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偽婚約者の観察1

振替休日の月曜日、朝から引っ越し準備に忙しい。


私のマンションは玄関の間口も広いし、廊下も広いからベッドが入らないとかはない。それに拓海の荷物は単身男子の量だし少なかったしね。


スマホにペロンとメッセージが入る。拓海だ。


『今引っ越し業者出たから、すぐ着くよ』


『了解』


愛を愁う者…加瀨 拓海はいつも通りだ。昨日も夜は別々で寝たし…エロイ雰囲気は皆無だ。きっとその場の雰囲気で私にモミモミ攻撃をしてみたが、嘉川との純愛を思い出して踏みとどまったに違いない。


純愛…なんて良い響きなの。愛とは奏でるもの、愛とは詠うもの。リビングで優雅に純愛の舞い(創作)を踊っていると、玄関のインターホンが鳴った。どうやら引っ越し業者さんが来たようだ。


引っ越し業者さんは流石プロだった。あっという間にセミダブルベッドやチェストと仕事用の机…パソコンの機器…テレビ等々を運び入れると颯爽と帰って行った。


『運び入れ完了、今から片付けるね。今日の夕食は引っ越し蕎麦にするね』


『ありがとう、頼むわ。こっちの目途が付き次第連絡入れるから』


ふむふむ…拓海に貰った指示書?を見ながら、洋服や下着、本棚を順番に片付けていく。


「あっ、写真」


二年前に会社で行ったブドウ狩りの時の写真だ…おおっおおっ!女子に囲まれる拓海だ。


「あれ?」


これ…私の写真だ。しかも私、一人だけ写ってるの…なんだこれ?間違えて買っちゃったのかな。その割にはちゃんとアルバムの中に整理されて貼られている。


う~ん…と頭を捻っている時にまたペロンとメッセージが入ってきた。グループメッセージだ。


おや?拓海の想い人、嘉川 基尚からだ。


『引っ越し順調か?来週の土曜日空いてるか?ダブルデートしないか?』


「ダブルデート!?忘れてた!」


そう言えば嘉川の彼女、有紀ちゃんと私と拓海で出かけようぜ~みたいな話になってたよね?


ペロンとメッセージが入る。拓海だ!


『俺はいいよ~千夏も大丈夫じゃね?』


「こぉらっ勝手に決めるな!……大丈夫だけどさっどうせボッチのおひとり様だ!文句があるかっ!」


誰もいないリビングで叫んでから、妙に恥ずかしくなってきた。


グループメッセージに


『はい、大丈夫です』


と打ち込んでから拓海の部屋の片付けに没頭した。暫くして、ペロンとまたメッセージがきた。


『やべぇ掃除が終わらん』


拓海だ…思わず笑いながら返事を返した。


『月末まで借りているんでしょう?来週の日曜日に2人で掃除に行こうよ』


するとすぐに返事が返ってきた。


「分かった~ボチボチ片付けて帰るわ」


よしよし…じゃあ私の夕飯の準備しようかな、結局忙しくてお昼もクッキーを摘まんだだけだった。


引っ越し蕎麦は海老の天麩羅と、大和芋をトッピングにして…胡麻豆腐とお漬物を数種類浅漬けにした。そうだ…ホットケーキの粉が残っているから、揚げ油を使ってドーナツを揚げておこう。


ドーナツを揚げていると、玄関の鍵が開いた。


「ただいま」


「おかえり~」


拓海は自分の部屋に入ってから、キッチンに顔を出した。


「全部片づけてくれてる~助かるわ」


「一応拓海の指示書通りにしたつもりだけど?」


助かる、助かる~と言って拓海は自室に戻って、片付けてるのか何かゴソゴソしているようだ。


「もうご飯出来るよ」


「おうっ」


部屋にいる拓海に声をかけてドーナツに粉砂糖を振りかけていると、拓海がダイニングにやってきた。


ドーナツは後でテーブルに持って行くことにして、蕎麦を茹で始めた。


うん?拓海が蕎麦を茹でる私の背後にきて、ソワソワしている。どうしたの?


