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メリー村に帰ります。

 ある晴れた昼下がり、僕達は今、馬車の中にいる。メリー村に帰る為だ。


 あれから2日たった。


 騎士隊員の2人が起こした事件は、ニック導師が開発した魔法の暴走として、表向きは処理された。


 ニック導師とジント導師には、暫定的にだがそれぞれ減給、半年と3か月が言い渡された。それに加え、ニック導師は3か月の謹慎処分を受けることになった。 


 本来したことを考えると、かなり甘い処分だ。騎士隊の2人も表向きには、1ヶ月の減給処分となった。


 ただ王様を始め、騎士団長や四天王、メイドのエクスさんなど一部のお上の人は事の次第を知っている。

 それでもこの処分で済んだのは、導師達のこれまでの実績のおかげだ。


 ふと、馬車の外を見ると、ロナさんがまだジント導師と話しているのが目に入った。

 もう、30分近くになるだろうか。出発予定の時刻は少し過ぎていた。しかし、誰もそれを指摘しない。


 今日の朝、ロナさんは1人でジュネヴァさんの病室に向かった。3人の話し合いに混じるためだ。僕達はその間、帰り支度をし、王様に挨拶に行っていた。だからまだきちんと、今日の話し合いの内容を聞いていない。


 ロナさん以外は皆、馬車に乗り込んでいる。席は来た時と一緒だ。王様は、帰りは1回り大きな馬車を用意させると言っていたが、エクスさんの予定が合わなくなり、遅れて村に来ることになったので、行きの時の小さな馬車で十分になった。


 その中の様子は、僕以外本を読んでいる。ただ皆、本に集中はしていない。チラチラと外の様子を伺っている。

 やっぱりロナさんと導師の会話が気になるようだ。


「どんなこと話しているんだろうね」


 僕の横に座っている凜姉が、本を閉じ聞いてきた。それに合わせるかのように粉雪さん達も本を閉じた。


「もう、出発時間も過ぎたし呼んでこよう……。 いや、終わったようだな」


 粉雪さんの言葉に、全員が馬車の外を見た。

 ロナさんが導師と一緒に、こちらに向かって歩いてきている。

 2人の顔はにこやかだった。


「お待たせしました」

 馬車のドアをロナさんが開けた。そして座席に着いた。

 その後に導師が、中に入っては来なかったが、顔だけでもと挨拶に来た。


「世話になったな。それとすまなかった」

「いえいえ」


 僕はとりあえず返事をし、頭を下げた。それに返すように導師も頭を下げ、頼み事を皆にしてきた。

「短い間にはなるが、あいつらの事を頼む」


 あいつらとは、騎士隊の2人の事だ。

 彼らには減給処分だけが下っている。表向きには、魔法の影響で罪を犯したことになっているし、本当のことを知っている王様も彼らの罪を問う気にはなっていない。


 しかし、彼らはそれだけでは自分たちの気がすまないと言って、本来なら新米騎士が来る予定になっているメリー村に、配属してくれと王様に直訴した。


 だからこの後、エクスさんと一緒に村に来ることになっている。

 彼らにはあまり良い印象がないが、村の案内くらいはしよう。


「わかりました。そのかわり、僕達がこっちに来たら、街の案内くらいはしてくださいね」

「ハハハ、分かった」


 僕は冗談めかしてそう言った。それに導師は笑顔で返事をしてきた。そして、御者台のベイリーさんと少し話してから、馬車から離れた。


「それでは出発します」


 ベイリーさんはそう言ってドアを閉めた。


 僕達は導師に見送られながら、主都を後にした。

 





 

次回更新は10/9になります。

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