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新たな金策手段①

「それじゃあ、後はこっちの2人待ちかねぇ」

 僕たちが向かった時には、すでに女将さんとロナさんが話を終えた後だった。

「はい。きちんと浄化もできていますね」

 ズィーさんが地面を見ながら、ロナさんの仕事が完了していることを告げる。


 その様子を余所に僕は、エクスさんとジーク君の方を見ていた。


「これで良いの?」

「はい、そうです。上手ですよ」

 ジーク君は大きめのビーカーに土と水を入れ、それをかき混ぜていた。

 エクスさんはその横でカバンから、おそらく聖水と紙を取りだした。聖水と判断したのは、入れている容器が、市販されている聖水のビンと同じだったからだ。


「それぐらいで止めてください」

「わかった。それで次は?」

「次はこの紙と聖水を……」


 エクスさんはジーク君からビーカーを受け取り、その中に紙を入れる。そしてその上から聖水を流し込んでいく。


「およそ5ですか」


 おそらく2人はpHをを測っているのだろう。けれど聖水を入れたら、きちんとしたものは測れないような気がする。いや、それは元いた世界での理屈だ。こちらの世界ではあのやり方が普通なのだろう。


「酸性よりですね。消石灰を入れて……」

 エクスさんは、ジーク君のお父さんを呼んで話し込み始めた。

 ロナさんと女将さんの会話も、ちょうど一区切りついたようなので、僕もあちらの話に入れてもらおう。


「あ、お兄ちゃん」

「お手伝いご苦労さま」


 僕は2人の会話に入れてもらう前に、ジーク君を労った。


「お兄ちゃん。5って低いの? 高いの?」

 ジーク君は僕にそう聞いてきた。

「お姉ちゃんが言ったように酸性なんだけど、高いか低いかって言われると……」


 中性の7を基準で考えると、低いという言い方で間違っていないような気がする。けれどそれが正しいのか、文系出身の僕には判断が付かない。

 だから言い淀んでしまった。けれどお父さんが助け舟を出してくれた。


「これから作ろうとしている果樹にとっては少し低いです」

 お父さんは、こちらに向いてそう言った。ただ……。

「ですから、やっぱり消石灰を」

「それは成分分析を進めてからで。個人的にはカキガラ原料とかの方が……」

 一度こちらを向いただけで、そのままエクスさんとの話し合いに戻った。取り付く島もない。


「ジーク君、向こうで話そうか」

 なんとなくだが、このままジーク君といると質問攻めに合いそうだ。別に質問されるのは良いのだが、化学系の事は僕で答えられる自身が無い。だから女将さんたちを頼ろう。女将さんに化学の素養があるかは分からないが、実践経験は僕の何百倍もあるだろう。


「うん。そうする」

 ジーク君はお父さんたちを一度見てから、聞き分けよく僕について来てくれた。


 そして僕は女将さんを頼ろうと、凛姉たちの元へジーク君を連れて戻った。けれど当てが外れた。

 それは女将さんが僕たちと入れ替わる形で、エクスさんたちの方へと向かったからだ。


「まぁ、僕よりは……」

 それでも、凛姉とロナさんとズィーさんが残っている。僕1人よりかは全然マシだ。凛姉も僕と同じ文系だったのであまり期待できないが、ロナさんとズィーさんは、もしかしたら得意かもしれない。


「今回、この果樹を植えてもらおうと思っている」

 僕の予想は良い方で当たりそうだ。今もズィーさんが凛姉とロナさんに資料を見せながら、説明をしている。これはズィーさんは僕より話ができる人だ。


 だから僕もジーク君と一緒に話に入れてもらおうと思い、声を掛けようとした。だが凛姉の言葉で一瞬体が固まってしまった。


「1個でこんなにするんですか? この酔い止めの果樹」

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