偽義家族の観察3
ストックが底をついております。更新お待たせして申し訳ございません。
夕食の支度が出来たので加瀨三姉弟をダイニングに呼んだ。
「どうだぁーー!有名高級ブランド牛をお取り寄せしたんだぞう~今日は悠太君御所望の『超高級焼肉食べ放題』だあぁ!」
「うおっ!やった!」
「おにくぅぅ!」
高校生2人の歓声が上がる!某寿司屋の社長の〇〇○○マイ!ポーズ(再び)でお肉を載せて大皿を見せていた。
「さあさあ食べましょう~」
三鶴ちゃんも少し笑顔になっている。
悠太君は霜降りお肉を食べて悶絶している。余程久しぶりの焼肉だったのだろう…皆楽しそうに食べている。尊い…今日は愛の狩人日記はお休みして愛のガーディアン(守護者)日記でもつづろうか。
焼肉食べ放題に盛り上がっている所へ、やっと拓海が帰って来た。
「うわっ…何このにお……焼肉かっ!おおっ!」
「たくにぃおかえり~!」
「めっちゃ旨いよ、たくにぃ!」
弟妹達が大興奮だね、拓海お兄ちゃんは笑顔で頷きながら、チラチラと三鶴ちゃんを見てから私に視線を寄越した。
私はさり気なくキッチンに移動した。拓海もついて来る。
「さっきのメッセージを詳しく教えて」
私はちょこっとだけ悠太君に聞いた話を、声を潜めて拓海に伝えた。拓海お兄ちゃんの顔がどんどん無表情になってますよ~相当お怒りですね。
「そんなクズ…こっちから狙い下げだ!」
うんうん、分かるよ…私は拓海の分の『高級霜降り肉焼肉用』を冷蔵庫から取り出すと、皿に載せて拓海に見せた。
「奮発したな~」
「うん!…三鶴ちゃんに少しでも喜んでもらえてるといいんだけど…」
私はそう言うと拓海はうっとりするほどの美しい微笑みを浮かべてから、私の頭を撫でた。
「大丈夫だ…千夏の明るさに三鶴だって…皆、癒されてる、着替えて来るよ」
イ…イケメンの褒め殺しキターーーーーー!
ヤバい…なになにぃ?今のなに!?
慌ててキッチンの隅に置いていた『愛の狩人』を手に取ると、褒め殺し萌え…と書き殴った。
「ちーちゃん~お肉追加ぁ」
「…っ!」
悠太君の声にハッと我に返ってノートを閉じると慌てて追加お肉を皿に盛って急いでダイニングに戻った。
着替えてきた拓海も交えて、改めて焼肉を食べ始めた。
「千夏、これ美味いな」
「焼肉にポン酢と大根おろし合うでしょう?」
私は拓海の前のお皿に焼けたお肉を置いていった。
「どれ食べる?」
「カルビ」
と拓海が言ったので、ホットプレートの上にカルビ肉を数枚置いた時に、三鶴ちゃんが、ううぅぅ…と急に泣き出した…うわっ泣き出しちゃったよぅ!?
「みつねぇ…」
凛香ちゃんが手で顔を覆った三鶴ちゃんの顔を覗き込んでいる。私はキッチンに飛び込むと、熱い緑茶を入れて持ってきた。
「ごめんね…焼肉で煩く騒いじゃったかな?あったかいお茶入れたからこれ飲んでね」
私が湯のみに入れた緑茶を三鶴ちゃんに差し出すと、三鶴ちゃんは震える手で湯飲みを受け取り何とか飲んでいる。心が冷えた時は温かい飲み物に限る!
