原始人
オレ、原始人。
原始人のゲン。
ザコだけど一応、嫁と子供ふたり、居る。
今日、ムスメの誕生日。
オレ、言ってしまった。
「今日、マンモス、取ってくる」
※ ※ ※
普通、マンモスは、20にんくらいで狩る。
でも、オレ、ボッチ。
ダケド、ムスメ、誕生日。
オレ、頑張る。
※ ※ ※
棒の先に石をヒモでくくりつける。
コレ。
コレでマンモス倒す。
岩陰に隠れる。
ココ。
マンモス、よく出る。
正直、オレ、ビビってる。
できれば小さめのマンモスが来てほしい。
それならなんとか倒す。
※ ※ ※
3時間後。やっと、キタ。
しかも結構小さい。
オレ、あし、ふるえる。
でも、ムスメ、喜ばす。
オレは雄叫びあげて、マンモスに飛びかかった。
※ ※ ※
オレ、マンモスの背中に飛び乗る。
マンモス、びっくりしてる。暴れてる。
オレ、武器をマンモスの首に叩きつける。
マンモス、もっと暴れる。
オレ、落ちそう。怖い。でも、
ムスメの顔。浮かぶ。
マンモスの肉、ムスメ、喜ぶ。
マンモスが激しく、暴れて、オレ、振り下ろされる。
痛い。マンモスの影が迫ってくる。
※ ※ ※
殺されると思った。
でも、何か、おかしい。
夢中で気づかなかった。
マンモスはびっくりするほど小さかった。
「お前、マンモスの子供か?」
マンモス、首から血を流してる。
あと一回殴ったら倒せる?
※ ※ ※
夜になった。
ムスメたちの声、聞こえる。
帰ってこないオレを心配してる。
オレ、洞窟の中で泣いていた。