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ゼロから学ぶ魔王の世界征服論  作者: 國白龍智
第一章 かつての魔王の成れの果て
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4属の賢皇の卵

「はっはっはっは!すまんすまん。まさかこうなるとは思わなかったよ」



「うぉい!大したことないって言ったの誰だ!」



「まぁまぁよいではないか。雫陰のこの潜在能力は目を見張るものがあるぞ?戦闘能力も高そうだしな」



「くそ…」



☆★☆★☆


~30分前~


「ん…ホント、重…いな!それっ!」



「お、開いたな。それじゃ今すぐ壺から離れるんだ。襲われるぞ?」



「はぁ?一体どういう…」



「雫陰!前!」



「ん?…ってなぁぁぁ!?」



僕の目の前には乗用車二台を重ねたぐらいの大きさのトカゲによく似た生物が居た。



「雫陰!今から私が言うことを理解するんだ!」



「へ、えぇ!?」



「これからそのカルポスは4本の触手を出してくる。それぞれ「赤」「青」「緑」「黒」の4色だ。ここまではいいか?」



「大丈夫!だから早く次!ってうわぁ!」



このカルポスとやらが僕を押し潰そうと凄い速さで突進してきた。

猪突猛進、殆ど一直線に突進してきたから避けるのは簡単だがカルポスが突進してぶつかった壁には大きなへこみが出来上がった。

あれだけ強い衝撃でぶつかったのにも関わらずカルポス自身にダメージは殆どないように見える。

危ないな!

なんだあれ!



「まずいな…それでその触手だが、一本ずつ手にとって体のどこでもいいから触れるんだ!それで変化した属性を見極めることができる!」


「わ、分かった!」


「それと触手で攻撃もしてくるから絶対に受けるなよ!下手をすれば死ぬ!」


「ちょ、マジか!」


「幸運を祈る!」



よーしよし…落ち着け落ち着け。

冷静になるんだ。



「触手ってのはあれか」


カルポスからは四肢から一本ずつ細い管のようなものが伸びていた。うねうねと動いていて正直あれに触るのは少し躊躇いがある。

しかしそうも言っていられない。

落ち着いてカルポスを観察するんだ。



「よし…もう大丈夫。冷静になればなんてことない。はずだ」


「グルルル!」


「それじゃ一本目!」



これは赤…多分「火」だな。

体の一部…手でいいか。



「よし。変化は…燃えているな」


カルポスのトカゲのような体が全身炎に包まれた。

ファンタジーゲームで例えるならファイヤーリザードとかそんなどころだろうか?

まぁでもこれでまず1つ属性が確定したな。



「グルルルル!!」


「おっと…次は……青の触手!」


「グモォ!」


思っていたよりも順調に触手にかかって触ることができる。

案外簡単に終わるか?

変化は…液体になったな。

見た感じのイメージは液体が燃えているような感じだ。

……あれだ。

灯油を床に撒いて、それに火をつける。

それが動いてるいる感じ。

既にトカゲの原型はないな。



「ゴボボボボ!」



って…これはまずいんじゃないか?

触手が伸びているのは確認できるが、体が液体になった分さっきまでのような猪突猛進の攻撃だけでなく、自身が液体である特性を生かして色々な角度から僕を襲ってくる。

かなり厄介だ。


「ゴボ!」


「うぉい!ありかよこれ!?」


「頑張れ!残りは2つ!」


「簡単に言うなクソ……まぁいい!とりあえずやるだけやってやる!さぁ来い!カルポス!」


「ゴボ!」



攻撃のタイミングを見計らえ…

落ち着いて相手の動きを見るんだ…



「そこだ!」


よし!緑の触手を取ったぞ!

変化は…



「嘘…だろ?」



カルポスは体の形状を不透明に変化させていた。

ただでさえ液体になって見えにくいのにそれが不透明になったのだ。

たちの悪いことに全身を包む炎までも不透明化している。

どうやって対処すればいいんだこんなの!



「おお…雫陰は3つの属性を得意とするのか…やはり見込み通りだ。雫陰!後、一本だ!頑張れ!」



軽く言ってくれるなぁおい…

液体化しただけでも手に負えないのに不透明になったんだぞ?

まともに視覚で確認できやしない。

でも…



「ここまでやったんだ!最後までやってやる!さぁ来いカルポス!」


「ゴボボ!!!」


今度はさっきみたいにまともに見ることが出来ない。

動きを視るのはほぼ不可能。

攻撃パターンも殆ど分からない。

となると唯一出来るのは…


「気配を感じるだけか?それっ!ここか?」


「ゴボボ!?」



違う。

これはただの突起だ。



「ゴボ!」



これも違う。



「ゴボボボボ!!!」



これも違う。

そう言えばキルメスはさっき「触手で攻撃」してくるって言ってなかったか?それを受けるなとも。

それなら…



「グボォォ!!!」


「これだ!」



受けずに手で止めてしまえばいい。

幸い触手の攻撃はそんなに強くはない。

あの突進に比べたら大した威力ではないからなんとか手で受け止めることができる。

それでもちょっとは痛いのだけれど。

どちらかと言うと首に巻き付いて絞殺する能力の方に長けている気がする。

だから受け止めるなと言ったのか。

まぁ、別に問題は何もなかったが。

そして変化は…液体から金属質の体になったか。

これで僕の適正属性の検査は終了だ。

まさか、全属性が使えるとは。

僕自信驚きだ。



「よし!良くやった!後は私に任せろ!」



それからは凄かった。

僕があれほどてこずったカルポスをいとも容易く気絶させて再び壺の中に封じたのだから。

何かキルメスにはあの手の魔物に対する対抗手段を持っているのだろうか?

変化したカルポスの体を最初のトカゲの状態に戻してしまった。

……謎だ。

魔法、か?



☆★☆★☆


「さて。何にせよ雫陰の得意属性が分かったわけだが…いやはや」


「どうした?」


「私も長い事生きてきたが得意属性が4つ全てなのは1人しか聞いたことがないのでね。私でさえ2つだというのに。私の目に狂いはないようだな」


「…前にも居たのか?」


「居たらしいね。直接見たわけじゃないがアクルカンで知らない者は居なかったよ。名前は確か…………」


「ん?」


「忘れたなぁ。はっはっは!」


おい。

キルメス。

そういう大事なことは覚えておけよ。



「名前は忘れたが人間の[ニホンジン]とか言う奴だったな」


「え!?ちょっ!キルメス!その話詳しく聴かせてくれ!」


「いや、私は殆ど知らないよ?その頃は私もまだ魔王で色々忙しかったし。それにもう何百年と前の話だからなぁ…」



ニホンジン…これは日本人と変換しても問題はないよな?

僕以外にもアクルカンに来てる人が居たなんて…



「その人は今どこに?」


「もう死んでるよ。その人の石碑なら残っているがね」



それもそうか…

人間の寿命は100あるかないか。

何百年も昔の話なら無理はない…か。

でも…


「その石碑はどこに建ってるんだ?」


「この村だよ。なんでも彼の故郷はここらしくてね。晩年自分が死ぬ時はこの石碑を建ててくれって頼んだらしいんだ」


「キルメス。そこに案内してくれ」


「勿論だ。君も[4(しぞく)賢皇けんおう]としての資質があるんだ。気になるのは無理はない」


「4(しぞく)賢皇(けんおう)?」


「そうだ。アクルカン至上初めての4属性を自在に操る者だったからね。彼が死んだ後そう呼ばれていたよ」


「そうなのか」


「それじゃ石碑の場所まで行こうか」

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