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「あー、それで?青虫さんって誰?」
「俺の寮の部屋に寄生している、無駄に青い青虫」
「あぁ、仙道か……。まぁ、確かに青虫だわ」
「ちなみに生徒会長は黄金虫だ」
「ぶはっ!!あの会長が、黄金虫って!!笑えすぎて腹痛いわ!!」
けらけらと爆笑する皐月を横目に、閃夜は淡々と話を進める。
「その黄金虫が俺のことを、血眼になって探しているらしい」
「あー、そういえばそんなことを月影が言ってたなぁ。理由はまだわからないみたいだし。詳しいことは直接聞いてみたらどうだ?」
「……顔がわからん」
「閃夜、大体喧嘩も敵のリーダー倒して帰るもんね。うちの情報屋だよ、そしてクラスメイト。ほら入野悠っていたろ?」
「あぁ、あいつか。機会があったら話しかけてみるか」
「っていうか!!」
そこで思い出したかのように、突然大声を上げた皐月は両腕を広げて閃夜の前に立ちふさがる。その一歩手前で閃夜は歩みを止めた。
「なんだ急に」
「危うく聞き逃すところだった。喧嘩売るって、誰に売るんだよ」
その問いかけに、閃夜も自分が言いだしたのを忘れていたのか「あぁ……」と言い、皐月を指差した。
「お前の伯父さん、だっけ?あいつ一回蹴っ飛ばさなきゃ気がすまない」
「えええええええええええ?!」
「うるさい、大声出すな。めんどくさい奴らがよって来たらどうする」
「いやいやいや、だって予想外すぎる相手で!……もしかして、寮のことで……」
「よくわかったな、さすが幼馴染」
「根に持ってるのね、同室者のこと」
当たり前だと返事をして、閃夜は皐月の脇を通り過ぎ、歩みを勧めた。別にどこに行くわけでもないが、たまには夜に出歩きたい時もあるのだ。
「でも、圭吾さんまじ喧嘩強いし……やめたほうが……」
「お前は俺があいつに負けるとでも思ってるのか?というより、反撃される前に仕留める」
「ダメだって!理事長!相手理事長だから、ね?やめよう?」
「納得いかない」
ますます不機嫌顔になった閃夜に苦笑しつつ、横に並んで歩く。今日は喧嘩も起こってないのか、静かな夜だ。しかし夜というのはやはり危険な時刻らしい。
「おいおい、あれって皐月じゃねーの?」
「お、まじじゃん。ちょっとツラ貸せよ」
歩いていた路地の前方から、不良の団体がぞろぞろと歩いてきていた。皐月に気づくやいなや、こちらに近づいてきていた。およそ10人ほど。人数からして有利と思っているのか、全員が余裕溢れた表情を浮かべている。
「俺は無視か」
「いや、顔知られてないだけだと思うけど……」
「何コソコソ話してやがんだ!!」
「あのさぁ、ここ一応俺らの縄張りなんだけど?こんなとこで喧嘩売ろうなんて、浅はかじゃないの?」
「あぁ?調子乗ってんじゃねーぞ?むしろ自分らのシマで負けたとあっちゃ、『skyscraper』の副リーダーも落ちぶれんだろ」
「へぇ……勝てるって思ってんだ」
目の前のやつらは徐々に詰めよりながらも、適当な間合いをあけている。気づけば後ろにも回り込まれ、二人は周囲をぐるっと囲まれていた。
前回なかった絡まれるシーン。今回は暴力的描写が3割増くらいだと思います。
苦手な方はご注意!でも表現力ないから、あっという間に終わると思います。




