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お月見2

 お待たせしました!続きです!

 どうするのかが決まったところで、用意していたボウルにお豆腐と白玉粉を同量入れる。


「これをこねて…あ、先にお湯沸かしておくね」

「捏ねるのは俺やっておくから、お湯と氷水の用意お願いしていい?」

「うん、分かった」


 あとは水気を切るためのざると、お湯からお団子をすくうために穴の開いたおたまを用意しておいて。それに盛り付けるためのお皿も必要だよね。

 あれ?でもこれ食べる時手で食べる?手づかみ?だとすれば手を拭けるようなぬれタオルみたいなのも用意しておいた方がいい?


「ひにゃっ!?」


 そんなことをあれこれ考えて準備を進めていたら、突然耳たぶを掴まれる。


「ちょっ…、聖也くん…!?」

「うん。耳たぶくらいの柔らかさになったと思うんだけど。どうかな?」

「…………」


 ……いやいや!どうかな?じゃないからね!?それよりもっと別のことこっちは聞きたいんだけど!?


「…っていうか、私の耳たぶじゃなくてもいいよね!?」

「え?でも俺よりも愛ちゃんの方が柔らかいかなって思ったんだけど…」

「耳たぶの硬さに個人差ってそんなにあるの!?」

「どうだろう?でも何となく?俺より愛ちゃんの方が柔らかそうでしょ?」

「いや分かんないから!!比べたことないし!!」

「え、じゃあ比べてみる?」

「今それ必要ですか!?」

「んー……まぁ、今じゃなくていいかな」


 何だこの人!?久々に出たぞ!?こういう突拍子もない行動!!


「…ってゆーかさぁ、イチャイチャすんなら二人っきりの時にしてくんない?」


 突然聞こえてきた声に驚いてリビングの入り口に目を向ければ、弟がジトっとした目でこちらを見ていて。


「はわっ…!?!?」

「あ、お帰りー」

「ただいま。……って、相変わらず聖兄ちゃんはマイペースだよねぇ。たぶん今だけは姉ちゃんの反応が正しいと思う」


 一人で動揺しちゃってたけど。その言葉には流石にこう返さざるを得ない。


「今だけはってなんだ!今だけはって!」

「自分の胸に手を当てて、今までの行動を振り返ってみ?正しい反応出来てたことの方が少ないから」

「ぐっ…」


 それに関しては今年に入ってから自覚したばかりなので、何一つ言い返すことは出来ない。

 やだ。うちの弟辛口すぎー。


「それよりせっかくだしお月見一緒にしない?」

「んー……俺はいいやー。お団子は欲しいけど、宿題終わったらゲームしたいし」

「そっかー。じゃあお皿に取り分けて置いておくから、後で食べてね」

「うん。ありがとう、聖兄ちゃん」


 …………ねぇ、弟よ。私は思うんだ。君もたいがい、マイペースだよな、と。

 いやまぁ、これは聖也くんのペースに乗せられたようなものなんだろうけれども。


「ってことで姉ちゃん、冷蔵庫の中から俺のペットボトル取ってくれない?いつものお茶」

「あぁ、うん。え、っと…はい」

「ん、サンキュ。じゃあ部屋で宿題やってくる」

「うん、行ってらっしゃい」

「頑張ってねー」

「はーい」


 返事がよろしい。割と素直な弟である。

 というか、なんか二人で台所から弟を見送るっていうのも不思議な構図だな。客観的に考えると。


「さてと。じゃあ丸めるのは二人でやろっか?」

「そうだね。あ、丸め終わったらこっちのバットに乗せておいて。ある程度出来たら、今弱火で沸かしてるお湯に投入していくから」

「うん、分かった」


 氷水もセットよし。

 なんかちょっとハプニング?もあったけど。今度こそ二人並んで、一緒にお団子を丸めていく。


「……ねぇ、愛ちゃん」

「んー?」

「なんか今…ちょっと新婚みたいだなって、俺思っちゃったんだけど…」

「しっ…!?」


 今度は何言い出したの!?!?

 っていうかちょっと待って!!今日どうしたの!?


