表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

43/100

現場検証します②

 控室には6名ほど店員さんが待機していた。


「あ、おかえりなさい」


 店員の1人が店長のもとへ駆け寄って来た。

 店長は他の店員も集まるように促し、その後、僕たちのことを説明してくれた。


 僕は反感を買うかと思っていた。騎士隊が余計なことを言っていると思ったからだ。しかし、案外スムーズにことが進んだ。


 ただ、騎士隊が「お前は転移魔法が使えるから現場に入るのはなしだ」と余計なことを言って来たので、金庫室の方には粉雪さんと亜麻猫さんとロナさんに行ってもらっている。

 この部屋には、僕と凛姉、店長と店員2名、騎士隊の片一方とベイリーさんがいる。あとは全員、金庫室の方だ。


「それで、今日の朝在庫の確認をした人は」

「私です」


 さっき店長のもとに1番に駆け寄って来た店員さんが手をあげる。


「どんな風にしましたか? 触ったりとかは」

「いえ、目視確認だけです。あ、指差し確認もしました」


 律儀だけど、少し変わった人だなと僕は思った。ただ、マニュアル通りする人ではあると思う。なので、いい加減な数え方はしていない。もし彼女が見たのが本物のエメラルドならば、犯行時間は間違っていない。一応すっとぼけた感じでこれも聞いてみよう。


「あれ、魔法使って、本物かどうかの確認とかってしないんですか?」

「それは、私は使えません。使えるのは店長と鑑定士の方の2人だけです」


 それなら、なぜその2人が確認をしないのだろう。彼女がしても合っているか分からないではないか。一応店長に聞いてみよう。


「店長さんはしないんですか?」

「私は、帰りにすることにしています。朝は昨日私が確認しているから大丈夫だろうと思っていましたので……」


 ちなみに、鑑定士の人は一昨日から違う地方へ宝石の買い付けの責任者として出張しているらしい。なので今回の件とは無関係だそうだ。


「あとは――「あのー」


 僕が何を聞こうか考えていると、凛姉が話に入ってきた。店長は僕の方から、凛姉の方へ目線を向ける。


「はい、なんでしょう」

「あの目玉みたいなのって、夜中の間ずっと監視しているんですか?」


 あ、そう言えばあの目玉のことを聞くのを忘れていた。おおかた凛姉が聞いた通り、監視カメラみたいなものだと思っていた。


「ええ、7匹全部。昨日の夜は監視していたはずです」


 あの生き物は、やっぱり監視カメラの役割をしていた……。あれ、はず?


「はずって言うと……」

「彼らも生き物ですから、もしかしたらサボっていたりとかも……」


 凛姉も僕と同じことを思ったようだ。しかし、あれはゴーレムみたいに設定したことを絶対守るものではないのか。そんな、サボる可能性があるものに警備を頼むのはどうかと思う。それにそんなレベルのものだと魔法に掛けられて操られるかもしれない。


「一応、あの目玉も調べておき――。


 僕は不意に、騎士隊員と目があった。それで思い出した。そう言えばこの事件、もしかしたら彼らの狂言かもしれないということを。


 それなら、彼の今の顔を納得ができる。

なぜ笑っていたのか。そして僕と目が合うと、無理やり真顔に戻すのか。


 多分、僕の推理は間違った方向へと進んでいる。それは彼の顔が物語っている。


 ただ、もしかしたら、彼は演技でそんな顔をしたのかもしれない。そのことは頭にとどめておこう。


「どうされました?」


 店長は、僕が言葉に詰まったことを疑問に思ったようだ。


「なんでもないです。目玉を調べに行きましょう」


 とりあえず、騎士隊員の顔色を見ながら調査をしよう。見ているうちに演技か演技じゃないか分かるようになるかもしれない。


「ロナさんも呼ぼうか? 魔力の感知? みたいなことできるんでしょ?」

「え」


 凛姉の言葉に、騎士隊員がひどく反応した。その時だった。


「見つかりました」


 ロナさんが控室に入って来て、開口一番そう言った。


「何がですか?」


 店長と店員は期待の眼差しを彼女に向ける。

 ベイリーさんはいつもと変わらない表情をしているが、騎士隊員はまたしても「え」と言い、顔を青くした。


 そして、ロナさんは満面の笑みで「エメラルドです」と答えた。


「どこにあったのですか?」

「なぜか、金庫室の入り口の所に“魔法で隠されて”あったのです」


 ロナさんは店員の質問に、彼女を見ながらではなく、騎士隊員を見ながら答えた。

 やっぱり、そう言うことなのだろうか。


 ただ、そうなってくると少し疑問が出てきた。


 店長とここにいる店員は、さきの反応からシロだと思う。しかし、それでは誰がエメラルドを隠したのだろうか。


 ここの騎士隊員は態度に出やすい。だから、さっきの笑顔は、僕の推理が外れていたと言うことだ。なので、目玉は昨日の夜正常に働いていたはずだ。そうすると、夜中は忍び込めない。やはり、朝の在庫確認が終わってから何らかの方法で隠したのだろうか。


「ロナさん。他の人たちは?」「今来たわよ」


 凛姉が他の人の事を聞こうとしたら、亜麻猫さんが入ってきた。そして、金庫室に行っていた人が次々に控室に入ってくる。


「ロナが先に走って控室に行っちゃうから、私たちが戻って来るのが少し遅くなっちゃたの。ごめんなさいね」


 亜麻猫さんは店長に謝っていた。それを店長は首を横に振りながら「いえいえ、見つけて下さってありがとうございました」と返した。


 僕はそんなやり取りをしり目に、今入って来た、浮かない顔のジント導師を見ていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