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第七章 天空のエデン 2

 シャルムの代表が感激して叫ぶ中、ドワーフの代表がレントに近付いて言った。


「レントと言う名の双剣を背負った若者の話を赤髭の族長から聞いた。お主がそのレントだな」

「え?・・・ええ?」

「とぼけなくとも良い。お主、火炎龍を屠った覚えがあるだろう」

「ああー、地下の溶岩洞窟の族長?」

「やはりそうか。いいだろう、お主が噛んでいるんならワシらも喜んで協力しよう」


 ドワーフの代表と言葉を交わすレントの様子を、ヂキール王が訝しそうに凝視して言った。


「私も見覚えがあるぞ。おぬし、我が軍で死ナズと呼ばれていた傭兵だな?名前は確かにレントだったハズだ」


 ぎくりとしてレントがヂキール王の顔を見た。見覚えのある顔だと思うと同時に閲兵式で声をかけられた事を思い出した。知らぬ顔をしようとしたがとぼけるには機を逸してしまっている。


「お久しぶりです。かつて浪々の身であった時にはお世話になりました」

「もう2年ほども前になるかのう。・・・ところで知っているか?」

「何をでしょう?」

「ターバと言う名の兵士だ。おぬしの部下だったそうだのう」

「さて・・・まったく覚えがありませんが、その兵士がどうかしたのですか?」

「ファウンランドの猛将レントが自陣に居るのを見つけたと周りの兵士に言いふらして居たそうだ」

「・・・そうですか」

「そして不思議な事におぬしが姿を消すのと前後してそのターバと騎士団長シグナスが何者かによって首を斬り落とされたのだ。・・・おぬし、何か知らぬか?」

「・・・私を疑っておられるのですか?」

「そう聞こえたかね?ファウンランドの猛将レント殿?」


 じっとレントの顔を凝視するヂキール王をハイネルドが咎めた。


「ヂキール王、瑣末な事を論じている場合ではありません。ご自重下さい」

「瑣末?瑣末だと?」

「そうです。国家存亡の危機にそのような取るに足らない事を論じても仕方がないでしょう」


 ハイネルドの言葉に憤慨しつつ、レントを一瞥するとヂキール王は踵を返した。


「レント、お前も退出しろ。ここはお前が意見を述べる場ではない」


 マルコスに促されて部屋の外に出るとレントがため息をついた。


「・・・あれはバレたな」

「レント様、ヂキールのシグナス騎士団長を討ち取ったのですか?」

「いや、討ち取ったと言うか脅迫されたんでやむを得ない感じで・・・な」  

「稀代の将軍と呼ばれていたシグナスを・・・彼の死には色んな噂が流れていましたが、まさかレント様が倒したとは思っても見ませんでした」

「これ以上人に恨まれたくないから内密にしておいてくれ。ところでここはどこだ?」

「ファウンランドの王都ブリオライです」

「な?まさか・・・!」


 慌てて外の景色を見たレントが感慨深げにつぶやいた。


「ああ、あの教会の尖塔、あの城下町、懐かしいなぁ」

「およそ6年ぶりと言ったところですか」

「変わらないな」

「いや、そうでもないですよ。向こうの南側の城壁を見て下さい」

「南側の城壁?あれがどうかしたのか?」

「お忘れですか?レント様がレサール卿とガーラ公爵を倒した時に200メートルほどを完全に崩壊させたじゃないですか」

「ああ、確かにそんな事もあったな、よく見てみると城壁の色があのへんだけ違・・・!」

「お分かりになりましたか?新たに修復した城壁に描かれている物が」

「あれってもしかして・・・」


 城壁には交差する2本の剣が大きく描かれていた。レントの問いに感慨深そうにマルコスが答えた。







「そうです。レント様の功績を讃えて描かれた二路です」

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