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暴走⑤。そして病院へ

「と言っても、どうしましょうか」


 この2人の罪を軽くするには、導師の名前を出すのが手っ取り早い。ただそれは、できる限り避けたい。

 幸い、死人はでていない。それに壊れたのは保管庫だけだ。これは2人の給料から天引きすれば良い。煙は魔法で造られた物のため商品が汚れたりはしていないようだ。休業損害は導師がお金だけ2人に渡して、払えば良い。


 ただこれは、店に対しての償いだ。刑事罰がまだ残っている。


 特に保管庫を爆破したことや、騎士の立場を利用しての侵入はかなり罪に問われそうだ。それだけのものを覆すにはどうすれば良いのだろうか。

 僕が考え込んでいると、ベイリーさんが案を出してくれた。


「2人が勝手に導師の為を思って、やったことにすれば大丈夫だと思います」

「どういうことです?」

 僕は首を捻った。今はどうやって導師の名前を出さないようにするか話し合っているのだ。それでは意味がない。しかし、その後の彼の説明で合点がいった。


「前々から導師が、エメラルドの購入を上に申請していたのは知られています。なのでいくら取り繕っても、店の人は騙せても、騎士隊は騙せません。それでツヨシさんにお願いがあるのですが……」

「なんでしょう?」

「国王にあなたから進言してくださいませんか? エメラルドの購入申請の許可を」


 ベイリーさんは僕にそう言ってきた。言うのは別に良いが気になることがある。


「あの時、導師が僕に言ったことは本当ですか」


 玉座の間で僕に突っかかって来た時に導師は「ゆくゆくは僕を雇うコストぐらいで、同じことができるようになる」と言っていた。あの時は、希望的観測だと思ったが違うのだろうか。


「私にはわかりません。ただ導師の中では理論が出来上がっているみたいなんです。それを実践して成功できれば、2人の罪も内々のもので済むと思います」


 ベイリーさんから残念な回答が返ってきた。それではあの時の導師と一緒だ。


「導師の理論に賛成している人はいないんですか」


 導師と同じ位の人で支持を得られていないのだろうか。導師の性格上、あまり人に研究成果をこれ見よがしに言ったりは……。いや今回はしていただろう。それでも支持を得られたり、パクられたりしていないとなると……。


「いるにはいます。ただ……」

 騎士隊の2人が声をそろえてそう言った。言いよどむタイミングも一緒だった。

「誰ですか?」

 僕はベイリーさんも知っていると思い、彼のほうを向いてそう聞いた。


「ニック導師です。ジント導師とは同期の間柄で……。良くいえばライバル同士です」

 彼は苦笑いしながらそう言った。

「悪く言えば?」

 僕は間髪を入れずにそう聞いた。彼の顔が苦笑いを浮かべていたが、苦笑い止まりだったので聞いても大丈夫だろう。


「犬猿の仲ですね。ただお互いの実力は認め合っています」

 僕はそいつが奥さんに呪いをかけた犯人なのではと思った。だから一応、聞いてみようと思ったら店に他の騎士隊が入って来た。


「ベイリー大丈夫か? 入るぞ」

 騎士隊が3人、おそるおそる入って来た。とりあえずこの話はここまでのようだ。ベイリーさんが2人に一言声を掛けた。そして――。


「確保完了。入って来てくれ」

 ベイリーさんは2人に、おそらく拘束の類の魔法を掛けた。そして大声でそう言った。すると3人は、ドタドタと足音を立てながらこちらに向かってきた。


 2人はベイリーさんに体を預けた。彼らにベイリーさんは「私が行くまで黙秘していてくれ」と小声で言った。

 ベイリーさんは2人を入って来た騎士隊員に引き渡した。


「私はこちらの方を接待しなくてはなりませんので、私たちはこれで失礼しても?」

「ああ、大丈夫だ。あとはこちらで解決しておく。協力感謝する」


 3人の中で一番位が高そうな人とベイリーさんは言葉を交わす。おそらく相手も僕の事を知っているのだろう。案外簡単に解放してくれた。


「詳しいことは病院で話しましょう」

「分かりました」


 僕たちは店を出てすぐ、病院へと向かった。

次回更新は9/21になります。

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