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またしてもヒルデさんがぶち壊しました。

「とりあえず、凛ちゃんが出てきたらヒルデさんを起こしてきます」

「待っていてもらって悪いんですけど、先に朝食を食べに行ってください」


 溝田1人待たせていても良かったのだが、この宿を案内できる人が付いていたほうが良いだろと思い、僕は溝田と一緒に待つことにした。別に5人で待っていても良いのだが、粉雪さんだけは先に行っていてもらいたかった。それは彼女の食事に対する考え方からだ。


 彼女は、夜食は昨日みたいにあまり食べない。ただ昼食は僕と同じくらい食べ、朝食に至っては僕の2倍は食べる。基本的に村などに居る時はこのサイクルを守っている。

 この宿は基本、女将さん1人で切り盛りしている。それに朝食は一般の村人は自分の家で食べるので、宿に泊まっている人の分に少しプラスしたくらいしか用意していないらしい。だからなくなる前に食堂に行って欲しかった。


「そうか。それならあとは頼む。行くぞ、亜麻猫」

「あ、はい」


 粉雪さんはあっさりと僕の言葉を受け入れてくれた。亜麻猫さんに一緒に来るように言うと同時に、ロナさんに対してはどうするか聞いていた。


「私も行きます。ヒルデのことよろしくお願いしますね」

 なぜかロナさんはニヤケながら僕たちにそう言って、粉雪さんたちの後をついて階段の方へと向かって行った。


 ロナさんは僕たちが2人になるのは許してくれるみたいだ。それは、今回は凛姉の件があるからか、それとも溝田が僕に恋することはないと思っているからかはわからない。けれど、前者であることを願いたい。

 

「まだ時間かかりそうだし、エクスさんたちにお礼を言いに行ってくるよ」

「それなら私も……。あ」

 とりあえず、凛姉は寝起きなので支度に時間がかかるだろう。それならと思い、溝田に断りを入れてかエクスさんが泊まっている、ズィーさんの部屋へと向かおうとしたその時だった。赴こうと思っていたその部屋から2人が出て来た。


「おはようございます。良く眠れましたか?」

「はい。おかげざまで、お部屋ありがとうございました。朝食を食べ終わったら掃除しておきますね」


 僕と溝田は、エクスさんとその後ろで本を読みながら控えているズィーさんに、挨拶とお礼を言った。2人とも表情があまり変わらないので感情を読み取るのが難しいが、エクスさんの方は何となく顔色が少し悪いような気がした。


「もしかして昨日寝ていないんじゃないですか?」

「ええ、女将を納得させる交渉材料を練っていましたから。これなら多分女将も納得してくれるはずです」


 エクスさんは無表情のままそう言った。何となく申し訳なく思い僕は短くお礼を言った。そしてズィーさんもそうなのかと思い、彼女の顔を覗き込んだが、彼女は首を振って否定した。


「ズィーは途中から寝させました。一応今日の話し合いの結果次第では魔法を使ってもらうことになりますから。私たちはこれで失礼します。女将との話し合いに呼びたい方々がいますので」


 そう言って2人は階段を下りて行った。ここからは見えないが、階段の途中で誰かに会ったのか「おはようございます」といった声が聞こえてきた。けれどそれはエクスさんのものだけで,相手からの返事が聞こえなかった。


 僕はそれが何となく気になり覗きに行こうかと思ったが、溝田が声を掛けてきた。

「結果次第で魔法って、脅し目的じゃないよね」

「多分、それは無いと思う」


 溝田には2人の時に僕たちの今の境遇を話している。ただ簡単にしか話していないので、その当事者たちの人柄が頭に入っておらず、表面的にしか見えていない。

 溝田からすれば国と村が僕たちのことを取り合っていることしか頭に入っていないと思う。国側のエクスさんたちとは少し交流ができたが、女将さんにいたっては少し顔を合わせただけだろう。女将さんの人柄については情報がないはずだ。

 だから脅しという言葉がでてきたのだろう。だがそれはない。

 

 話を戻すと、そうなってくるとズィーさんが魔法を使って契約を結ぶのだろうか。近接戦闘ができるタイプには見えなかったから、多分そうなのだろう。


 もう2人は僕たちの前から去ってしまった。今あれこれ考えても仕方がない。もうそろそろ凛姉も出てくるだろう。

 そう思い、一息つこうとしていたら大変なことを思いついてしまった。


「凛姉。遅いなぁー。溝田少し様子を見てくれないか」

「え、うん。良いけど」


 凛姉の事だ。いつも着替えの前に歯を磨いて顔を洗う。時間的にまだ着替えの途中かもしれない。それなら溝田に先にドアを開けてもらって僕も中に入ろう。もしかしたら事故と称して凛姉の生着替えが拝めるかもしれない。


 ただそう上手くはいかなかった。


「あ、みぞ……。つーくん。ちょうど良いところに。ヒルデさん? だよね。あの人ベッドの下で寝ているから起こしてあげて欲しいんだけど」


 溝田がドアを開けようとしたその時、凛姉が一足早くドアを内側から開けた。凛姉もみんなを待たせていると思ったのか、すでに着替えは完了していた。


「あ、うん。」

 僕は少しがっかりしながら、あのショタコン天使を起こす手伝いをすることにした。


次回更新は12/10になります。

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