「ご…ごめ…たくにぃも千夏ちゃんも…気を使っ…ごめん…ごめ…」
私も凛香ちゃんも三鶴ちゃんの背中を擦った。
「謝る必要はないよ、今日は心行くまで泣いていいし、美味しいもの沢山食べて寝たらいいよ。今日だけは美容のことは忘れて目一杯自堕落に過ごせばいいの…ね?」
三鶴ちゃんは何度も頷いている。そして暫くして落ち着いてきたのかポツンポツンと話し出してくれた。
「たくにぃと千夏ちゃんの夫婦…みたいな自然なやり取りが…羨ましくなって、わた…私もそんな風になりたか…っうっ…ん…」
夫婦っ!…グサッと何かが刺さったみたいな心の衝撃を受けた…三鶴ちゃんが羨むような夫婦じゃございませんよ、何せ偽物なので…
「うんうん…」
凛香ちゃんが頷きながら背中を擦っていると、三鶴ちゃんは泣きながらも何とか微笑んでいる。
「自分が二股かけられてるなんて、まさか…と思ったしショック過ぎて何も言い返さないで帰って来ちゃって…今考えるともっと怒ってぶん殴ってやればよかった」
「そーだそーだ」
三鶴ちゃんの言葉に凛香ちゃんが大きく頷いている。そうだね!今からでもそいつを殴りに行こうかな?グゥと握り拳を作っていると、拓海と目が合った。
ヤメトケ…と目で制された気がしたので、拳を降ろしておいた。
「本当…男見る目無いなぁ…私。普通さ、二股相手の女同士を引き合わせて、目の前でこっちと別れたいとか言える?無いわぁ…」
三鶴ちゃんは乾いた笑いを浮かべて私の方を見た。
ふむ…私は、長年の愛の巡礼者、愛を統べる者の経験から一つの仮説を立てた。
「それさ、相手の女がやれって命じたんじゃない?」
「え?」
加瀨兄妹の視線が私に向いた。私は咳払いをして私が考えた仮説を披露した。
「相手の女が『私とあの子のどっちが好きなのよ!今すぐ私の目の前であの子と別れて見せてよ!』とか言ったんじゃないかな?そうじゃなきゃあんな自分を屑だと思われる別れ方言い出すとは思えなくってね。私が知り合いから聞いた話だと、別れたいな~って言うのを向こうから匂わせてくる人が多いっていうのね」
「向こうから匂わせ?」
凛香ちゃんが聞いてきたので、思わず拓海をちろっと見てしまった。見られた拓海はちょっと気まずげにしながら、なんとまだ焼肉を食べていた…しかも悠太君も一緒に…美形は胃袋も特別製なのか?
「つまり自分から別れたいとは言えない、言いたくないと思う人が多いみたいなの。それで相手から別れを切り出してもらおうとして、お付き合いのフェイドアウトを狙って来るって言うわね。わざと連絡の回数を少なくする、デートの予定を度々キャンセルする、忙しいと忙しさをアピール…とかね」
「なるほど…」
凛香ちゃんは深く深く頷いている。そんなに真剣に聞かれても受験には役に立たないよ?今後の人生には役に立つかもしれないけどね。
「面と向かって三鶴ちゃんにそんな自分が悪者になるような言い方で別れを言うかな~と、最後まで良い人ぶって別れたいと思うんじゃないかな…だからそんな底意地の悪い別れ方をさせようとするのって、相手の女の仕業だと思うんだよね」
拓海と悠太君が同時にむせて吹き出している。男達には耳に痛いことのようだ。
「そうか…そうだよね」
三鶴ちゃんも苦々しい顔をして考え込んでいる。
「それでね、あくまでこれからの予想だけど…もしかするとその別れを切り出した彼氏から連絡とかあるかもしれない。三鶴ちゃんに向かって弁解しながら『あれはあの女に言わされた。本命はお前だから気にしないで欲しい』とか言ってくるんじゃないかと思う。つまり本当にその彼氏が屑男なら…三鶴ちゃんと再びよりを戻そうとすると思うんだ。まああくまで予想だけど…」
三鶴ちゃんは苦笑いをしている。
「そう…だね、本当だ。もしケンジが真正のクズなら上手い事言って私をキープしておきたいかもね…」
