表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
35/170

第35話 レアの町 2

「着きました」

「ここがレアの町になります」


 多くの人が町の中に入っていく。

 「レアの町」と書かれた看板は薄汚れていなかったが古びていた。

 誘導される形で中へ入るとまず(ほこり)っぽさが襲ってくる。

 砂ぼこりは私の白いローブに付与されている魔法で弾かれるが、普通に吸い込んだら咳をするレベル。


「よく咳き込まないな」

「慣れていますから」

「嘘をつけ」

「強がるな」

「エルゼリアさん。ここに来る時テレサが風属性魔法を使って埃を避けているのです」

「ちょ、ガラック?! 」

「確かに私達は他の冒険者と比べてここに来る頻度は多いですが、どうしてもこの埃っぽさは慣れることが出来ませんので」

「なるほどね」


 いつの間に魔法を使ったのかと、その手際(てぎわ)の良さに驚きながらも、ガラックに拳をめり込ませている魔法使いテレサに苦笑いする。

 中の良い事で、と思いながらも軽く全体を見る。


 雰囲気は暗い。

 これがアースドラゴンのせいなのか、食料不足のせいなのかはわからない。

 しかしいい雰囲気ではない事はよくわかる。

 犯罪に注意しないと、と少し警戒心を上げてテレサについて行く。

 気絶し引き()られているガラックを目で追いながら歩いていると金属特有の臭いが漂ってくる。

 鉱山都市や鍛冶工房などでよく嗅ぐ臭いだ。


「まず冒険者ギルドに行きましょう」


 テレサが声をかけて私達は煉瓦(レンガ)状の建物に向かう。

 作業服を着た人達とすれ違う。

 種族はまばらだがドワーフ族と獣人族が多いように見える。

 彼らの表情はどこか暗い。


「前来た時よりも暗いですね」

「ドラゴンが住み着いた影響でしょうね」

「気をつけないと」

「仕事が出来なくなるからな。ここに限らず仕事場にドラゴンが住み着くとこうなる」

「……必然」


 やはりドラゴンという存在は驚異的なようだ。

 チラリと我らが精霊獣様を見るがドラゴン肉にルンルンだ。

 ……決して簡単に狩れる魔物じゃないんだがな、と溜息をついているとテレサが止まる。

 慣れ親しんだ様子でいつの間にか起き上がったガラックが扉を開けて、私達は冒険者ギルドへ足を踏み入れた。


 ★


 建物の中は思ったよりも笑い声で(あふ)れている。

 陽気な気風(きふう)なのか、と一瞬考えたのだがそれはないだろう。

 食料不足にドラゴンによる鉱山の占拠(せんきょ)

 仕事が無く腹も空いているのでギルドで暇を潰しているという感じだろう。


 観察しながらも先に進む。

 すると一人の男性が声をかけて来た。


「おうリアの町のテレサじゃねぇか。仕事ならないぞ」

「この町は絶賛ドラゴンに襲われている途中だからな。ハハッ」

「分かってますよ。しかし私は護衛任務でここに来ただけです。お気遣いありがとうございます」

「護衛任務? リアの町に仕事があるのか? 」

「この方は特別ですよ。リアの町に護衛任務がそんなに頻繁にあるわけないじゃないですか」

「ということはそっちの銀髪エルフのねぇちゃんが護衛対象か」

「……エルゼリア殿だ。無礼は許さん」

「おいおい剣に手をやるのはやめろ。いくらイラついてるからってバカなことはしねぇよ」

「……ならいい」


 ボルが腰にしている剣から手を離すと空気が弛緩(しかん)した。

 落ち着いた雰囲気のボルだが過激な所もあるんだな。


「一先ず依頼の経過報告を」


 入って来た時よりも静かな中を歩いて受付に行く。

 護衛依頼の場合、途中の町で経過報告するのが普通だ。

 隣町だから端折(はしょ)っても良いが規約は規約。

 経過報告をすると「ありがとうございました」と言われて解放される。


「さっきは悪かったな。俺の名前はリットンだ」


 受付から離れるとテレサに話掛けていたと男冒険者が話掛けてくる。

 私も自己紹介をして「かまわない」と返すが、彼の目が私の肩に固定されていることに気が付いた。


「我はソウ。精霊獣ソウである!!! 」


 ソウは注目されていることに気付いたのか堂々とした名乗りを上げた。


「精霊獣?! 」

「なんでこんなところに!? 」

「竜型だと?! ありえねぇ! 」


 ドラゴンの子供と間違われるよりかはマシなのだがこの驚きよう。

 これ収拾(しゅうしゅう)するのか? と疲れながら「どうしようか」と考える。

 しかし、無理だ。自然に落ち着くのを待とうと考えていると、私の気苦労を知らずか肩の方から声が聞こえてくる。


「もう待ちきれん。エルゼリア。我はちょっと狩りに行ってくる!!! 」

「?! おいソウ?! 」


 その言葉に驚き引き留めようとするが時すでに遅し。

 丁度ギルドの扉が開いたと思うと超速でそこをすり抜けていった。


 ギルドの皆が唖然(あぜん)とする中、ソウに吃驚(びっくり)して尻餅(しりもち)をついた冒険者に手を差し伸べながら謝る。

 彼女を引っ張り立ち上がらせると「ぐぅ」とお腹が鳴った。


「す、すみません」

「いや気にしないでくれ。この町のことは話に聞いている」


 ぺこぺこと頭を下げる女冒険者を見送っているとリットンと名乗った冒険者が近付いて来る。

 それに合わせてかテレサ達も私に近付いた。


「おいおい俺は危険人物じゃねぇよ」

「……用心(ようじん)()したことは無い」

「……用心しすぎだっての。まぁいい」


 リットンとボル達の関係は良好なようだ。

 微笑ましく見ているとリットンが溜息をつきながらもコホンと軽く咳払いした。


「さっきも言ったが再度名乗ろう。俺はリットン。そいつらと同じCランク冒険者だ。なにか依頼があったら言ってくれ。護衛から討伐までなんでもこなすぜ」

「おいリットン。貴様抜け駆けする気か! 」

「待て。俺は――」

「俺も――」


 リットンは自分を売りに来ただけか。

 この町でご指名は自分にと。

 普通に考えると私は護衛を雇えるほどの人物と映るだろうから不自然なことではない。

 しかし余程ドラゴンに仕事を奪われたようで、自己紹介の嵐が私を襲う。

 それを軽く(さば)きながらも特徴ある人物だけ抑えていく。流石に全員を覚えるのは不可能だ。

 ぐいぐいくる冒険者達をテレサやガラック達が私に近付けないようにバリケードを張って私の安全を確保する。

 しれっとリットンがそれに加わっているのが面白い。


 レアの町は隣町。

 もしかしたら彼らと交流が生まれるかもしれないから雑な扱いはできないな。


 自己紹介の嵐が徐々に収まっていく。

 軽く息を吐き入った情報を整理していくと「ドン!!! 」と扉が勢いよく開いた。


「た、大変だ! 」

「ド、ドラゴンだ ! 」

「ドラゴンがドラゴンを(くわ)えてやって来たぞ! 」

「誰か倒してくれ!!! 」


 住民の言葉を聞き冒険者ギルドが騒然(そうぜん)となる。


 そんな中私は大体察してこの後どうしようか考えた。

ここまで読んで如何でしたでしょうか。


少しでも面白く感じていただけたらブックマークへの登録や、


広告下にある【★】の評価ボタンをチェックしていただければ幸いです。


こちらは【★】から【★★★★★】の五段階


思う★の数をポチッとしていただけたら、嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