動かぬ母親
第3話です。駄文っぷりもみがきがかかってきました。母親が登場します。因みに舞台は17世紀〜18世紀くらいのヨーロッパ風な世界です。
ところかわってここは町外れの一軒家。
少女とドラゴンの出会いから2時間ほど経った頃、妙齢の女性が家の中を掃除している。
腰まで伸びた黄金色の髪の毛に真っ白なエプロン姿の彼女こそ、森の中にいた少女メルトの母親 ミーメル=ビットマンである。
メルトが生まれてすぐに夫が病気で他界し、女手一つでメルトを育て上げてきただけありその表情は凛々い。今は夫が病気の時に必死なって勉強した医術の知識を使って町の病院で手伝いの仕事をして生活している。夫の遺産もあるがメルトが大きくなってからと一切手を付けていない。まさに才色兼備の良妻である。
因みに今日は仕事が午前中で終わったため家に戻っている。
この家には、薬草や薬の材料が集められた部屋がある。
これは娘のメルトが集めてきた物を保管しておくための部屋である。
何故病院にそのままもっていったり、薬局等に売りに行かないかと言うと、まずメルトがもってくる量が半端ないということ、既に病院の薬草置き場は満杯である。
次に、たまにメルトは薬草ではなく毒のある物をもってくるのからである。その為、病院等にもっていく前に家で選別しなければいけないのである。最後に、メルトは極稀にマムシやナマズなどの体にいいとされる動物を生きたままもってくるのである。さすがにマムシの時は驚き2時間以上の説教タイムとなったが。
(マムシは酒漬けにして病院の常連さんにあげた)
少なくとも家計の足しにはなっているため止めろとも言えず、むしろ病院で足りなくなった薬草を頼むくらいである。
そんなこんなでミーメルは、心配しつつ呆れつつ部屋の掃除に勤しんでいた。
「考えみればマムシやナマズはあっても仔犬や子猫を拾ってきたときはなかったわね。」
なんだかんだいって母親を困らすことをしないのがメルトである。しかし、家が町外れにあるせいで近所に同い年くらいの子がいないため、いつも一人で遊んでるメルトを思うと何かしらのペットを飼おうかしらと考えてしまう。
「やっぱり犬がいいのかしら?、でも私は猫派なねよね。でも猫じゃあ門番はつとまらないし、メルトにも付いてくれそうにないわね。でも・・・やっぱり・・・・・」
独り言をぶつぶつしなが掃除してく様は少しだけ危ない人である。
「メルに後で聞いてみようかしら、・・・あら?・・・ちょうどいいわ帰ってきたみたいね。」
振り向くとちょうど扉が開き
「ただいまぁーーー」
と元気よくメルトが家に入ってくる。
「お帰りなさー・・・い?」
ミーメルは言葉の途中で目を点にさせる。メルトの後から家に入ってきた゛何か ゛を見たためである。
もちろんあのドラゴンだが、
少女メルトはそんな母親に気付かないのか、そのまま手を洗いに流し場に歩いていく、かなりレアな母親の表情など気にもとめず少女メルトは母親に向かって語りだす。
手を洗いながら
「あのね、前にママが言ってたでしょ、番犬が欲しいって。この子なら十分だと思うんだけどどうかなぁ?たぶん、トカゲ犬かワニ犬羽根犬だと思うんだけどぉ、いいでしょ?」
だから、ドラゴンである。トカゲ犬なんてのが実在するなら見てみたい。
「へっ?・・・ふ?・・・」
ミーメルはメルトの言葉に上手く反応することができず先程から固まったままである。
おそらくそれが正しいドラゴンを見た人の反応である。
そのドラゴンはというと、自分に餌をくれた優しい人間の後に付いて洞窟(家)の中に入ったら、突然大きな人間が現れて自分のことを睨んでいるのである(誤解)気が付けば優しい人間は視界から消えており、どうすればいいのかわからなくなっていた。
取り敢えず、全身を床につけ、羽根をペタリとさせ
「きゅぅぃぃーー」
と、か細く鳴いてみた。
誰かこのドラゴンにプライドと誇りについて旧日本軍並に教えてあげてほしい
ドラゴンが想像以上にか弱く鳴いたことによりなんとか正気に戻ったミーメルは、娘のメルトに恐る恐る尋ねる。
「・・・何処で拾ってきたの?」
手を洗い終えたメルトはリュックの中から泉でとった薬草をとし出し、天日干しようの台になれた手つきでならべなが母親に答える。
「うぅーっとね、森の中の泉で会ってたんだよ。余程お腹が空いてたのかなぁ?私のお昼ご飯をあげたら全部たべちゃったの。そしたら懐いてちゃってぇ、そのまま家まで付いてきちゃったの」
「・・・付いてきちゃったの?」
「きちゃったのぉ!」
唖然とする解答が返ってきたため再び固まるミーメル。やはり、メルトはそんな母親に気づくことなく作業を続ける。せっかく洗った手や、掃除したての床が汚れるが気にしない。
「あ・・・あのねメル。」
「なぁーにママ?」
震える声の母親に対してどこまでものんびりした娘、その娘に向かって囁くように語りかける。
「この子は犬じゃなくてね。」
あくまで優しく、そっと教えるように
「この子は・・・ドラゴンなの」
ママ大正解!
それを聞いてメルトは、
「じゃあ、番犬じゃなくて、番ドラだねぇ!」
どこまでものほほんとしていた。
三度固まる母親に当然のように気づかずに、メルトは作業を終えてドラゴンに近づいていく、そして一言
「キミ、ドラゴンっていう犬種だったんだぁ。」
と、もうどうしようもない程の勘違いを囁いた。
もう訂正するのも疲れてきた。
因みに、ドラゴン本人?はずーーーーーーーーーーーーーーーーーっと、ペタリと這いつくばっていた。
取り敢えず顔を上げよう。
まずはそこからだ。
ドラゴン出番なーい。