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 電話を受けた玲治が来たのは、それから5分後であり、息も切れ切れの状態で寮長室に駆け込んできた。


「紫音!さっきの電話はどう言う意味だ!!嘘だったらぶん殴るぞ」

「嘘じゃないって!!寮長がそう言ってたし!!」

「寮長!!」

「とりあえず、一ノ瀬も落ち着け。そしてそこに座れ」


 話はそれからだと言いはる清水に、玲治は渋々従い理麻の隣りへと腰掛けた。出された水を飲みほし、清水に視線を戻す」


「お前と篠宮が幼馴染とか、世間は狭いな」

「んな話より、なんであいつなんだよ。納得いかねーわ」

「そんなこと言われても、俺が決めたわけじゃないし。部屋は満室で、一人部屋も2年じゃ仙道くらいしかいなかったんだ。2年はほかの学年より人数多いし」

「じゃあ俺が変わる」

「残念だけど、部屋はもう決定したら移動不可。そんなことが許されたら、元も子もないし。それこそ大混乱になるのは目に見えてるからな」


 全くの正論に、玲治は「うぐ」と言葉を詰まらせる。


「確かに俺も今日篠宮を見て、不安にはなったが。幸いお前の部屋はひとつ挟んだだけだし。何かあったら助けてやれ」

「助けを呼べる時間があるのか……あぁ……不安だ」

「そういっても、あいつに対抗できるの、あの付近じゃお前くらいだろ?篠宮もお前なら気兼ねなく助けを呼べるだろうし。まぁ、頑張りな。俺も暴力関連以外なら助っ人行くから」


 部活に支障が出るのは勘弁な、と付け加えこれで説明は終わったようだ。パソコンを閉じ、エナメルバックを肩に担ぐ。


 4人は寮長室を出ると、そこで体育館に向かう清水とは別れた。


 おやつを買いに行くという紫音とも別れ、理麻と玲治は2人でエレベーターに乗り、理麻の部屋に向かった。


「ねぇ、仙道……君?って、どんな人?」

「……自由に歩き回る死刑囚」

「え……」

「マジで、どんな選び方なんだよ。今から理事長のとこ乗り込むか」

「そういえば、理事長さんって、玲治の叔父さんなんだね。メガネ外したら似てたし」

「あれ、言ってなかったっけ」

「うん、ていうか玲治の親戚の人はあまり知らないかな。会わないし、会う機会あっても、僕あんまり会いにいかないし」

「兄貴と友梨くらいだろ?お前が緊張しないの。あとお袋か」

「うん。ちっちゃい頃から会ってたから」


 親同士が仲がよく、二人は小学3年生からの仲だった。


 懐かしい昔話を交わしていると、目的の階にたどり着く。一旦玲治が自分の部屋により、荷物を置き(その時に玲治の同室者とばったり出会い、理麻はあたふたとしてしまった)、今は理麻の部屋である3721号室のドアの前に立っている。


「大丈夫かー?俺が先に入って、見てくるか?」

「だ、だいじょう、ぶ。僕が……やる……」

「無理すんなよ?」


 こくんと頷いた理麻は、震える手で学生証をドアの横にある、カードリーダーにかざそうとする。


「おい、邪魔な奴がドアの前立ってんじゃねぇ」




 機嫌の悪そうな、低い声が後ろから聞こえ、理麻は石化したようにそのまま固まった。





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