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ドレスコードがありました。

結局のところ4時までに話はまとまらなかった。ただ、ロナさんの魔力感知のおかげで、騎士隊が僕たちを冤罪で捕まえようとするくらい敵視していることが再度理解できた。


 暫定的な考えは、目玉が一匹多かったのは、騎士隊が紛れ込ませていた。そしてそいつを通して、エメラルドに魔法を掛けて隠した。ということにした。


 とりあえずの結論を付けて、この話は一旦終わりだ。今、女性陣は僕たちの部屋で、服装合せの最中だ。


 王宮内では、王が寛容だったので、着崩してさえいなければ今の格好でも許された。しかし、今から行くミュージカルホールはそうもいかない。ドレスコードがあるそうだ。


 なので、ベイリーさんが頼んで、エクスさんと2人のメイドが僕たちにドレスとタキシードを持って来てくれた。


 僕のは白いタキシードだった。僕の背丈より大きいものだったが、ベイリーさんが魔法でサイズを合わせてくれた。髪型はどうするか聞かれたが、そのままにしてもらった。


「それでは、私は馬車の用意をしてきます」


 そして、僕の衣装合わせが終わると、ベイリーさんは宿を出ていた。


 ベイリーさんたちが宿に来たのは4時だった。今の時間は4時30分で、開演まであと1時間30分だ。会場までは30分程度かかるので、ホール内をうろつける時間は約1時間しかない。


 やっぱり、女性の支度は手間がかかるのだろう。衣装は僕のタキシードより複雑な造りをしているし、装飾品も選ばなければならない。それに髪型のセットや化粧もしなければならない。


 そう思ったが、女性陣で化粧をしているのは誰もいなかったような気がする。粉雪さんは、前に頬ずりされた時に、服には何も色がつかなかった。ロナさんも、一緒の部屋で暮らしているが、化粧をしているところを見たことがない。あと考えられるのは、亜麻猫さんだ。なんとなくあの人はしていそうな感じはする。

ただ、していた覚えがない。


 そして凛姉は、基本化粧はしない。高校に入学する時に、親に化粧品のセットを買ってもらっていたが、使っているところを見たことがほとんどない。


 ただ社会人になって、すっぴんで会社に行くのはマズイ。僕と溝田さんはそう思い、凛姉が大学3年の時に、共同で化粧品をプレゼントした。そして、ものすごく癪だったが、溝田さんに化粧のコーチを頼んだ。その結果もあり、凛姉は少し上達した。


 しかし、こちらの世界に来てからはしていない。そもそも道具自体持っていない。プレゼントするなら、宝石より先にこっちを優先するべきだったか。


 そんなことを思っていたら、エクスさんが部屋から出てきた。


「終わりましたので、お入りください」


 エクスさんはそう言って、2人のメイドを連れて帰って行った。僕はその姿を見ながら「ありがとうございました」とお礼を言ってから部屋に入った。


「あ、つーくん。これどう?」


 僕は入るなり、凛姉に服の感想を聞かれた。そんなもの、見なくてもわかる。とてつもなく可愛いだろう。ただ、見ないなんて選択肢はない。そんなもったいないことを誰がするものか。


 僕は顔を上げて、凛姉の体全体を見た。


「あ、うん、良いと思うよ」


 正直言葉が出なかった。

 元々、本を読んでいたのは凛姉と話を合わせるためだ。そのため僕の語彙はそんなに多くない。

 ただ、もし語彙が多くても今みたいな反応になると思う。


 人間本当に心から感動したら、言葉が出なくなるものなのだと実感した。


 僕は凛姉が本物の御姫様に見えた。


 白基調のドレスだった。凛姉は元々、ウエストが細い。なので、多分コルセットは巻いていない。それなのにあのくびれだ。そして、胸は大きくはないが、だからと言って小さくもなく、ちょうどいいくらいの大きさだ。しかし、今は詰め物をしている。明らかに大きくなっている。


 ただ、傍から見たら分からないだろう。僕だから気づくことができたのだ。ちなみに僕は、胸の大きさはどうでもよい。詳しく言うと、凛姉のだったら大きさなんて関係ないと言うことだ。


 僕は、写真を残しておこうと思い、ポケットの中からスマホを出した。すると、亜麻猫さんがいの一番に反応してきた。


「あ、写真って言うの撮るんでしょ。私たちもせっかくだから撮ってよ」


 そう言って彼女は、恥ずかしがる粉雪さんの手を引きこちらにやって来る。


 亜麻猫さんは藍色のドレスを、粉雪さんは淡い水色のを着ていた。2人ともよく似合っていると思う。


「それなら、ロナさんも一緒に撮りましょう」


 僕は、凛姉のその言葉を聞くまで、ロナさんの事が頭から抜け落ちていた。だから、マズイと思った。


 まだパーティを組む前、粉雪さんの格好には顔を真っ赤にさせたのに、自分の格好を見ても照れてくれなかったと機嫌を損ねたことがあった。今回も不機嫌になっているに違いない。そう思った。


 しかし、意外にもロナさんはおとなしくこちらを見ていた。


 ロナさんのドレスは、凛姉と同じ白基調のものだった。ただ違うのは、胸の大きさだろう。凛姉よりロナさんの方が大きい。だからかは分からないが、胸の部分が強調された形になっていた。


「あの、ツヨシさん。どうですか?」


 ロナさんは僕に照れながら聞いてくる。


 率直に言うと似合っている。胸の部分が協調されているが、いやらしさはない。美しく感じるだけだ。もし凛姉がこの中に居なければ、彼女に目移りしていたかもしれない。


「似合ってますよ。あと、粉雪さんと亜麻猫さんも」


 僕は、ロナさんの目を見ながらそう言った。そして照れ隠しで、亜麻猫さんと粉雪さんにも同じことを言った。


「ん、ありがと。それでロナも撮るんでしょ?」


 やっぱり男に褒められても興味がないのか亜麻猫さんはそのまま、顔を赤くしたロナさんの手を引きに行く。そして、彼女を凛姉の横に立たせた。


「それじゃあ、撮りますよ」


 僕は4人に確認を取ってから、スマホのカメラ画面を押した。

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