私はキッチンから買ってきた杏仁豆腐を持って来て、女子達に配った。
「考え出したらキリがないし、正直三鶴ちゃんにはそんな男の事で悩んで欲しくないわ…甘いものでも食べて苦々しい気分を押し出しちゃおう」
「うん、賛成!」
「ありがとう、凛香…千夏ちゃん…」
また三鶴ちゃんが泣き出してしまった…
三鶴ちゃんと凛香ちゃんは一緒にお風呂に入るそうで、まずは女子2人に先にお風呂に入ってもらった。三鶴ちゃんは着替えを持ってなかったけど、私とほぼサイズは一緒みたいなのでパジャマと下着(新品)を用意してあげた。
お義母様から度々プレゼントとして衣類を貰ってて良かった…と今は素直に思った。着ていない服や下着もいっぱいある。
そして焼肉の後片付けを始めると、拓海も悠太君もイソイソと手伝ってくれた。
「なあ、千夏。さっきのアレ…本当に連絡してくると思うか?」
拓海がホットプレートを洗いながら私に聞いてきた。
「う~ん…どうなんだろうねぇ…私は三鶴ちゃんの彼氏の人となりが分からないから一概には言えないけれど、あんな別れ方を三鶴ちゃんに堂々ぶつけて来る輩だよ?そんなの理由はどうあれ、人を傷付けることを厭わない人だと思う。普通の感覚ではないから、厚顔無恥に三鶴ちゃんに連絡してくるんじゃないかと思うんだ」
「そうだよな…普通ならそんな別れ方をしないよな。常識無しの大馬鹿野郎だな…」
やがてお風呂から出てきた三鶴ちゃんと凛香ちゃんにフルーツティーを出してると…スマホを見た三鶴ちゃんが叫んだ。
「きた!ケンジだ!」
「っ!」
私とテレビを見ていた凛香ちゃんが一斉に三鶴ちゃんの傍に集まった。
因みに悠太君は大きなバスタブで優雅に1人風呂で、拓海は自分の部屋に戻っている。
「みつねぇ、見てみなよ」
凛香ちゃんが促すと、三鶴ちゃんはスマホのメッセージを見て顔を歪ませた。
「うわ…冒頭部分が千夏ちゃんがさっき言ってた言葉と一緒だよ…『あれはあの女にやれと言われて嫌々だった。お前なら分かるよな?』なんだコレ?はぁ?分からんし?」
三鶴ちゃんがメッセージの文面を読みながらツッコミを入れている。
あぁ…出来るなら三鶴ちゃんの元カレは馬鹿丸出しのメッセージを送りつけてくるような男じゃないといいと思っていたけど…真正のクズだったようだ。
三鶴ちゃんは毒づきながら、ツッコミをして茶化しているように見えるけどスマホを持つ手が震えている。泣きたいし悔しいし叫びたいんだろう。
「もうケンジの馬鹿をブロックしちゃおうかな?」
「しちゃえしちゃえっ!」
凛香ちゃんが煽っている。三鶴ちゃんは震える手でケンジのアドレスをブロックした。私は三鶴ちゃんの手をスマホごと握った。
「よく頑張った」
私達は抱き合って暫く泣いていた…
お風呂から出てきた悠太君と部屋から出てきた拓海はケンジから連絡が来たことに目を吊り上げていた。
そして、さて…私もお風呂入ろうか~と思って立ち上がった時に、凛香ちゃんが急に爆弾発言をしてきた。
「そうだ~たくにぃと千夏ちゃん一緒にお風呂入ったら?」
「…っ!?!?」
「はぁ!?え…っと」
悠太君はちょっと赤くなりながらだんまりで、三鶴ちゃんは上ずった声でそうだねーいいねーと賛同してきた。
「だって同棲してるのに、今だって一緒に入ってるんでしょう?」
り…り…凛香ちゃんそれ夢見過ぎー!同棲している人、皆が一緒にお風呂に入ってると思うなあ…なあ…なあ………私の心の中の木霊は無情にも心に響き渡っただけで、誰の心にも響かなかった。
ニヨニヨする三姉弟に見詰められるので、仕方なくパジャマを持ち脱衣所に向かった。すでに拓海さんはシックスパックを晒して上半身裸で脱衣所で待機していた。
「裸を慎め!」
「……千夏、緊張してるのか興奮してるのかは分からんが、日本語がおかしいぞ?」
また真顔でツッコむの止めてよね~!
