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偽善者は長へ就任する

『ゼロを教育庁の長官とする』

突然、辞令がくだった。


就任式は、以前会議を行った会議場。

もちろんゼロはタキシードなんて持っていないので、教頭に借りた。


就任式には、かつてのライバル500人に加え、高官らしきもの達が集まっていた


「しかし……

今度の長官は貧民街の出だってな。

貧民なんて学力が低いし、金もないから、

どうせ。

金の力で勉強させたんだろ」


「ほんと偽善者だよな。反吐がでるぜ」


そう噂するもの達がいた。

ぽっと出、しかも貧民街出身者への風当たりは強い。

気にしないでおこう。



「おいお前ら」

と圧力を感じる声がする。この声は?


「偽善者でも良い。

そのレッテルを貼られても、子供らが助かるなら、それでもいい。


でもな。お前らが、本当に矜持のある人間を偽善者扱いして排除するなら、お前らは卑劣な悪だ。


いいか、よく聞け。


どんなクリーンな事業でも、必ず金はかかる。


お前らの頭がどんだけ空っぽでも、それはわかるよな!


仮に売名行為の為に寄付をしたとしても、その金には力がある。


人を救う力がある。


お前らが偽善者と罵った事で、寄付者が躊躇したとしたら、

救いを求めてる人達にとって、お前らは絶対的な悪だ。

そのレッテルを貼られる覚悟をしておけ。


それに……

みんな普通に名前を売りたいだろう。

自分の信念の為に、ワシもそうだし、お前もそうじゃないか、有名になれば、本当にやりたかった事業ができる。


自分のやり方の規模を大きくできる。

そう思わないか……

だから、売名行為だったとしても、身を削ってるなら、それは善人だと言って良いじゃないか。

ゼロは気にくわない奴だが、悪い奴じゃない。

だから選ばれた」

とクロガーネは言った。


「おっさん良い奴じゃないか」

とゼロ。


「勘違いするな。

俺はお前を認めた訳じゃないし、あれだ。

お前らのバカがうつっただけだ…

治療しないとな…」

とクロガーネ。


「旦那様、

治療しなくてもいいのではないですか?

存外格好の良いものでしたよ」

とクロガーネの従者は言った。


そこに現れたのは国王だった。

「ハハハ…

君達は、いつも面白いね。

私も国民からの評判をよくする為に事業を行う。

これも立派な売名行為だ。

では、私も偽善者だよな~

どうだ!」


国王の目は笑ってはいなかった。


「これは陛下…失礼しました。

この世には偽善など存在しません。

ただ私の心が嫉妬に曇っていただけでございます」

そう噂をしていた男たちはひれ伏した。



◆現代(数百年後の世界)

「先生、

はゼロ様のこと、どう思うの?」


「そうだね。

先生にとってゼロ様は、

英雄譚に出てくるドラゴンを倒す勇者と同じかな」


「えぇ?なんでドラゴンを倒す勇者と同じなの?」


「いいかい。ドラゴンを倒す勇者は誰を守る?」


「僕たち?人間?街の人?」


「そうだね。ゼロ様も、君や先生、街の人たちを守ったんだ。

教育という力を使ってね」


「へぇ。教育ってそんなにすごいものなんだ」


「そうだよ。先生は、教育の力を信じている。

だから教師になったんだよ」


「すごいね。先生。じゃあ先生も英雄だ」


「そうか。ありがとう」


ゼロが命をかけて守ったものは……この国の“子どもたち”だったんだ。


私はゼロ先生みたいにはなれない。

だけど、“誰かの人生を変えられる教師”にはなれる気がする。


―――恩師へ愛をこめて――― 坂本クリア


END


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