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ゼロから学ぶ魔王の世界征服論  作者: 國白龍智
第二章 無知=学習意欲
17/21

冒険者特別支援係

~アインハルトギルド第三支部•アクルカン住民登録受付窓口~


今日はあの日から数日経ったある日。

僕はコロウィリウスさんに貰ったお金をどうするかエインさんに相談をしに来ている。

とは言ってもエインさんは受付に居ないので部屋の奥へ呼びかけてみる。


「エインさ~ん!居ますか~!」



そう僕が呼びかけたらやっぱり何やら奥の方でガタゴトと物音がしたと思ったらエインさんが慌てて出てきた。

…一体何をしているのだろうか?


「あわわ!き、霧原さん!何かご用事で?」


相変わらず落ち着かない感じだな。

それがまた可愛い所でもあるのだが。


「うん。僕がコロウィリウスさんに貰った莫大なお金をどこか安心出来る場所に保管できないかと思いまして。どこかいい場所があれば紹介してもらいたいなと」


「そうですか…でもあれだけのお金となるとそう簡単には保管出来る場所が無いかも知れません。ログリモの村の銀行でも一個人につき上限が金貨百枚分。ましてやその何倍もあるんですからね…」


僕がコロウィリウスさんに貰ったお金の合計は約金貨5000枚分。

日本円で例えると五億円分。

未だに実感が湧かないが僕はとても大きな額のお金を譲り受けたようだ。

エインさん曰わくこれだけあればちょっとした組織が作れるのこと。

運送業とか商業とか大体の事業が立ち上げられるらしい。

現状はやりたいとは思わないが。


「……じゃあ逆にそういう倉庫を自分で作るというのは?」


「あ!それなら出来ます!少しお金が必要ですけどある程度の土地さえあればそれ以上のお金だって保管出来る建物が作れます!」


なんだろう…不思議と活き活きしてるな。


「そうですか…それなら面倒かもしれないんですけどその手配をしてもらうというのは…?」


「任せてください!それならまずどの土地がいいかこの資料の中から選んでください」


そう言ってエインさんが出したのはログリモの村の様々な土地の風景や細かい情報がかかれた沢山の資料。

ざっとみた感じは地球の不動産とは少し違うようだ。


「……とは言われても何がよくて何が悪いのか今一つ分からないんですけど‥」


「あ、す、すいません!それだったら直接その資料にある土地を見て回りませんか…?」


視察…ということになるのだろうか?

それならその方が断然いい。

どうせなら自分の気に入った場所に作りたいからな。


「お願いします。それなら誰か別の職員の方が同伴してくれるんでしょうか?」


「い、いえ!私が同行します。ここには私しか職員は居ないので。それに…」


「それに?」


「アクルカン住民登録受付窓口は今日で廃止なんです。なんでもログリモの村にはもう住民登録を済ませてない人が居ないそうなんで。明日から私はまた別の課で働くことになってます。場所はここですけどね」


まぁそりゃそうだろうな~

いくらなんでも僕以外に住民登録をしてない人なんて居るわけないだろうし。

正直暇そうだったもんな。


「そうなんですか。それじゃ同行お願いします」


「はい!」


☆★☆★☆


~ログリモの村~


「それでは始めはここです!」


僕が最初に案内してもらったのは周囲に40m間隔で民家がある至って普通な土地。

広さは縦15m横10mのそれなりに広い土地。

近辺には雑貨屋と武器店があるらしい。

価格は金貨20枚。


「どうでしょうか?」


「それなりにはいいと思うんですけどやっぱりまだ最初なんで他の場所も見てみたいです。取りあえずは保留で」


「分かりました。それじゃ次の場所へ」


次に案内されたのは先程とは打って変わって辺りに何もない、よく言えば静かで落ち着く場所。悪く言えば殺風景で面白みがない場所だ。

広さは縦横30mの正方形だ。

値段は金貨23枚。


「ここはどうでしょうか?」


家を建てるというのであればここは少し条件が悪いかもしれないが今回の僕の目的は安心してお金を保管できる倉庫作り。

周りに人気がないというのは好都合かもしれない。

何より広さも申し分ないからな。


「そうですね…条件としてはかなりいいんですけどもう少しだけ見ておきたいです。いいですかね…?」


「はい!勿論です♪」


協力してくれるのはありがたいけど、さっきからなんでこんなに楽しそう‥もとい嬉しそうなんだろう?



その後僕は更に数軒の土地を見に行った。

広さと金額こそ様々であったがどの土地も二件目に見た土地の魅力を越えるものはなく結局二件目の土地を買う事になった。



「それでは私の方からギルドへ申請しておきますね」


その言葉を聞いて思ったがアクルカンでは多分ギルドが地球で言う役所仕事を全て担っているのだと思う。

今日の不動産的仕事もギルドを介するみたいだし。


「ありがとうございます。今日は本当に助かりましたよ」


「い、いえ!私が言い出したことなんで霧原さんは気にしないでください」


「でもやっぱり何かお礼はしたいなと思うんですけど…?」


「はわ!?」


僕がそう言った直後エインさんの顔が真っ赤に染まった。

何かマズいこと言っちゃったかな‥?