「出来たらテーブルに持って行くから座っててよ?」


「う…うん」


……挙動不審だ。


拓海の分の蕎麦を茹であげて、器に出汁を入れダイニングテーブルの拓海の前に置いた。


「はい、召し上がれ」


「…おう」


私も自分の席についた。


「いただきます」


「いただきます」


…拓海様は今日は口数が少ないね。いつもは食べる前におかずの話やら今日の話題などを自分から話してくれるのに、妙な緊張感?とでもいうのか何かを漂わせている。


「来週、遊園地だね」


「…っそうだな」


私からの会話はそこで途切れた。いわゆるキャッチボールが出来ない。なんだろうか?


拓海は無言でお蕎麦と天麩羅を食べると、ご馳走様も言わないで急ぎ足で自室に駆け込んでいる。


んん?


そして…加瀨 拓海は真っ赤な薔薇の花束を抱えて戻って来た…薔薇の花束ぁ!?


唖然とする私を尻目に…ダイニングテーブルを回り、箸を持って座ったままの私の横に跪くと


「相笠 千夏さん俺と結婚して下さい」


と言って史上最大級の微笑みを浮かべて赤い薔薇の花束を差し出してきた。


うわーーーっ!?うわわわっ!?


私は震える手で差し出された花束を受け取った。その後、拓海はズボンのポケットから小さい箱を出してきた。


そっそれはぁ!?


パカッ…と開けられて見せながら差し出されたそれは…指輪だぁぁぁ!


「婚約指輪、受け取って」


「〇×△!?」


何か言葉にしようとして、鼻から荒い息が出て声が出ない。薔薇とプロポーズ!とんでもない破壊力だっ!まさか目の前でこんな定番のイケメンからのプロポーズを拝めるなんて………はうぅ!?


「ちょっとっちょっと!?拓海っこれ持ってていいわね!」


頂いた薔薇の花束を拓海に急いで渡すと、キッチンに駆け込んでスマホを持って来ると、ポカンとしてる拓海にカメラのレンズを向けた。


「ほらっ拓海、さっきのイケメンスマイルで花束差し出してみて!ほらっ!」


「………はぁぁ、お前…ブレないわ…まあいいか」


拓海はさきほどの蕩けるような笑顔ではないものの、イケメンスマイルを浮かべて私の格好の被写体になってくれた。


「はぁぁ凄いね!薔薇の花束のプロポーズ!目の前でしてくれたの見たの初めてだよ!」


拓海に改めて花束を差し出されて受け取り、左手の薬指に指輪もはめてもらった。ダイヤキラキラ!


「薔薇のプロポーズをそう何回も受けててたまるかよ…」


「えっ?」


何か言った拓海に聞き返すと、何でもないよ…と返された。あ、そうだ花を活けておかなきゃ!


花瓶を物置から出して来ると、薔薇の花を活けて出窓の前に置いた。薔薇カッコイイ。これも写真撮っておこう。


「家のリビングでムードがないかな~と思ったけど、人目のある所でプロポーズが嫌だったから…ごめんな」


「ううん、いいよ。やっぱり様になるねぇ!よっイケメン!」


拓海は何故か苦笑いを浮かべている。ああ、そうだいけない。ドーナツを作ってたんだ。


ドーナツをテーブルに持って来ると拓海は嬉しそうに微笑んだ。テーブルにお皿を置く時に指輪がお皿にあたってカチッと音がしたので途端に気になってきた。


「婚約指輪、普段つけてたら傷つけちゃうかな…外しとこうかな」


「駄目」


拓海が素早い切り返しで否定してきた。え~でもトイレで手を洗う時に外して忘れたりとかしそうじゃない?


「千夏は俺の奥さんなの、そのアピールの為に絶対付けておくこと」


絶対の所に圧を感じたよ。それならまあ付けておくけど…ああそうだ、それこそすっかり忘れてた。


「そうだ…お兄様達に婚約の顔合わせのお食事会をしなさい、って言われたんだった」


「え?それならもう来月に決まってるけど」


「え?」


「え?」


拓海の言葉に聞き返してしまった。決まってる?え?