「いや別に、本当にふと新婚みたいだなーって思っただけだから。ほら、なかなか今まで二人で台所に立つことってなかったでしょ?」

「……言われてみれば、確かに…」

「小さい頃に子供四人で母さんたちに色々教わったことはあったけどさ。二人だけって、なかったよね」

「まぁ、うん…だってそんな機会もなければ、そもそも必要もなかったし」

「そうなんだよねぇ。毎年バーベキューしてるのに、下ごしらえは母さんたちがやっちゃってくれてたし」

「今考えると、結構大量の食材を準備してくれてたよね」

「ねー。ま、今は家ではそれも含めて全員参加になってるけど」

「あ、やっぱり?我が家も同じだよ。子供たちが成長してたくさん食べるようになったから、量も増えたって言ってたし」

「あ、うん。それは否定しない」

「自分で食べる分くらいは自分でやりなさいよーって言われて、弟もその時ばかりはお手伝いしてるよ」

「あはは。でも家もそんな感じかなー。俺は別に料理するのも嫌いじゃないしいいんだけど、やっぱり弟たちはゲームしてたいんだろうね」

「だろうねー。特に今はネット上で友達と遊べるから、余計に楽しいんだと思う」

「そういうものなのかな?俺あんまりゲームとかしないから分からないんだよね」

「それは私もだから」

「愛ちゃんはどっちかっていうと動画とか見てるでしょ?」

「うん。この間の猫の動画とか可愛かったでしょ?」

「可愛かったー。撫でてーってごろんとするところなんて、猫なのに犬みたいだったし」

「そこが可愛いんだよー」


 手を動かしている間口は暇なので、そんなとりとめもない会話が続く。

 でも実は、この時間が一番楽しかったりもするんだ。


「聖也くんはどっちかっていうと読書だよね?しかも文庫本とかハードカバーのやつ」

「そうだね。あとはブログの更新したり、次のネタ探ししたり文章考えたり?」

「もはや仕事だもんね」

「収入があるからね。流石に手は抜けないかな」

「あはは!なんか高校生のセリフじゃない気がするー」

「…それ、前になんか似たようなこと言われたような気がする……」

「言ったのは私じゃなくて先輩だったに一票」

「あ、俺もそれに一票」

「聖也くんが票入れてどうするの!答えくれないとでしょ!?」

「でも分かり切ってるでしょ?」

「うん、もちろん」


 そう言ってお互い顔を見合わせて、二人同時に笑う。

 あぁ、うん。こういうことをしているから、イチャイチャしてるって言われるんだろうな。

 でも今は二人きりなんだし、別に文句は言われないだろう。……たぶん。


「とりあえず残りは俺がやっておくから、そろそろ茹でてもらってもいい?」

「うん。じゃあ手だけ洗って、順次入れてくねー」


 いつの間にかバットいっぱいになりそうなくらい、丸めたお団子が乗せられていて。

 やっぱり話しながらだと楽しい上に早い気がする。時間があっという間に過ぎていっちゃうもん。


「タイマーは三分にセットしてるけどいいよね?」

「大丈夫だと思うよ」

「じゃあ入れまーす」

「はーい」


 丸めてくれているので、一応声をかけて一度バットを手に取る。そのまま半分くらいをまずは沸騰しているお湯の中に沈めて、すぐにタイマーのボタンを押して計測開始。

 バットは元の位置に戻して、私はぐつぐつと音を立てているお鍋の中身をおたまでかき混ぜる。一応お団子同士がくっついたりしないように、かと言って潰して形を崩してしまわないように気を付けながら。


「結構な数出来ちゃうけど、全部食べたら流石に夕飯に影響出るかな?」

「半分は持って帰って、みんなで食べればいいと思うよ?せっかくだしおすそ分けしようよ。家の両親にも今日出すからさ」

「それいいね。みんなで楽しめたら一番いいよね」

「ねー」


 そんなことを言っているうちにタイマーが三分経ったことを知らせてくる。音を止めて、一応火も止める。すぐに使うけど、とりあえず一旦ね。

 穴あきおたまでお団子をすくって、用意していた氷水に入れて。それを何度か繰り返して、今お鍋の中にあるお団子を全て移して。それからまた火をつけた。


「はい、これで丸める分は終わり」

「ありがとー」

「次は何すればいいかな?」


 手を洗うついでなのか、それともそっちがついでなのか。今の今まで使っていたボウルを流しに入れたと思ったら、そのまま洗い始める。


「いや、もう言わなくてもやってるよね?」

「ん?だってもうこれ使わないでしょ?」

「まぁ、そうだけど…」

「だったら洗って片づけちゃった方が後が楽でしょ?」

「……そういうこと当然のように出来るあたり、本当に普段から家でやってるんだなって思うよ」

「そう?まぁ洗い物くらいなら別に普通じゃないかな?たまに母さんと一緒に料理作ったりするし」

「いや、そこまで来ると普通じゃないと思う」

「えー?そうかなぁ?」


 え、逆に聞きたい。男子高校生がお手伝いどころか自主的に洗い物やら料理やらするのって、普通じゃないんだよね?私、間違ってないよね?

 なんていう誰にも問いかけられない疑問を抱きつつ、再沸騰させたお湯の中に残りのお団子を入れて同じことを繰り返す。


「あとは冷やしたものをざるに上げて水気を切って、盛り付けるだけなんだね」


 スマホのレシピを確認してから、聖也くんが用意しておいたざるを流しの中に置いておいてくれる。


「こういうのってさ、どのくらい入れておいたら冷えたことになるのかちょっと疑問じゃない?」

「あ、うん、分かる。今俺ちょうど、どのくらい経ったらざるに移していいのかなーって考えてた」

「氷水だからかなり早く冷えるんだろうけど、ゆで時間とかと違って時間なんて書いてないじゃん?」

「あと適量っていう表現もね。あれって個人の匙加減だなーっていつも思う」

「分かる!!平均とか書かれずに適量で済まされると困る時あるよね!」

「何度も味見しないといけないのがちょっと面倒くさかったりするよね」

「すっごい分かるー!」


 苦笑しながら言ってるけど、聖也くんから話題を振ってきたあたり割とよくあることなんだろうな。お菓子作りと違って、料理って割と適当な部分があるから。味覚は人それぞれだし、それこそ個人の好みなのは分かってはいるけど。それでも時折不親切だなーって思うことはある。

 そんな料理あるあるを話しているうちに鳴ったタイマーを止めて、残りのお団子も全部氷水の中に入れて。とりあえずまだ熱いお鍋とおたまはあとで洗うとして、盛り付ける準備に取り掛かった。




 ただのお料理回になってしまった…(汗

 つ、次で最後ですので…!!今日中に更新しますので…!!


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