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ホラー短編シリーズ

夜道の落とし物

作者: リィズ・ブランディシュカ



 真っ暗な中、おばけが後をつけてくる。


 私は怖くなって逃げた。


 周りのビルが笑っている。


 怖い。


 お化けはどこまでもついてくる。


 どれだけ早く逃げてもだ。


 一体、どうして?


 私は助けを求めて、声をあげた。


 でも誰もかけつけてはくれなかった。


 お化けが何かしたのかもしれない。


 私は、お化けにつかまるしかないのだろうか。


 絶望した私は、泣きだした。


 空を見ると、月が不気味な笑顔をしていた。


 おかしい事ばかりだ。


 先ほどから。


 見る者すべてが怖く見える。


 それに、心臓がずっとドキドキしっぱなしだ。


 疲れ果てた私は、お化けに捕まってしまう。


 ああ、夜の道に一人で散歩するんじゃなかった。


 後悔する私に向かって、お化けは口をあけて、喋った。


「お嬢さん、平常心が落ちていましたよ」


 お化けは私に「平常心」と返してくれた。


 それを受け取った私は、怖かった心が落ち着いてくるのが分かる。


 すると、普通の景色が見えるようになった。


 私の目に見えていた怖いものは、何もかも恐怖が演出していたものだったらしい。


 私は「平常心」を返してくれたお化けにありがとう、と言ってほっとした。


 怖いお化けばかりだと思っていたけど、世の中には良いお化けもいるのだなと思った。


 けれど、冷静になって疑問がわいてきた。






 どうして私は「平常心」を落としてしまったのだろう。


 首を傾げていると、立ち止まった私を見るお化けが、大きな口を開けてこちらを飲み込もうとしていた。



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