拓海もキョトンとしている。


「俺、お義母さんとお義兄さん達に相談してるよ?そうしたらまだプロポーズをしていないなら、先に正式にしておきなさい!て三人から言われたし、それに食事会ももう予約してるからってお義母さんから言われたけど…え?千夏、知らないの?」


ちょぉぉぉおお、おいっ!私そっちのけで拓海とお母様達がキャッキャしてるってどういう状況なんだよっ!当事者っ当事者だから一応!ちょっと第三者の立ち位置かも?と怪しくなってきたけど、幸せいっぱいの偽者だけど花嫁さんだからっ!


「悪かったよ…てっきり千夏にも話してるのかと思ってた。もしかしたらお義母さん達も俺から話しているとか思ってたのかもな…」


「そうだね……何事もホウ・レン・ソウだね。私だけ蚊帳の外で淋しかったなんてこと全然無いからっ!一人だけ知らなくて置いてけぼりだなんてこと妬んでも無いからっ!」


「ごめん…」


そう言いながら、拓海がドーナツを食べることを止めないのも、無性に腹が立ってるなんてこと無いからっ!


その日


いじけている私を拓海はお風呂に入れてくれた。気恥ずかしさは少しはあったけど、またもエロさゼロで背中を流してくれた。


夜寝る時は拓海のベッドに一緒に入った。拓海の雄っぱいをモミモミしていると拓海も私の胸を触ってきた。


「等価交換だ」


そうですね、雄っぱいとおっぱい平等のものだ。若干のエロさが醸し出されていると気が付いたのは拓海の手が胸からお尻にいき、太腿を触り始めた時だった。


「いいか?」


と聞かれたけど


「明日仕事だよ?」


と震える声で聞き返すと、拓海は苦しいくらい抱き締めてくれた。これは偽物の婚約者の務めなの?と変に茶化して聞く事も出来ない。勿論拓海対して嫌悪感も一切無いし、寧ろ彼に対する好意の方が大きいので受け入れることにした。


「明日に触りが無い範囲で善処する…」


と返されて無言で頷いた。


◇■◇


『愛の狩人』


とうとう偽恋人…今日から偽婚約者の拓海と致してしまった。


緊張した。実は初めてです…と告げると拓海は震えていたと思う。笑ってるのかな…感じ悪いぜ。仕方ないじゃない!初めての彼氏は高校生の時だし、お金をせびられてお兄様に泣きついて別れたし。大学生の時の彼は付き合い始めてすぐにマンションに押し掛けられて、ヒモ宣言されてストーカーになっちゃったし!


私だって好きでおひとり様を満喫していた訳じゃないんだからぁ!…と叫ぶと優しく抱き締めてくれた。その後の拓海の下半身は優しくなかったけど…


【追記】


薔薇のプロポーズは拓海様だからこその破壊力だったね。これぞ正にイケメンに限るだね♡


◇■◇


拓海は何とか手加減?はしてくれていた…と思う。


「大丈夫か?」


「おひとり様のパワーを舐めないでよっ1人でも生きていける様に常にフル充電しているんだから…痛い」


下半身が痛いです。拓海様曰く、手加減は大分したぞ…とのことですが本当か?と夜の暴れん坊将軍を睨む。


「今日、足元がぐらついて転んだらどうしてくれるのよっ!」


「ローヒール履いていけよ…」


「そうだね、ナイスアイディア…」


拓海も自分が原因なので、嫌味は言ったりせずに粛々と私の動きをフォローしてくれる。拓海は私の通勤用のハンドバックとお弁当が入ったトートバッグと大きめの紙袋を見て聞いてきた。


「そりゃそうとこの紙袋、デパートのだろ?何個か焼き菓子買ってたけど、会社に持って行くのか?」


以前、拓海のご実家にお邪魔した時に日持ちのきく焼き菓子を何種類か買っていたのだ。普段のおやつ用のもあるけど、これはその一つだ。


「前にお母様が勝手にセッティングしたお見合い相手の梅…なんとかが会社に押し掛けて来たでしょう?あの時に受付の水田さんが機転を利かせて拓海を呼び出してくれて助かったから、水田さんにお礼を兼ねて差し入れをしておこうかな~と思ってね」


「おお、アレな。水田には世話になったな~俺もビールの商品券でもあげようかな?」


私は夜の暴れん坊帝王、拓海を睨み上げた。


「ちょっと……若いお嬢さんにビールの商品券なんて浪漫もくそも無いものあげてどうするのよ?ピンクの薔薇の花束でもあげなさいよ!」


拓海は心底嫌そうな顔をした。イケメン顔が崩れてますよ?