という訳で…私は半裸のイケメンと脱衣所で睨み合いをしている。
拓海はハァ…と溜め息をつくと、私を見下ろした。その蔑んだ目っ!喜ぶと思っているのかぁ!
「お前…脱がないのか?」
「ぬぅ…!脱ぐ……ぐぅぅ」
拓海に怒鳴りかけて、言葉を飲み込んだ。ここで声を荒げて喧嘩をしてしまったら傷心の天使、三鶴ちゃんに男女の修羅場の恐怖再びの恋愛ダメージを与えてしまうかもしれない。
ここは笑顔と根性で相思相愛の偽恋人を意地でも演じ切らなければ…!
「じゃあはいりましょうかねぇ…たくみさん」
私が顔を引きつらせながらお風呂場を指差すと、拓海はニヤリと笑って腰にタオルを(一応)巻いた状態で浴室に先に入ってくれた。
さて…困った。バスタオルを巻いて入る?それは湯に浸かると透けないか?はっ…水着だ!と思ったけれど、それこそ水着を着ているのが弟妹達にバレたら恋人として怪しくないか?
ここは怪しくなく、自然に湯舟の中で体が見えない状況にしなけれ……こ、これだ!私は洗面化粧台の引き出しからジャーーンと取り出したソレを浴室に持ち込んだ。
浴室に入って来た私に目を向けた拓海は一瞬にやけたが、すぐに怪訝な表情になった。
「え~バスタオル巻いて入るのぉ?おまけにソレ…入浴剤?」
私は手早く浴槽の中に乳白色に濁る入浴剤を投入した!これで、浴槽の中では肩から下は隠れるはずだ…
「ええっつまんねぇよ!」
「つまらん、つまらなくないはこの際関係ない!裸体を晒すか晒さないかの問題だぁ!」
「婚約者なのに?旦那なのに?」
「えっ………」
そ、そうか…偽者の婚約者でそのまま偽の旦那様になる予定だけど、肉体関係云々は今後とも禁止!とかは話してないよね?当然、それも偽物を引き受けた時に込々のモノになるのか。
そうかそう…うん、これは…
『婚約者と魅惑の湯舟~白濁の湯の誘惑~』のエロエロしいDVDまがいの実体験になるのか、これ?
私は意を決すと、浴室の中でバーンとバスタオルを外して潔くシャワーのお湯を体にぶっかけた。
因みに私の家の浴室は5人入っても大丈夫~なプチ銭湯くらいの大きさがあります、はい。
「……」
拓海は素早く頭を洗うすっぽんぽんの私を見て、茫然としていた。
「体の色気はゴホゴホッ…でもでもぉ!?無いっ!?い、い…色気がねぇ!」
「色気は必要ないぃぃ!今必要なのは素早い行動力だぁ!」
私は頭と体を宣言通り素早く洗うと、白濁…もとい乳白色の入浴剤入りの湯舟にどぼーんと浸かった。
「ふぃ~!気持ちいい~」
拓海は何か言いかけては止めて…を繰り返していたが諦めたのか、私に背中を向けて体を洗い始めた。
んんおやぁ!?よく見ると…ふわ~っ!拓海の背中の筋肉…広背筋だっけ?綺麗だよねぇ~
「拓海の背中、綺麗だねぇ~」
「…っ!」
ガコンガタン……大きな音をたてて拓海専用のシャンプーの容器が床に転がっている…手が滑ったのか?そして拓海は無言で容器を拾い上げて、ものすごい勢いでノズルを押しまくっている。シャンプー液を出し過ぎじゃないか?
案の定、ものすごい泡のフワモコが出来上がり、すごい泡を乗せたまま頭を洗っている。おおっ!拓海さんの頭を洗った時に腕を上げたら……!肩甲骨と上腕筋の動きよっ!すごいっもりもり動いてる。
破廉恥な意味ではなく、触ってみたいよね~触らせてくれないかな?
