理想の幻影
理想を持つことで、満たされない現実に満足しているふりをしていた。
理想の幻影にすがって生きてきた。
理想なんて掲げなければ、それが叶わない辛さなんて感じずに済んだのに。
理想は叶うと、叶えられると思っていた。でも、その才能が自分にはないことを忘れていた。
凡人なのに、書いている間だけは、目標に向かってもがきながら歩いている間は、そのことを忘れることができていた。
いや、忘れてしまっていた。
独りよがりのものを、誰でも書けるものを、いや、書こうともしない、しょうもないものを書いて悦に入っていた。
傑作だと、読まれるべきものだと、これを書く使命が自分にはあると、勘違いしていた。
これらのものに気付けはしたが、まだ受け入れられていない。
まだ自分には何か才能があるのではないかと、勘違いしている。
どうしたら、現実を受け入れて、夢を諦められるのだろうか?