「花束なんてあげたら誤解される…」


「薔薇には感謝という意味の花言葉もあるの!ピンクの薔薇とカスミソウで最強の組み合わせだよ」


「はいはい…」


拓海のビールの商品券を何とか阻止せねば…私はよろめきながら振り替え休日明けの火曜日、満身創痍で出社した。


「きゃあ!相笠さんっ薬指!」


経理部の隣の席の川上さんの悲鳴に、経理部の皆が一斉に私を見た。


そうか…ここでリア充の本領発揮をしておこうかね!一度はやって見たかったアレを…


「じゃーーん、婚約指輪です!」


リア充ドヤァ!


私の左手に経理部の皆が群がった。何故か男子も群がった。


「プ…プロポーズ!?」


「そうだ、加瀨君のことだからお洒落なワインバーとかでシャンパングラスの中に指輪を入れて、君の瞳に乾杯…とかじゃなかったの!?」


ちょっと、この間から村瀬君の拓海に対する固定観念が凄すぎるよ…イケメンに夢見過ぎ…


「飲み物の中に指輪入れるのキッツイわ~ううん、家でお蕎麦食べてる時にプロポーズされた」


「嘘だ!」


村瀬うるせー。川上さんが左手の指輪を見て目を輝かせている。


「それでそれでどんな言葉だったの!?」


「ん?普通に結婚して下さいって薔薇の花束くれたよ」


「薔薇っ!?」


「キャアアアっ!加瀨さん似合うっ!」


「家の中で蕎麦食ってても薔薇で全てが許されるぅぅぅ!」


女子と村瀬君の興奮度が半端ない。あ、そうだ。


「写真見る?あまりに完成度の高い薔薇とイケメンだったんで写メ撮らせてもらったの」


「見るぅぅぅぅ!」


満場一致で皆の賛同を得られたので、昨日撮りまくったイケメンと薔薇の写真を皆に見せた。


「ふわああああっ!」


「ヤバーーイ!なにこれっ!?」


堀田さんが顔を真っ赤にしてイケメンと薔薇の写真を見詰めている。心行くまで見るが宜しいよ。イケメンは無条件に鑑賞対象になってしまうからね。


カメラ目線で薔薇を差し出して微笑んでいる拓海に、何故か村瀬君がうっとりしている。もしかして村瀬君、拓海の仲間のそちらの世界のお方か?


「兎に角ね、美形の人ってお蕎麦食べてても薔薇持ってても綺麗なのは間違いないってことね」


川上さんの仰る通り。今日は一日中『加瀨、薔薇を持ってプロポーズ』の話題で持ちきりになった。


同じ課の本橋さんが、俺もカミサンに薔薇の花を持って再プロポーズしようかな~なんて浮かれたことを言っていたけど、止めとけ…と制しておいた。急に薔薇の花なんて買って帰ったら逆に不信感を感じてしまうからさ。今日の夕食の話題で出すに留めておいて、奥様の反応を見てから花束を買いに行けと指南しておいた。


さてお昼休みになりましたよ。


川上さんと堀田さんと市川さんと昼食を食べた後、受付の水田さんの所にお菓子を持って行くのに付いて来てもらった。


因みに経理部の皆様には事前にお菓子を配り終わっている。抜かりはない。


「水田さんも機転が利くね!」


「本当だよ、親戚のおばさんの差し金とはいえ気持ち悪い男の人だったもん」


お母様を親戚のおばさん扱いにし、梅を気持ち悪い男扱いにしているけれど、話題の為のネタだ、勘弁して欲しい。


受付に行くと、丁度水田さんがいた。


「水田さん、先日は拓海を助っ人に呼んでくれて助かったわ。これ…つまらないものですが、お礼に…」


ズイイィ…と某デパートの菓子店の袋を差し出した。


「おおっ…ニューヨークの…!フフフ…ここ気になってたんだよ~お気遣い頂いて…有難く…あっご用件は?」


と、微笑み合っていた時に受付に男の人が駆け込んできた。ん?他社の営業の人かな?


