第五章 金床神の地下王国 3
ドワーフ達はそれぞれの手に分厚い短剣を持ち、歌をうたった盗人を取り囲んだ。
背丈こそ低いが全員が筋骨隆々たる体躯で、なまじの男なら簡単に打ち倒すだろう。痩せ細った盗人など4人がかりでもたったひとりのドワーフにさえ敵わないだろう。
「その短剣はアルム鋼だな。どれも切れ味が良さそうだ」
レントの問いかけでドワーフ達に緊張が走った。
「人間どもめ、アルム鋼の強奪が目的か。そうはさせんわ」
言うなり羽織っていたマントを深く被る。途端にドワーフ達の姿が消えた。
が、1人のドワーフが素早く動いたレントに捕まえられた。
「離せ、離さんか!」
「便利なマントだなぁ。まぁまぁそれはそれとして勘違いするな。俺たちは別にお前たちのアルム鋼の短剣が欲しい訳じゃない」
もがくドワーフを地面に下ろすとレントは稲妻のような速さで双龍を抜き放った。
2本の剣を地面に突き刺すと身を隠したドワーフ達に向けて言った。
「俺は巨人族のレントだ。ペレの紹介でイプイスに会いに来た。貢物の酒と肉も持って来ている、案内してくれ」
その声に再びドワーフたちがマントを脱いで姿を現した。
「ペレだと?それは鋼の族長のペレの事か?」
「知らん。あの爺さんはいつも黄金の鷹の仮面を付けているから顔もわからん」
ドワーフたちがざわめいた。ヒソヒソと話し合うと、その中の1人がレントに問いかけた。
「お前はペレと酒を酌み交わした事があるか?」
「あいつは酒が飲めない」
「ああ・・・それは族長ペレだ。間違いない」
「ではイプイスの所に案内してくれるか?」
「もちろんだ。ペレの名誉とドワーフのハンマーにかけて喜んで案内しよう」
「よおし。おいお前ら、貢ぎ物をさっさと担げ。ドワーフたちの集落に行くぞ」
レントは旅団員と盗人に指示を出すとドワーフと肩を並べて歩き出した。
道中ふと思い出したレントがドワーフの1人に聞いた。
「そう言えばさっきの歌、ボンガーボンガーってのはどう言う歌なんだ?」
「な・・・!ワシがそんな事言えるか!」
「気になるじゃないか、教えてくれよ」
「う・・・うむ・・・ボンガーと言うのは抱いてくれと言う意味だ」
「なるほど、戯れ歌か?」
「ああそうだ。全体の意味は、抱いて抱いてOOOOのXXXを△△△△してピ-ピーの□□□だけをXXして□□のOOOがppppでXXXと言う事だ」※(青少年に与える悪影響を考慮して一部伏字となっております)
「そ・・・それは・・・めちゃくちゃ下品な歌だな・・・」
「ああ、まったく品性のカケラも無い歌だ。我々ドワーフには理解できんよ」
「え?いや、でも酒好きのドワーフが酔っ払うといつも歌うんだよな?」
レントにそう言われたドワーフは顔を真っ赤にして黙り込んだ。
すかさず近くに居た別のドワーフが言った。
「こいつも酒を飲んで酔っ払うといつもその歌を歌い出すぞ」
「ば、馬鹿野郎!人間にそんな事バラすんじゃねぇ!!」
「あはははは、いいじゃないか。よし、お前ら酒を出せ。飲みながらのんびり行こうじゃないか」
レントは荷物の箱から酒を出すと全員に一本づつ持たせた。
「さぁ、景気づけにボンガーの歌を歌いながら行こうぜ」
「お前・・・自由すぎるぞ」
渋い顔をしたドワーフだったが酒を一気に半分ほど煽ると大きな声で歌いだした。
ボンガーボンガーヤイガガーナボンガァーーー
サンガーミスチーヤイガガーノ、ソンバーミスチーオンガガーナー
やがて坂を下りきった所に溶岩が流れ、そのそばに石の船が浮かぶのが見えた。
「くぉらぁ!!お前ら下品な歌を歌うんじゃねえ!!」
姿を隠すマントを脱ぎ、大きな声で怒鳴るドワーフを見て全員が笑い出した。




