第六章 邂逅の獣 22
更新が遅くなって申し訳ありません。
次回はもっと遅れるかも知れませんが、お待ち頂けると嬉しいです。
稲妻のような速さで放たれた抜き打ちだったが、失神したエイボンが膝から崩れ落ちた為にその首を斬り落とす事無く刃が空を切った。切り返しで腰溜めにした剣を放とうとしたその時、レントの手に激痛が走った。
後方から飛んで来たと思しき小刀が2本、両手の甲に突き刺さっていた。
レントが振り向くと金属棒に丸イスを取り付けたような乗物に乗って20人ほどの兵士らしき男たちが飛んできた。手から引き抜いた小刀を投げ、すれ違いざまに剣を振るって5人ほどを倒すが、兵士たちはレントには目もくれずにエイボンの救出に向かうと周囲を固めて回復魔法をかけた。
「エイボン司令、助けに参りました」
「う?ああ、お前たち来てくれたのか」
「間も無く搭乗型ミサイルもこちらに来る事になっています」
「あの獣人、いや、あの銀髪の青年はどうした?」
兵士たちの視線の先を見たエイボンの目に、嬉しそうに笑うレントが立っているのが見えた。
護衛の兵を横に押しやってエイボンが剣を抜いた。
「ほう?アモン、サシでやり合おうって顔だな」
「アモン?我輩の名はエイボンである!まぁよい、むしろ貴様が怖気付かないか心配したぞ」
「互いに1度づつ拾った命だ。どっちかが死ぬまでやろうじゃないか」
そう言うとレントは倒した兵の剣を拾い上げると二刀を前後に構えた。
エイボンもまた剣先を地面に付けて低く構える。
「エイボン司令、おやめ下さい。このような名も無き雑兵と手合わせをして、もしもの事があれば大変です」
止めに入る兵を押しやってエイボンが一足飛びに鋭い刺突を放った。
躱したレントがエイボンの剣に自らの剣を当てるとそのまま滑らせて鍔を打ち壊す。勢いのままエイボンの右手の指数本を潰し、右肩の肉を削ぎ落とした。そのまま踊るように回転しつつ前進しながら剣を振る。
後退しながら斬撃を防ぐエイボンの顔が苦痛に歪んだ。致命傷とは言えないまでもかなりの深手を負っている。
横後方に一気に後退すると左手で青い光球を作り出してレントに放つ。
ガードした手と剣が瞬時に凍りつく、が、レントは意にも介さず突進した。
レントの剣がエイボンの喉元に届くと思えた瞬間、雷撃がレントを襲った。
体のあちこちが黒く焼け焦げたレントが膝から崩れ落ちた。
「お、お前たち、我輩の勝負に水を差すのか!」
「エイボン指令、もう充分でしょう。こやつにトドメを刺して下さい」
「ふむ・・・だがな、我輩とこの者には何らかの意思、運命、導きを感じるのだ」
「ですが指令、今はそのような事を言っている場合ではありません」
「だが・・・うむ、そうだな。今はお前たちとクーデターを成功させるのを優先せねばな」
意を決したエイボンが両手に魔気を溜めて光球を作り出し、レントの元に歩み寄った。
魔光弾が放たれようとする直前、エイボンの手首が閃光によって爆発した。
手を押さえながらエイボンが目をやった先にティーワラーとルクレ、そしてエリクシオンが居り、それを守るように異形の者たちが立っていた。
信じられないと言う顔をしてエイボンが叫んだ。
「お前、不死者のディーディー!それに西の祭祀マリィギース、放浪者ザガン・・・お前たち、争い事には不干渉ではなかったのか?」
「いやぁ、それなんだけどさエイボン」
「私たち3人共、なんて言うかさ・・・」
「エリクシオンに一目惚れしちゃって・・・だからごめんね。ここで死んでくれる?」
「ふ、ふ、ふ・・・ふざけるなぁああああ!!」




