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英風の帰りを待つ
門弟は槍を手にした。
李から槍と刀剣の使用は禁じられていたが、棍や拳脚でかなう相手では無かった。
殺す覚悟が無いと殺されてしまう相手と見た。
「とうとう刃物を持ち出したか」僧は余裕の表情で言った。
弟子は槍を僧に突き出した。が、僧は巧妙にかわす。
弟子達が一斉に僧を槍で突くと僧は飛び上がった。
「哈」僧が叫ぶと皆の動きが止まり、手から槍を落とし屈み込んだ。
「フハハハハ」僧は着地すると馬歩の姿勢を取り、両腕を振り回し、両拳を突き出した。
「グハッ」弟子達は血を吹いて倒れた。
僧は弟子達がのたうち回る中、中庭で座禅を組み、李英風の帰りを待った。