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第五章 将の器 5

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 腰に突き刺さった矢を引き抜いたスピカにハンニバルが抱きつき、そして数万の軍勢に囲まれている事などお構いなしに熱いキスをした。スピカもまたそれに情熱で応じた。

この弟子にしてこの師匠、と言えた。常識や畏れなど無く情熱の赴くままに突き進む生き方は間違いなくレントにも引き継がれて居た。


「すぴにゃん!!その頬の傷はどうした。血が出ているじゃないか!!」

「あなたの心臓を貫いた刃が私の目の前に飛び出してきたんだけど食事中で避け切れなかったのよ」


 そう言ってスピカは手に持っていたスプーンを笑いながら放り投げた。


「心臓を?じゃあもしかして・・・この胸当てが?」

「ハンきゅん、私の贈り物をずっと身に付けててくれたのね。すごく嬉しいわ」

「だ、だからって何で目の前に切っ先が飛び出すような危険な事を!」

「私が死んだら胸当ての魔法も消える。そうすれば心臓を貫かれたあなたも死ぬわ。こういう遊びってすごく楽しいじゃない」

「楽しくねぇよ馬鹿野郎!俺がお前をどれだけ愛してるか!お前と別れてどれだけ悲しかったか分かってるのか!!」

「何言ってんのよ。最初会った時は殺そうとしたくせに」


 そう言いながらスピカが頬の傷に指を当ててゆっくりとこすると傷が跡形もなく消え去った。


「ほら、もう大丈夫。だから怒ったり心配しないでね」


 いとおしくハンニバルに軽く口づけをすると一転して悪魔のような形相になった。

視点の先には数万の軍勢、そして左腕を斬り飛ばされて地面に座り込むアモンが居た。

腕の接合治癒も再生治癒も出来ず、浮遊魔法を使う集中力さえも失っていた。

スピカがその腕を見て意外そうな顔をした。


「ハンきゅん、渦にミスリルを撃ち込まれても尚アモンの腕を斬り飛ばすなんて凄いじゃない」

「それは俺の弟子がやった」

「弟子?」

「そこに居るレントだ。既にそいつは俺を超えている」


 そう言われて新しいおもちゃを貰った子供のようにワクワクした顔でスピカがレントを見つめた。


「じゃあこの子は私を斬り殺せるかも知れないわね」

「あー、残念だろうがそれは駄目だ。3日ほど遅かったな」

「どういうこと?」

「そいつは3日ほど前に俺たちの息子になった」

「それってもしかして・・・」

「ああ、俺たちの娘の夫だ。身内で殺し合いはしない。それが俺たちのルールだろう?」


 傍らで話を聞いていたアモンが驚愕した。

あの娘が長いあいだ慕っていたスピカに面影が似ていた理由を知ると同時に、この目の前に居る青年があの娘の伴侶になった事を知った。


「なんだかつまらないわ。ねえ、レントちゃんだっけ?知らなかった事にして私と殺し合いしない?」

「先生・・・もしかしてスピカってあの伝説の?・・・この人がサンドラのお母さんなんですか?」

「うむ、そのスピカだ。こんな形で紹介したくは無かったがそういう事だ」

「せんせー・・・メチャクチャですよ。子供でも知ってる伝説の魔法使いスピカと恋仲でその間に生まれたのがサンドラだって・・・なんで言ってくれなかったんですか?」

「いや、・・・だから逆に言えなかった。・・・すまん」





「あー・・・わかる。それなんとなくわかります先生」


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