薄暗いトンネル
新作連載小説です。
これを書くのは凄いローペースなので不定期更新です。
——ポタッ…ポタッ…
薄暗いトンネルの中で水滴がゆったりとした間隔で地に落ちる。
俺は壁を背もたれにして地面に座っていた。照明の明るさはこうなることより前と同じくらいだろう、いやそれ以下か。そんなことは思い出せないし気にしたこともない。
腰あたりのホルスターから警察隊規格のリボルバーを取り出した。照明の白い光が微かにその全長を照らす。シリンダー内の残弾数を手探りで確認してまたホルスターにしまう。きっちり五発入っていた。やはり、38.スペシャル弾は見ていて美しい。ピストル弾だから口径が大きい割に火薬が少なくて威力は心もとないがな。
「おい佐久間、行けるか?」
線路に座る先輩が自前の大ぶりのサバイバルナイフの手入れを終えたらしい。薄暗いここでも光沢がはっきり見えた。
「きっちり準備は整ってますよ」
休憩とは言われたが、俺は水を飲むことくらいしかやることがなかった。そもそも俺は休憩中には何もしないタイプなのだ。
先輩は無言で立ち上がって目的地に向かって歩き始めた。こんな特徴もないただだだっ広いだけのトンネルでよく右も左も間違えずにいられるな。俺もすかさずあとを追いかける。
——ストン…ストン…
周囲に響かないほどの足音。どこに敵が潜んでいるか分からない。だから堂々と歩いている訳にはいかなかった。基本は一本道だが、視界が良好というわけではない。だから五感を張り巡らせながら俺たちは歩いていった。
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