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第五章 金床神の地下王国 11

 ヘラクレスと言う言葉を聞いたイプイスがハンマーを取り落とした。


「ヘ、ヘヘヘ、ヘラクレスの生まれ変わりなのか?そしてブルースカイ?」

「こら、イプイス!向う槌を止めるな!」

「は、はい!」


 慌ててハンマーを拾い上げるとイプイスはブルースカイの向う槌を打ち始めた。


「ヘラクレス・・・オレがヘラクレスの生まれ変わりだと?」

「ああそうだ。聖大天使様が言っていたのだから間違いない」

「そうか・・・ところでヘラクレスって誰?」

「そこからか!」

「いや、だって初めて聞く名前なもんで・・・」

「まったく今の若者は何も知らんな。・・・まぁ平たく言うと神の血を引く英雄だな」

「英雄ねぇ・・・」


 そうつぶやいたレントの脳裏に閃く物があった。


「ブルースカイ、もしかしてその英雄はカルビの、いや、ケルベロスの弟を殺すか?」

「よく知ってるじゃないか。その通り、オルトロスを殴り殺すぞ」

「あー・・・やっぱりそういう事か」

「何がそういう事なのだ?もしやオルトロスに会ったのか?」

「・・・会った直後に喧嘩を売られて衝動的に殴り殺した」

「炎竜の事といい、お前少し気が短くないか?」

「返す言葉もない。まぁそれは置いといてブルースカイ、あんた死んだんじゃないのか?」

「うむ。我も死んだ自覚はあったのだが地中深くで目が覚めてな。地表に出てきたら千年ほど経ってたわ」

「千年!!」

「しかも眠ってる間に夢を見続けていたせいで精神寿命を超越してしまったようでな。それから今日までかれこれ5千年は生きている。もはや完全に人では無くなったと思うよ」

「なるほど、そういう事もあるんだなぁ」

「さてと仲々良い出来に仕上がったな。レント、熱々だがさっそく振ってみろ」


 差し出された双剣を手にしたレントが戸惑いの表情を浮かべた。


「なんだこれ?メチャクチャ軽い!」

「ふふふ、そうだろうとも。柄頭に我の竜玉の欠片を嵌めこんだ上に刀身に我の翼の魔力を込めたからのう」

「いやいや、余計な事しなくていいよ。元に戻して」

「お前喰い殺すぞ!文句を言わずに感謝して受け取れ!!・・・まぁいい、この剣の名は双龍と言ったな。生まれ変わったこの剣を斬鉄牙と名付けよう」

「斬鉄牙!なんかカッコイイ!」

「格好いいだけでは無いぞ。今後この剣はどんなに遠くにあろうともお前がその名を言えば手元に帰って来る。どうだ、凄いだろう」

「凄い凄い!ありがとうブルースカイ!」

「あまり褒めるな、照れるではないか。よし、気に入ったから大サービスだ!我の加護を授けてやろう」


 そう言うとレントが避ける間も無く両肩に手を押し付けた。

肉の焦げる臭いとともにブルースカイの手のひらで蒼白い光が弾けた。


「痛っつ」

「レント、今お前の身体に我の竜紋を刻みつけた。これからは我を知る竜はことごとくお前に従うだろう」

「いきなりひどいよ」

「ははははは、まぁそう言うな。お前の事だから前もって言ったら断りそうだったんでな」

「いや、そりゃ断るよ。でもまぁ、なんかこのマークかっこいいな」

「そうだろそうだろ。それにしても時間が無い中で鍛えた剣だがこれは最高傑作だな」


 そう言って惚れ惚れと斬鉄牙に見入るブルースカイにレントが言った。


「さっきから時間が無い時間が無いって言ってるけど何千年も生きてる割にブルースカイはせっかちだなぁ」

「ん?だって急がないとお前が死んでしまうだろう」

「・・・えーと、どういう事?」

「レント、お前さっき炎竜を殺してしまっただろう」

「え?ああ、うん」

「奴はこの半島の火山の噴火エネルギーを喰らって生きて来たんだ」

「・・・あの、・・・何か凄く嫌な予感がするんだけど」

「嫌な予感もなにも奴が死んだ今、この半島の火山は暴走状態になっておる」


 ごくりと唾を飲み込んだレントが恐る恐るブルースカイに聞いた。


「それって火山が噴火するって事?」

「大地震を伴う噴火だな。我も熱にはそんなに強い方ではないのでそろそろ失礼する。お前も早く逃げんと死んでしまうぞ?」


 唖然とするレントの前でブルースカイが天井を突き破って飛んで行った。





「ばかやろー!そういう事はもっと早く言えーー!!!」

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