壺の中身はなんでしょう?
ここはどこだ?
ちょっとした罰ゲームで近くの神社の洞窟に入ったのが間違いだった。
この街には有名なスポットがある。神社の中に洞窟があり、その洞窟の中は不思議な場所につながっているというものだ。
もちろん信じてなんかいなかったが高校の友人による
「じゃんけんに負けたやつが度胸試しに、あの神社にある洞窟の中に入って写メでも撮ってこいよ!」
という発言から残っていたヒマを持て余した野郎どもが集まり、ノリで参加したらこのザマだ。
まさか負けるとは……
そこの洞窟は看板が立っており、立ち入り禁止にされている。
近所の人も近寄らず、婆さんや爺さん達には孤独洞窟と呼ばれ、お祓いとかしたりされており、一種の心霊スポットみたいな扱いになっている。
そこの神社も本来はその洞窟を鎮める為に建てられたのでは?とも噂されるぐらいだ。
まぁそんな話は信じていないからどうでもいいだろう。
さて罰ゲームに負けて洞窟に実際に入ってみているわけだが…どうやら入り口は狭かったが中は意外と広く、なんとか人が通れるが不気味な雰囲気を醸し出している。
奥まで進もうとしたところで、携帯を見てみると圏外になっていた。
やはり電波は届いてないらしい。ここまでは一本道だし迷うこともない。
懐中電灯を片手に持ちながら進むが何もない。
さっさと写真を撮り帰ろうと思った先で妙な物を発見した。
祭壇みたいなものがあり壺が置いてある。
なんだ?なぜこんな場所に壺が……?
近くで確認しようと思ったのが失敗だった。
うっかり躓いてその壺に触れてしまったのだ。
そこで俺の意識は1度なくなった。
冒頭の回想に戻ろう。まずはとりあえず自分の名前は覚えている。雨宮龍之介だ。
時代劇にでてくるような名前だとはよく言われる。
ここには罰ゲームで来て、そこで変な壺を見つけて触ってからの記憶がない。
どうも自分が最初にいた洞窟とは明らかに違う。
なぜって?まず懐中電灯がないのに周りが確認できているからな。
来た時は懐中電灯なしでは暗くて見えなかった筈なのに、今は周りの壁がうっすら光っているせいなのか見える。
周りを確認すべく見渡すと、どうやら自分は正方形の形をした石で出来た部屋のような場所にいるみたいだ。
出口らしき所は1つ。扉がついている。
明らかにおかしい。
だが脱出するには動いた方がいいだろう。
食べ物や飲み物の心配もあるし、念のために携帯を見るが電池切れなのかうんともすんとも機能しない。
かなり深刻な状況だ
いっきに不安が襲ってくるが、こういう時こそ冷静にならねば……
とりあえず動くことにしよう。