拓海は頭と体を洗い終えて、腰にタオルを巻きつけたまま不自然なカニ歩きで私に背を向けた状態で、浴槽に静かに入って来た。そしていくら待っても私に背を向けて湯に浸かったままだった。
「拓海~なんで背中向けてるのよ?」
正面からあんたの胸筋も見てみたいんだよ~こっち向け!
拓海はチラチラと振り向きながら私を見ていたが、観念したのかゆっくりと正面を向いた。
おおおおっ!水も滴る良い男とはまさにこれだねっそうだね!ふわぁ~イケメン様の筋肉が間近に!こんなチャンスは滅多に無いよね?これこそイケメン様の筋肉だから有難みがあるってもんだ!
私は祈るような面持ちで拓海の筋肉を見詰めた。
「ねぇ拓海…ソレ…触って良い?」
バッシャアァァンン…!白濁したお湯が跳ね上がって、私の顔面に思いっきりかかった。
「うぶぁっ!……ゲホッ…ゴホッ…!もう顔にかかったし飲んじゃったじゃない!何を暴れてるのよぉ」
「かかっ……飲っ……!」
バシャン……何かまたお風呂の中で体を動かしまくっているのか、拓海の方から湯飛沫がかかってくる。
「もうっ…何してるのよっ濡れる…お風呂に入ったからもう濡れてるけどぉ~」
拓海は湯舟の中で背中を丸めている…何やってんの?
……
………しかし拓海はいつまでその姿勢でいるのだろうか?かれこれ5分は経っている。お風呂の給湯器の操作盤の時刻を思わず確認した。
それにしても入浴剤の中に温浴効果が含まれていたのだろうか、お風呂でのぼせそうだ、暑い…
「ふぅ…あつぃ…」
「…っ!」
拓海が顔を上げた。あらちょっとぉ?
「拓海、顔が真っ赤だよ?湯あたりしたんじゃないの?長湯は危険だよ?もう上がりなよ」
拓海は目が…目が…瞳孔が開いている?もう限界なんじゃない?
「…ハァ…いや、お前が先に上がれ……ハァ…」
息も絶え絶えじゃない?大丈夫なの?
「でも…私が最後に出てお風呂洗っておきたいし…」
「俺が洗って綺麗に流しておくから!」
……そう叫んでまた背中を丸める拓海。本当に大丈夫なの?
「分かったよ、じゃあ先に出るね…」
私は立ち上がると、浴槽を跨いだ。
「!」
拓海が私の方を凝視していた……イケメンが気持ち悪いと初めて感じたよ。
「見ないでよ…」
「ごっごめんっ!」
流石に今更感はあるが、これでも嫁入り前だ。一応嫁に行く相手は拓海の予定なので偽物とはいえ、節度を守っていきたい。
浴槽から出て、バスタオルを引っ掛けている壁際のフックの所に行こうと歩き出して、足元のヌルッとした感触に滑りそうになった。
「きゃ…!危ない~入浴剤が粘り気のある感じだったからかな~拓海も床で滑らないように気を付けてね」
「…ごめんっお風呂絶対洗っておくから!」
……何を謝りつつお風呂を洗う宣言をしているのだろうか?そんな再確認をしなきゃいけない事だった?
私はバスタオルで体を拭きつつ、湯舟にまだ浸かっている拓海を見た。
「早く上がりなよ?のぼせて気分が悪くなったら、呼び出しボタン押してよ?」
「う…うん…」
私はバスタオルを体に巻き付けると、首を捻りながら浴室を出た。
浴室の扉を閉めた後、また激しい水音が聞こえたけど、大丈夫かな?拓海ひっくり返ったんじゃない?
バスタオルで体を拭いてパジャマに着替えた後、浴室に聞き耳をたてたけど…音がしないけど大丈夫なのかな?
「拓海ぃ~大丈夫?」
「くぅ…!?え?ああ…大丈夫!大丈夫だからぁ!」
そんな大声で叫ぶ必要あるかな…まあ受け答えもしっかりしているし、のぼせてないならいいか…
私は拓海の様子を気にしつつも脱衣所を後にした。
乳白色の入浴剤です…しつこいようですが、ただのにごり湯の入浴剤です^^