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第七章 天空のエデン 6

 イリア村から小型艇を発進させてから約6時間、既に行き先は全員に伝えてあるがサンドラを始めとして誰も異を唱えたり理由を質したりする者は居なかった。むしろ間近にヘルプラネットを見たり触ったりしたいと言い出したサンドラに逆にレントが驚いた。

深夜の真っ暗な空を進む中、アークがレントに告げた。


「団長、ヘルプラネットがまもなく目視確認距離に入ります」

「現在地はどのあたりだ?」

「キュプ王国の北の外れ、上空約3キロです」

「頃もよし、人目のないこんな時間に来れたのは好都合だな」

「でも団長、視界も悪くて通信も出来ない中、この艇で近付いたら攻撃されませんか?」

「あー、それ全然考えてなかった。でもまぁきっと向こうからも見えてるだろうし大丈夫だろ」


 視界に入ってきたヘルプラネットがゆっくりと回転し上部が開いた。威嚇するような警報音と共に小型艇に大きな砲塔を向けた。


「うん。・・・大丈夫じゃなさそうだな」

「団長ーー!」

「そう慌てるなよアーク、緊急脱出用のフロート射出口から先にオレだけ外に出る。小型艇はここで停止させておいてくれ」

「そんな、こんな空の上で外に出て大丈夫なんですか?」

「問題ない。オレが隔壁に入ったら後部射出口を開けてくれ」

「大丈夫、レントは飛べるから撃ち落とされない限りは問題ないわ」

「そういう事だ。じゃあ先にちょっと行ってくるよ」


 隔壁に入ったレントの合図と共にアークが後部射出口を開けた。気圧差で艇の外に吹き飛ばされたレントが驚いて何かを叫んだが艇内に声は届かず、デュークなどは団長楽しそうだなぁとまで言い出した。

気流の渦に揉まれながらも何とかバランスを取り直したレントが黒い翼を広げてゆっくりとヘルプラネットへと向かう。砲塔は小型艇に向いたままだが警報音が鳴り止んでいる。恐らく監視映像でレントの姿を確認して警戒を緩めたのだろう。

やがて砲塔の下にアスタクリスが立っているのが見えた。その姿を見た瞬間、耳鳴りを伴う頭痛がレントを襲いそのまま気が遠くなった。

それと共にレントの身体が変貌した。羽は大きく不格好な翼に変わり、艶やかな白い短毛がその体を覆い顔がネコ科の獣人と化した。その姿はエリクシアそのものであった。

レントの変化に驚いているアスタクリスの前に着地すると片膝を立てて跪き、深々と頭を下げた。


「アスタクリス様、お久しぶりです」

「エリクシア、私のかわいい白獅子。・・・ところでエリクシアの生まれ変わりは何のつもりで我がヘルプラネットに来たのかしら?」

「和平と親睦の使者として、そして僅かでもアスタクリス様が心穏やかに日々を過ごす支えになればと思い参りました。それと・・・」

「それと?」

「それが・・・レントが申すには新しい家族や仲間とミクラスワルツで休暇を楽しみたいと・・・」

「まぁ、呆れた子ね。1歩間違えれば跡形もなく撃ち落とされる危険を冒してまで来るなんて」

「私も心底呆れています。まさか自分の生まれ変わりがこんなにも非常識で図々しいとは思いもしませんでした」

「でもまぁ、いいでしょう。あなたたちの小型艇を誘引するわ」


 アスタクリスがそう言うと砲塔が床の下に格納され、次いで紫色の光線が小型艇へと放たれた。ロープで小舟を引き寄せるように小型艇が近付いて来る。


「新しい家族と言うのは私の生まれ変わりなのね」

「はい。男に生まれる事を望まれて生まれた戦士の家の娘です」

「まぁ、どんな女性かすごく興味があるわ」

「逆にレントは女に生まれる事を望まれて生まれた巨人族の魔法使いの家の息子です」






「そんな2人が出会うだなんて面白いわね。さぁ、艇が近付いて来たわ。いったんレントに体を返してあげなさい。積もる話はまた後でしましょう」

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