生活の基礎知識? 「後編」
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~数時間後~
僕はエインさんに叩き込めるだけのアクルカンの知識を教えてもらった。
まず文字についてはまだまだ理解が追いついていない所はあるが日常生活で困らない程度には学習した。
次にお金についてはアクルカンには高いものから順に、[金貨][銀貨][銅貨][鉄貨][岩貨]の5種類があり、説明を聞く限りその値段は日本円に換算すると[金貨]は10万[銀貨]は1万[銅貨]は1000[鉄貨]は100[岩貨]は10となっているみたいだ。
とりあえずはここまで。
思ったよりも文字の理解が遅くなってしまい、これ以上は依頼を受け付けてもらえなくなってしまう可能性があったのでまた後日に教えてもらう予定だ。
「ありがとうございます、エインさん」
「い、いえ!お役にたてたのなら良かったです」
「それじゃ僕はこれから依頼を受注しにいきます。また何かあったら頼んでも宜しいでしょうか?」
「はい!ここはあまり人が来ないので…いつでも来てください!」
「ありがとうございます。それでは」
「はい。お気をつけてください」
う~ん…
あんなに可愛い娘に応援されたらどんな依頼でも達成出来そうだな。
ここに人が来ないのが不思議だ。
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~アインハルトギルド•依頼受付所~
「さて、どの依頼を受けてみようか?」
雫陰の目の前には大きな看板一面に依頼内容が書かれた紙が貼られていた。
これを受付に持って行くことで依頼を受注することが出来るシステムになっている。
「確かキルメスは魔法を使うがどうのこうの言ってたな。ならこれなんか丁度いいんじゃないか?」
[依頼ランク.A
依頼主.ルギオン城主
依頼内容.私の部下がとある病を患ってしまった。それを治すにはアーケルト洞窟の最深部にある薬草が必要だ。ただこの洞窟には3種類の魔法を使用しなければ入れない。その為内容が内容なので成功すれば報酬は弾む。勇気ある者の依頼を願っている]
「…うん。僕なら4属性全て使えるし、内容が薬草採取なら簡単だろう」
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~依頼受付窓口~
「すいません。この依頼を受けたいんですけど」
そう言って雫陰は先程の紙を受付の人に渡した。
「分かりました。それでは身分証明書を提示してください」
「はい」
「……あの、申し訳ありませんが霧原様のギルドランクでは此方の依頼を受けることは出来ません」
「え…あの、ギルドランクって何なんでしょうか?」
…いや、何となく想像はつくけど!
「ギルドランクはアクルカンにおける全てのギルドに共通する言わばその本人の力量を現す位の事です。当ギルドではA~Gまでのランクの依頼を扱っており、霧原様が受けようとした依頼ランクはAになります」
確かに依頼紙にはランクAと書かれている。
「そして霧原様のギルドランクは最低辺のG。現状は依頼ランクG以上の依頼を受注することができません」
あぁ…エインさん。
ここら辺のギルドに関する簡単な知識を吹き込んでくれたら良かったのに…
「あの…どうすればギルドランクを上げることが出来るのでしょうか?」
「その方法は様々です。一般的な例を挙げるのであれば、
①自分が受注出来る一番上のランクの依頼を30達成させる。
②各ギルドで不特定に発生する緊急依頼を達成させる。(緊急依頼はそのランクに関係無しに誰でも依頼を受注することが可能。また、その依頼が自分のランクよりも高い場合、それを達成させることによりその緊急依頼と同じランクへ飛進級が可能)
③各大陸の王族、ギルドマスターによる進級の申請がある場合そのランクに進級することが可能。
大体はこのようになっております」
なるほど。
仕組みはほぼ理解した。
現状は①の方法をとる方が無難か。
でも一応聞いておくか。
「そのギルドランクはどうやって確認すればいいのでしょうか?」
「身分証明書の[ギルド]の枠に触れて頂ければ確認することが可能です」
身分証明書の[ギルド]……
あぁこれか。
霧原雫陰
ギルドランク.G
依頼受注記録
SS.0
S.0
A.0
B.0
C.0
D.0
E.0
F.0
G.0
緊急依頼.0
達成回数.0
不達成回数.0
こんなものがあったのか。
多分この記録は依頼を受注すれば勝手に記録されるのだろう。
M○と一緒だな。
「以上で説明を終了いたします」
「ありがとうございます」
それじゃもっかい選び直すか。
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~依頼受付窓口~
「それじゃ次はこの依頼を」
僕が選んだのはログリモの村に住む老人の家事の手伝い。
基本的にはゴミを燃やしたり、風呂を沸かしたりする「火」の魔法を主に使う依頼。
これなら魔法の練習にもなるし、ランクもGだから問題ないと思う。
「分かりました。それでは霧原様にはこの依頼を受注して頂きます。期限は今日中。報酬は銅貨3枚です」
家事の手伝いで3000円なら割がいい方か。
それじゃぱっぱと終わらせましょうかね。