頑固な少女
二話目です。相変わらず駄文です。 少女の名前がわかります。
「ふえ?」
少女は困惑していた。
何かの気配を感じて振り向いたら自分のバスケットに小さなドラゴンが顔を突っ込んでいたのだから。もしも狼や熊ならそのまま立ちさるのを待てばいい、動物たちは決してこの泉の近くで争わないことを少女は知っていた。しかし、ドラゴンはどうなんだろう?少女はただ様子を見ることしか出来なかった。
「………変わって犬だなぁ。あれ?狼なのかなぁ?よくわかんないなぁ」
少女はドラゴンであることすら気づいていなかった。
はからずも目を合わせることになってしまったドラゴンと少女、普通ならば悲鳴を上げるかドラゴンと逆方向に逃げるかするだろうが、なにを思ったのか少女はザブザブと水を掻き分けてドラゴンに近づいていった。
やがて泉から上がり二人?の距離が1mまで狭まった。少女が近づく間ドラゴンは微動だにせず少女を見つめつづけた。
「犬じゃ・・・ない。」
少女はここにきてドラゴンであることに気づく。
全身を薄茶色の鱗が覆い、ワニに似た顔つき、発達した後ろ足と小さな前足には立派な爪が生えており、1m近くある尻尾に極めつけは背中に生えた一対の羽根。どこからどう見ても犬ではない。
少女はドラゴンを観察し終えるとバスケットに目線を移す。そこにはサンドイッチだったであろう残骸とリンゴが一つだけ入っていた。
「私のお昼ご飯がぁ・・・」
少女が悲しそうに呟くと、今まで微動だにしなかったドラゴンがはじめて動いた。
目を閉じ、体全体を地面につけ、背中の羽根をペタリと下ろし、小さく震えていた。
はっきり言って、最強と畏れられるドラゴンのすることではない。
「きゅういぃぃぃ・・・」などとか弱く鳴いていれば尚更である。
少女はそんなドラゴンを見て何を思ったのか、バスケットの中から先ほどのサンドイッチの残骸をとりだすと、形を整えてからドラゴンの口元にそっと置いた。
「せっかくママが作ってくれたんだから、ちゃんと全部たべてちょうだいね」 優しく囁くと、リンゴを一つ取り出してシャクシャクと食べだした。
困惑した顔のドラゴンは目の前に座ってリンゴを食べる少女に怯えながらも、空腹には勝てなかったのか口元のサンドイッチ(型崩れ品)を、ゆっくりと食べだした。
ドラゴンが食べ終えて顔を上げると、少女がニコニコしながら頭を撫でていた。
「美味しかったぁ?そんなにお腹が空いてるなんてもしかして迷子なの?帰り道わかる?」
もはや犬や猫に接するようである。
「首輪もしてないし野良なのかなぁ、そもそもなんていう犬種だろぉ?」
そもそも犬ではなくドラゴンである
「犬トカゲ?」
ドラゴンである
「羽根付きワニ犬?」
犬から離れるべきである 「町長さんなら飼ったことあるかなぁ?」
王様だって無理である
「そういえばママが《最近はブッソウになってきたから番犬を飼おうかしら》って言ってたし」
なんども言うがドラゴンである。
「鱗があっても番犬は勤まるよね!」
鱗があったら犬は勤まらない。
「あとは、キミしだいだよ?」
少女はそう締め括ると、真っ直ぐにドラゴンを見つめる。見つめられたドラゴンは
「きゅぅいぃ?」と、わかっているのかいないのかじっと少女の顔をみていたが、ガサガサと後ろの茂みから音がすると慌て少女の背に隠れた。
「あははは、懐いてくれたぁ」
少しばかり勘違いしながらも少女は立ち上がり、収穫した水草をリュックに詰め、バスケットを掴むと再びドラゴンに向き直る。
「私は、メルト=ビットマン、みんなはメルって呼んでるよ。」
微笑みながら自己紹介すると、ドラゴンに語りかける。
「私と一緒に行く?」
「きゅぃ!」
それは小さな出会い。
弱虫で臆病なドラゴンと、天真爛漫でマイペースな、少女の1ページ目
犬と思ったままだけど
本編に関係ないですが少女のセリフの「私と一緒に行く?」はとあるアニメからもってきました。あのアニメくらい感動できる話ができたらいいなぁと思います。100%無理ですけど