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青天の霹靂  作者: 桂まゆ
2/8

承前

この物語は、なろう作者の方がプレイヤーをつとめるRPG企画の小説です。

試験的な企画ですのが、楽しんで描いて行きたいと思います。(まだ、本格的に始まってもいないのですが)

 のどかな田舎道を、バスはゆっくりと走る。

 窓から見える景色は、田圃と山。たまに橋が架かっていて、その下に涼しげな渓流が見える。この景色は一時間ほど続いている。

 時間的には、お昼前ぐらい。初夏の日差しが、すこし車内の温度を上げていた。


 運転手が、冷房を少し強くする。

 それにしても。と、運転手は思った。

 今日は、またずいぶんと風変わりな客が居るな。

 バスの終点には二時間ほどのトラッキングコースがあり、それはそれは見事なツツジの景勝地があるのだが、その盛りは先週で終わった。

 ゴールデンウィークも終わり、観光客は激減した。

 観光バスが減った事は、運転手にとっては嬉しい事だ。終点に行く途中、かなり狭い峠道が展開されており、そこを大型バスが行き交うのは大変だからだ。

 だからこそ。

 地元の人間には見えない客を、ついつい観察してしまう。

 例えば後部座席に座るいわくありげな三人組や、ひらひらの服を着たブタのぬいぐるみを抱えた女の子。旅行者という感じには見えない。

 三人組の真ん中に座る男は何故か料金表を睨み付けている。ちょっと怖い。

 怖いと言えば、やはり後ろの方でたまに手帳を見ながら頭を抱える女や、本を読みながらにやっと笑う男や……そういえば、本を読んでる人間が多いな。

 後ろに座る高校生ぐらいの子や、後部座席に三人組からちょっと空けて座っている男も本を読んでいる。

 どちらも観光客だろう。

 後は小学生の女の子。ひとり旅にしては幼いな。

 ユリに似た花束を持つ男か女かよく解らない人は、見舞いかな。途中に病院があるし。

 それと、地元の人間にとけ込んでいる、作業服の男。たまに、ポケットから写真を取り出してじっと見つめている。何か理由ありなのだろう。

 

 終点は、まだ遠い。

 どこまでも続く田舎の光景を窓に映しながら、バスはゆっくりと走り続けた。

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