プロローグ
作者の処女作ですので温かい目で見守ってくださいm(_ _)m
Ⅹ-5
パリ ドゴール空港
「おかーさーん!待ってってばぁーー!」
ターミナル空港ということもあり、そこそこの人混みの中に両腕に荷物をぶら下げて搭乗口までの直線を走る少女がいた。もうずいぶんと走ったのだろうか、その肩を大きく上下にするほどに息が上がっていた。それに加え、時々肩が当たりなかなかまっすぐには歩けず、なかなか前に進めずにいた。
「知佳!早くしないからギリギリじゃないの!…ったく香水買おうと思ってたのに…」
彼女の母はその顔に苛立ちを滲ませながら振り返って言う。それを知って敢えてなのかはわからないが、気にしていない様子で
「だってどのクッキーがいいか悩んでたんだもん!クッキーどれもおいしいし……」
と返す。
「だってじゃないわよ…この便に乗らなきゃ待ち合わせに遅れるのよ…」
「分かってるよ…従兄弟か…どんな顔なんだろ…」
そう、彼女たちは祖父の米寿祝いに向け母の故郷に帰省するのだ。パリに住んでいる彼女たちはなかなか祖父母に会うことはない。だから彼女は自分の従兄弟にあったことがないのだ。
「あれ?…あなた初めてだっけ?ヒデ君に会うの…」
「うん…たぶん」
こうして下田知佳とその母信代はパリから日本へ向けて旅立った。
Ⅹ-4
都内某所
「秀樹ー!、早くしないとフェリー遅れるよー!!」
「分かってるって!ちょっと待ってよ…今セーブして……OK!今行く!」
俺は階段を駆け下り歳の離れたナナねぇのもとへ行く、久しぶりにじーちゃんに会うのだ楽しみに決まってる。
「お待たせ…行こうぜ」
外に出ると
「ちゃんと招待状持った?」
「んあ? この変な手紙の事か?」
「そうそう、それよ。 ほら、ちゃっちゃと乗りなさい!」
そうせかされて車に乗り込み、埠頭へと向かった。
まだ俺はこの時分かっていなかった……
この後起こる惨劇の事など…
都内埠頭
「お久しぶりですノブおばさま」
「あらあら奈々ちゃんにヒデ君二人とも大きくなったわねぇ…もうご両親が亡くなって……何年かしら?」
どのくらいだっけ?と考えていたが思い出せず、ナナねぇに聞くと
「10年だと…」
確かにそうだった気がする。
両親は俺が7歳の時に車が鉄骨の下敷きになって死んだ。
一部の警察官は事件性を訴えていたようだが早々に捜査は打ち切られたらしい。おれはそこまでしか知らないが、ただ両親の死に顔がケーキを机から落としたかの様に潰れていたのを見たくも無いのに人混みの合間から見てしまったのだけは今でも頭に残っている……
少し忙しくなりすぎた頭のなかをからっぽにしようと頭を上げようとした時、ふと目の端に一人の少女が目に入った。しかし見たこともない子で、名前を聞こうとしたとき、
「あっ…えっと……初めまして下田知佳、14歳です……よろしく」
と手を差し出して来たのでこちらもよろしくと伝えフェリーに乗り込んだ。
荷物を部屋に置き一度食堂に集まりみんなで遅い夕食女をとるのだった。
ほとんど帰ってこないノブおばさんと俺、ナナねぇ、さっき知り合った知佳って娘の四人で食卓を囲むのだが、女が三人寄ると姦しいとはよく言ったもので、俺を置いてけぼりにして盛り上がっていた。まぁ、こうなるのは見えていたといえばそうなのだが、しかし、よく話が合うものだ。俺はそんなことを考えながら出された食事を無言で食べ続けた。
食べ終わってふと顔を上げると会ったばっかりの知佳って娘とナナねぇがかなり仲が良さそうに話していたのを見て驚きながら、俺は特に会話に参加する気もなかったので、それを横目に見ながら一足早く読みかけの本を読むべく自分の部屋へ戻った。
目当ての本は見つからず、ベッドに横になり穏やかなさざ波の音を聞きながらぼんやりしていると、急にさっきの会話を思い出した。それにあの知佳って娘が初対面ではない気もしていた。実際は初対面なのに何故だろう、懐かしい気がする。
そうやって半ばまどろみながらベットに横たわっていると、両親の話題に触れたからか、急に母親の顔を思い出した。父親が出てこなかったには俺が嫌っているからだろう。両親が死ぬ直前は父親と母親はよくケンカしていた。理由はもう覚えていないが、子供心に父親が許せなかったのだろう。もう少しちゃんと向き合っていたら何か変わったのだろうか、そうすればあの日で出かけることはなかったのではないかなどと思い始めた。こうやって過ぎたことを無駄に考えている自分が情けなく、そんな自分が嫌になり、目をつぶり寝る事にした。
目をつぶると水が頬を伝った。
久しぶりの涙だった。
そういえば前に泣いたのっていつだったか………
もう、しばらくは泣いたいなかったように思える。両親のことに関していつの間にか俺は泣かなくなっていた。それが泣くことを恥ずかしいと思うようになったからなのか、姉に甘えなくなったからなのか、はたまた両親の死が自分の中で風化したからなのか俺にはわからないが、気付いたら涙腺が枯れたかのように、泣くことは無くなっていた。
そんな俺が何故今更ないているのだろうかと疑問を抱いていると、突然襲ってきた眠気に誘われ、そのまま意識を手放した。
こうして俺達は招待状の送り主である祖父の元へ向かった……
初回、いかがでしたでしょうか?
過去に書いて投稿していなかった作品なので、少し文章が稚拙ですが、お見逃しください。
次回、幕開け(aube)
次回も~サービスサービスぅ~!! ←