「あ、あの!すいません…私、見ての通り落ち着かないドジな者なんで誰か他の人にそうやって感謝されるのは初めてなんで…」


あ~…なるほど。

それでそんな真っ赤に。


「でもそれなら尚更何かお礼をさせてはもらえませんかね?僕としても今日は凄い助かったので」


「そ、それなら…!wtsn……」


…何を言っているの分からないぞ?


「あの、すいません。もう少し大きな声で話してもらってもいいですか…?」


「そ、その…これからも私の所へ来てくれませんか…?きっとお役に立ちますので‥」


…何をそんなに照れる必要があるのだろうか?

僕は本よりそのつもりだったけど。


「はい。勿論です。今日は土地を購入出来ましたから次は建物の設計等を手伝ってもらいたいですし」


「そ、それなら良かったです!これからもよろしくお願いします!」


くそ…

可愛いじゃないか!


「此方こそよろしくお願いします」


「ありがとうございます!あの…それでちょっと一度ギルドの方へ来ていただけないでしょうか?」


「…?いいですよ?」


☆★☆★☆


~アインハルトギルド•アクルカン住民登録受付窓口~


「これから何を?」


「さっきも話しましたが今日で住民登録受付窓口は廃止です。それで新しい課が設立されることになったんですけど…その条件として今日中に誰でもいいから1つ依頼を受けてそれをこなすというものがあったんです。それさえ出来れば私の好きな課を作ってもいいと」


へぇ…

ギルド側からエインさんの職を奪うような形になってるのにわざわざそんな面倒なことをさせるんだな。


「それで今日霧原さんが私の所へ来て私に頼み事をしてくれました。そこで1つ聞きたいんですけど…今日私は役に立ったのでしょうか…?」


さっきも言ったような気がするけど…


「はい。とても助かりました」


僕がそう言い終わるや否やどこから現れたのか1人の男性が僕の目の前にやってきた。


「おn…ローエンス様!」


「ふふ…君が私の妹に依頼をしてくれた人だね?」


ん?

妹?


「そうですけど…あなたは?」


「これは申し遅れた!私の名前はティルファ=ローエンス。アインハルトギルド•ギルドマスター兼我が妹、エインの兄だ。以後宜しく頼むぞ霧原雫陰」


「え、…あの、はい???」


「もう!ローエンス様!突然話を端折り過ぎです!」


「おや?エインよ。ギルドの中とて周りに職員が居なければ[お兄様]でいいのだぞ?」


「呼びません!」


「それは残念だ。して霧原雫陰よ、此度のエインへの依頼、エインが役に立ったのは本当だろうな?」


何度目だよ…


「はい。本当に助かりました」


「それならエインよ!お前の望み通り自分の好きな課を作るがいい。約束は守ろう」


「ありがとう…でもちょっと帰ってくださいローエンス様」


「何故だい?エイン。私はこの霧原r」


「鬱陶しいんです!」


酷い言われようだ…


「これは嫌われたものだな。それでは雫陰君、今日はこれで帰るが何かあったら私の所へ来なさい。妹の想i」


「キャァァ!!!ちょっとローエンス様!さっさと帰ってください!ほら!そろそろアムナノーグへ行く時間でしょう!?」


「おや?本当だ。それでは雫陰君またそのうちに」


……なんか凄い慌ただしかったけどなんだったんだ?


「あ、あの、霧原さん…お兄様が言ったこと、気にしないでくださいね…?」


「え、あ、はい。気にしないようにしますけど…エインさんのお兄さんって(居たの初めて知ったけど)ここのギルドマスターだったんですか?」


「はい…あんなマスターらしくないお兄様でも一応ギルドマスターです…」


マスターらしくないって…


「それにエインさんの名前って下の名前だったんですね。すいません気安く下の名前で呼んでしまって。次からはティルファさんで…」


「い、いえ!このままでいいです!私ももうそれに慣れてしまいましたので」


「そうですか。そういえばお兄さん新しい課を作るがどうのこうの言ってましたけど…?」


「あ…それもさっき話した住民登録受付窓口に変わる新しい私の職場です。前から1つやりたいことがあったのでお兄様に頼み込んで…」


それはなんとも… 

ギルドマスターが兄だからこそ出来る芸等だな。


「それで何の課を作るんです?」


「冒険者特別支援係。これからは私、ティルファ=エインが冒険者の様々なお手伝いをします!」




冒険者特別支援係

僕の目の前で生まれた新しいギルドの課。

これが後々僕の冒険(キルメスを魔王にする兼元の世界へ帰る)の大きな助力となるのを知るのはもう少し先の話である。

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