「ここに、草野とかいう男はいるのか?」


草野…もしかしてたぬきそば大好きの元、佐原 美和ちゃんの想い人の草野君のことかい?


「草野はおりますが、お名前は…」


「真島、真島陽介だ。企画営業の真島の夫だ…草野とか言う奴を呼び出せ!」


企画営業の真島さん!真島さんと言えば…妖艶な40才くらいの美魔女だ。その旦那さんが何故に草野くんを呼ぶの?イライラしているのか水田さんに怒鳴りつける旦那さんの声に一階にいた人々が一斉に目を向けた。


水田さんも血相を変えて飛び込んできた、真島さんの夫なる人の雰囲気に揉め事の予感を感じているようで、目線が私達に向けられた。


どうしよう?草野君呼んでも大丈夫かな?


と言っているようだ。駄目だと思う…何か嫌な予感がするからさ…私の横で川上さんが首を横に振っているのが見える。


するとその真島さんの旦那さんは水田さんじゃなく、私達の方を向いて怒鳴りだした。


「いいからさっさとその草野とかいう男を連れて来いよ!人の嫁に手を出しておいてっどういうつもりだ!」


な…何だって?嫁?え?草野くんが美魔女推定40才半ばの真島さんとふ…ふ…


「不倫…」


堀田さんが小声で呟いてしまった言葉を聞きつけたのか、真島夫が益々声を張り上げた。


「ああっそうだよっうちの嫁と草野とかいう男は俺の目を盗んでヨロシクやってたんだよ!」


「ひえぇぇっ…」


市川さんが小さく悲鳴をあげた。


不倫!私の忌諱しているワードじゃないか!しかもあの草野くんてまだ20代半ばよね?美魔女とはオカンほど年が離れてるじゃない!年上スキーなの?いや問題はそこじゃない!


「そうだっうちの嫁も呼び出せよっ!ここの社長にも聞いてもらおうかぁ!?おたくの社員は人妻にも手を出す節操の無い男がいるんですってね!」


その後は修羅場だった。


水田さんが警備員のおじさんを呼んで真島夫にお引き取り頂こうとしたら、夫が大暴れ。真島嫁が一階に降りて来て、泣き叫んで号泣。


運よくか、運悪くか草野君は営業に出かけていて不在。その後草野君は営業部の部長と専務に呼び出されていた。


その日の夜


拓海に聞いた所によると草野君は不倫は認めたものの、すぐに責任を取って地方の営業所に移りたいと言い出したそうだ。


一瞬草野君、潔いと思ったけど後ほど…この潔いと思った決断が実は男の人のイヤ~な行動だという事が露呈したのだ。


営業の美魔女、真島さんはバツイチで、今の旦那さんとはなんと不倫の上で前の旦那と別れて結婚した仲だというのだ。しかも今の旦那さんは年下。そして今度の草野君だ、またしても年下。


これは不倫と年下が好きなんだろうな…と言わざるを得ない。


真島さんはどうやらバツニになるそうだ。ところが、ここで草野君と三回目の結婚…となりそうなのに例の草野君が地方に移動…となったので真島さんは草野君に取り縋ったらしい。


因みに会社の非常階段で草野君に取り縋り、揉めているのを拓海と嘉川が目撃してしまったそうだ。


その不倫騒動から2週間後、その現場を見た拓海はげんなりした表情をしていた。


「結局さ草野にしてみれば、真島さんとは遊びだったんだよ。そうしたら旦那が乗り込んできただろ?早々に逃げに転じた訳だ、胸糞悪いな」


そうだね、胸糞展開だね。そして草野君は表面上は責任を取って地方の支店に移動…となったが嘉川曰く


「見とけよ?地方に行ったらそう時間も置かずに、若いねーちゃんと結婚するから。アレはそういう男だ」


と言っていた。恋の百戦錬磨の嘉川がそういうのだからそうなのだろう…


不倫の代償は誰が払うのだろうか…真島バツニさんは営業に籍を置いてまだ仕事は続けているが、今更転職も難しい年頃だし…このまま針の筵状態で働き続けるのだろうか…


それとも第二、第三の若い男性社員を狙うのだろうか…


愛って恐ろしいね。


割とあっさりと進めました。気持ちはまだ…ですが

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