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部活の廃止と兄弟制度

教員と生徒、そしてその親達の意識は変わった。


次は現実的な資源と結果を生みだすフェーズだ。


基本的に学校の予算は決まっている。うちだけ特別に上げてくださいは通じない。

ではどうするか?


ゼロと僕は次のターゲットを決めた。次のターゲットは予算の確保だ。


僕達は学校を見て回る。すると部活に結構なエネルギーを割いている事が、わかった。


生徒は必ず部活に入らないといけない、そして内申書にも影響するようだった。


教員達はみな部活の顧問をしているが、その間の給料は支払われていない。


そこでまず部活の成果について調べた。


調べた結果、ほとんどの部で成果が上がっていない事がわかった。


次は教員達に聞き取りを行う。

もしなんらかの事情で部活ができなくなったらどうすると尋ねると、

「それの方が助かる」

と答えた。


次は生徒達に聞く。

部活をしなくても、内申書にも影響ないし、怒られなかったらどうすると尋ねると

「もちろんやらない」

と答えた者が多かった。


中には、

「身体を動かす場がないと身体が鈍る」

と答えたものもいたが、


その時間をバイトできるならどうすると尋ねると、

「お金のほうが良いに決まってる」

と答えた。


これで決まった。

部活は僕たちが校長である限りは無期限休止だ。


さっそく職員室で告知する。

一瞬、動揺がはしったが、

「あ~よかった」

と安堵する声があちらこちらから聞こえた。


そして次の仕掛けにかかる。


僕たちは再び体育館に生徒や教員を集めた。


ここからはゼロの出番だ。


◆ ◆ ◆

俺は壇上に立った。


今度は何事かと、みんな緊張している。


「あ~。

今日は、お前らの学力をガツンと上げるアイデアを二つ持ってきた」


そして俺は壇上から生徒を見渡す。



「一つは部活の無期限休止だ。

今後は部活はしなくていい。

そして部活をしなくても、内申書にも影響ない。

ただな。設備はそのまま置いといてやる。

使いたかったら勝手にやれ。

ただお前らの遊びとしてな。

顧問もつかない。

もともと先生方は顧問を無給でやっていたからな」


生徒はざわつく。


「そして……次、

部活がなくなったから、

その分の時間を勉強に使う」


周囲がざわつく。


「ただな。

これも教師は付かない」


生徒たちは、首をかしげる。


「これから兄弟制度を導入して、

年長者が年少者に教えるという制度にする」


俺は壇上から生徒たちを見渡す。

やはり状況が飲みこめてないようだ。


「いいか。

実は勉強というのは、

教わっている時間より、教えている時のほうが身につく。

これわかるか?」


生徒たちはシーンとしている。


「じゃあお前らの中に、友達に勉強を教えた経験のある奴、

手を上げろ」


まばらに生徒たちが手を上げる。

生徒会長も手を上げている。


「お~生徒会長。お前もか。質問だ。

友達に勉強を教える時、より理解が深くならないか?

もしくは教える際に、一度頭の中で整理し直したりしないか?」


「たしかに、それはあると思います」


「そうだな。ありがとう」


「じゃあ先生方。さっき手を上げた子たちの成績は良いか悪いか?」


「いい方です」

「うちもそうです」

「うちも」

「私のところも成績が優秀です」

と教員から相次いで証言が揃った。


「ほらな。これが証拠だ。

それでな。

今日からお前らは自分の1年下の生徒に、勉強を教える。

教える相手はくじで決める。

そして月に1回教える者は変わっていく。

下手をすると、

自分より賢い年下の生徒に教える羽目になるぞ。

覚悟しておけ」


それから僕たちは、くじを作り、兄弟制度を始めた。


この部活の無期限休止と兄弟制度で、

学力は上向きだした。


また兄弟制度で相互支援をすることにより、

生徒間での支え合いが起き、孤立しにくくなった。


自己肯定感の低かった生徒が教える立場になることで、

自分を『役に立つ存在』と再認識し始めた。


年下への接し方、責任の持ち方を学ぶことで、

暴力・いじめ抑止になり、無責任な加害行動が減った。


そして何より劇的だったのが、授業への集中力が高まったことだ。

後輩に教えないといけないと感じることで、学ぶことへの責任感が強くなったのだ。



教えるという行為が、学びを生み、

学びが自信をつくり、自信が連帯をつくる。

これが教育の“最小単位”なのだと、ようやく理解できた。

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