していて、社員であれば格安で利用できる。


「そうなんだよ!朝飯ついて2000円だよ!まじでおすすめ!」


彼女と仲良く温泉旅行。嫉妬で歯ぎしりしそうだった。


「滝内も早く彼女作れよ。会社にも彼氏なしの女が結構いるらしいぞ。」


森田の彼女は同じ天須羅支社の営業1課のかわいこちゃんだ。


「はは。善処するよ。」


そんなことを言っていると正門のゲートにたどり着いた。


「おはよう優人!」


良く通った声のほうを向くと、美由がこちらに向いて立っていた。

西日本電力の制服にヘルメット、耐ショック製のチョッキ、手にはパルスガンを持っている。

今日は正門警備の日らしい。


「お、おう美由。これからよろしくね。」


あまり女性慣れしていない俺は挙動不審になってしまう。


「今日早番なんだ。夜ご飯いこうよ!」


突然のご飯のお誘いに俺の気分は高揚する。


「いいね!いこう!」

「またメッセージするね!」


彼女は俺に向かって手をひらひらさせる。

俺も手を振り返して正門を通過する。


「おい!いつからあんな可愛い子と仲良くなったんだよ!」


森田が驚いた顔で俺に問い詰める。


「先月俺が雷獣に襲われた時に助けてくれて、その時に知り合ったんだ。」

「ああ、前言ってた子か。こりゃ滝内にも春が来たんじゃないのか。」


美由とつきあった未来を想像して、俺は頬を赤らめる。


「ばか。何赤くなってんだよ。向こうはそんな気じゃないと思うぞ。」


森田は女性の気持ちを読むのが上手い。


「まあ頑張れや。あの子と付き合えたらダブルデートでもしようや。」


そんなこんなで俺たちは2階の配電1課のフロアにたどり着いた。


「「おはようございます!!」」


二人で課内の皆に挨拶をする。

業後(ぎょうご)の食事デートのために今日は早く仕事を終わらせようと俺は息巻いた。

≫パルスガン

暴徒制圧用の電磁ショックガン。


≫はいでんいっか【配電1課】

配電設備の保守運営を行う部署。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