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母は出勤、子は出発、竜は巣立ち

相変わらずダラダラした駄文です。基本的に今回も盛り上がる場所はありません。

ドラゴンが《コドラ》としてビットマン家の一員となって初めての朝。

昨晩の夕食の後にもいろいろな騒動があったが、ここは流して、気持ちのいい朝である。

「ふぁ〜〜〜あ。」

小鳥のさえずりとともに起きてきたのは、この家の主ミーメルママである。すでに着替えているミーメルはキッチンで朝御飯の準備に取り掛かる。

「・・・バターはぁ・・・パンはどこにしまったかしら・・・玉子玉子はー・・あれ?スープの・・・」

やはり独り言が多いようである。

「おはよぉ〜ママ〜」

眠そうにキッチンに入ってきたのは娘のメルトである。こちらも既に着替えており、二人分の紅茶をいれはじめる。

よく出来たお子さんである。

「あれぇー、コドラはぁー?」

いつもより一つ多く作られた朝御飯を見て、メルトがミーメルに尋ねる。

「メルと一緒に寝たんじゃないの?まだ起きてこないわよ。」

「そうだったぁー、それじゃあお越してくるねぇー」

そう言うとメルトは、自分の部屋にとことこ戻って行く。







「きゅっうぃぃぃぃぃぃぃぃ〜〜〜〜!!!!」






「起こしてきたよぉー。」

どうやって?



メルトと一緒にキッチンに入ってきたコドラは、若干フラフラしながらも床に置かれた朝御飯の前に座る。

やはり体は机の下に入れながら。

「それじゃあそろったわね。今日も天の祝福がありますように、いただきます。」

「いただきまぁす。」

「きゅい。」

あいさつをしてから二人+一匹は食事を始める。

あいさつをするまで食べないということは、意外とコドラは賢いかもしれない。

二人は気づいていないが。


「「ごちそうさまでした。」」

「きゅいぃ」

食事完了!



「ママー、今日はいつぐらいに帰ってくるのぉ?」

後片付けをしながらメルトがミーメルに尋ねる。

「夕方には帰って来るわよ。晩御飯のおかずも買ってくるから、ちゃんといい子にして待ってなさいよ。それと、コドラから目を離しちゃだめよ。しっかり面倒をみなさいね。」

仕事に行く仕度をしながらミーメルが答える。

基本的に日中はミーメルが忙しいため、メルトが後片付けや家事をするのである。

本当によくできたお子さんである。

「カバンよし、薬草よし、お弁当よし、えーと、いろいろよし!。それじゃあ行ってきまーーす。危ない所は行ったゃだめよー。」

「いってらっしゃぁーい。」

慌ただしく出勤して行ったミーメルを見送ってから、洗濯を始めるメルト。

この世界では、学校に行けるのは貴族や限られた裕福な人達だけであり、メルトなどの庶民の子供は、教会で週一回の勉強会で学ぶか、親から教えられるかのどちらかである。幸いミーメルが教えてくれたため、メルト自身は同世代の子供達よりも読み書きや計算はできるのである。



とてもそうは見えないが



さらに、医術の知識も豊富である。これは、薬草探しとして、趣味と実益を兼ねた遊びの一環となっている。

まあ、それは置いといて。

家事をするメルトの後をトテトテと付いていくコドラ。はたから見たら少女をドラゴンが狙っているようにしか見えない。

「よぉっし!、洗濯終了ー」

やはりメルトは、その事に気づかないまま洗濯の終了を宣言する。

「きゅうい?」

突然声をだしたメルトに首をかしげるコドラ、

「ちょっと待っててねぇー。今準備してくるから。」

そう言って部屋に戻るメルトの後を付いていくコドラは、

「きゅっ!!」

ガンッっと、閉めた扉に顔をぶつけた。

「お待たせぇ。さあ、行こうコドラ!」

防止にリュックという、森の中と似たような格好にたって部屋から出て来たメルトは、そのままキッチンに置いてあったサンドイッチをバスケットの中に入れると、家の外に飛び出た。

「きゅういーー?」

ぶつけた鼻を赤くしながら、コドラは玄関で困った表情で鳴く。

「どうしたのぉー?今日はいい天気だよぉー。」

天気の問題ではない。たた単に巣(家)から出るのが恐いだけである。

「きゅぃぃぃ〜」

臆病な上に引きこもりでは救いようがないぞコドラ

「きゅぃきゅぃ」

そんな、イヤイヤみたいに首を振ってもダメだ

「きゅぃぃぃ。きゅ?」

《お留守番してるから、ダメ?》って。しまいには怒るよ?

「きゅ

「もぉー、いいからいくよぉー」

痺れを切らしたメルトは、コドラのところまで戻ると。コドラの首にバスケットを掛けて、両手で背中を押して無理矢理外に出した。そして扉に鍵を掛け

「ほらぁ、付いておいで。」

と、優しく言ってから歩きだした。

「きゅぃ、きゅぃ」

コドラはそんなメルトの後わビクビクトテトテ、ビクビクトテトテっと付いてゆく。

まるで親鳥とヒナのようにぴったり付き添って歩く一人+一匹。

本来ならば、戦女神の騎士と誇り高きドラゴンの伝説として、人々の未来のために戦うのであろうが、

この子達は、田舎の少女と弱虫なドラゴンの日常として、自分達の笑顔のために歩いていく。

けれど、この少女とドラゴンにとって、それが一番なのかもしれない。



「一番眺めがぁいい場所に連れてってあげるね!」

「きゅい!」






余談だが、ミーメルがコドラの食費のために給料アップの交渉をしているのは、この二人?には内緒である。

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