魔法と杖
読者の皆さん、こんにちは。
作者のαです。
初めてということもあるので、細かいミスなどは大目にみてください。
今回の内容ですが、この後書くにあたって大切なワードの説明がしてあります。
また、話の展開が面白くなるミソを書いてあります。
どうぞ、お楽しみください。
ジリリリリ!
アラームが鳴る音が聞こえる。
窓から、朝日が差し込む。
目を開けずに手探りで携帯を探す。
思い瞼をあげ 、携帯のロック画面に表れているアラームの表示を消し時間を見つめた。
時刻は、午前7時、月曜日。
あれから、4時間経ったのか
と、思いつつ
「学校だりいなぁ……」
そんな言葉が思わず口から溢れた。
頭痛がするから、しばらくぼーっとして、肩が外れそうなぐらいたくさんの教科書が入った鞄を肩にかけ、リビングへ行く。
一階には、特に目立つ物もなく殺風景で、何かにもの寂しい感じがするが、
いつものことだ
と、気にせずに食パンを口に放り込み素早く朝食を済ませる。
パジャマ姿から、着慣れた制服へと着替えた後、何か違和感を感じるが洗面台へ向かい身支度を進める。
俺には、暖かい朝食を用意してくれる母親がいなければ、休みの日に遊びに連れて行ってくれる父親もいない。勉強を教えてくれる兄弟は今はいない。
母親は早くに病死して、父親は、ギャンブルに明け暮れ借金を返せず蒸発した。
兄弟は、姉がいた。成績が良く、クラスのみんなから好かれていて、まさに理想の姉であり俺の目標だった。父親がいなくなってからは、唯一の家族だったから俺は姉を慕った。
だが、その姉が数年前突然失踪した。理由は未だにわかってない。
警察はなんらかの時間に巻き込まれたか、誘拐されたといったが、あの姉がそんなことになるはずない。
結局、事件は解決せず迷宮入りした。
当時、中学生で家族がみんないなくなった俺は親戚の家に引き取られた。親戚の人たちは本当にいい人だった。俺を暖かく迎え入れ、孤独を感じないよう我が子のように可愛がってくれた。
此方にも感じ取れるぐらいだった。
それでも、本当の家族の愛が少ない俺の心は満たされなかった。心にぽっかり空いた穴は埋まらなかった。
そう、まるで無に何かを入れようとしているみたいに。
殺風景だと思うのはそのせいかもしれない。
そうこうしているうちに、電車の時間が迫ってきたので家を急いで出た。
自宅は、駅近くのマンションの一室。
ここのマンションは、ほぼほぼ学生が住んでる。というのも、このマンションはこれから行く「魔法専門学校」の建物だからだ。
正確にいうと、政府が所有している。
俺が、「魔法専門学校」へ進学する決め手にした一つにそれが含まれている。
徹底した安全管理、衛生管理。
親戚の家に引き取られた時、もちろん転校したが、その後の進学先は全く考えてなかった。
「魔法専門学校」は、高等学校すなわち高校の位置に属していて、その上、家が保証されているのは好都合だった。
「おーい、タク。はよこいよー」
エントランスの方から、聞き慣れた声が聞こえる。
彼は、ナオヤ。
転校先の中学での親友であり、俺に「魔法専門学校」への進学を勧めてきた人物だ。
ナオヤは、転校して間も無く、クラスに馴染めない俺に最初に話しかけてくれた。
だから、ナオヤが勧めてきた時は嬉しく、それまであった不安が一気に吹き飛んだ。
彼はそういつ奴だ。
「今日の小テストの勉強した?」
ナオヤが尋ねてきた。
「もちろん、やってねーよ」
「やっぱりそーだよね。」
いつも通りの会話をする。
月曜日には、毎週恒例の小テストがある。
俺とナオヤは、それほど成績がいいわけでもなく、悪いわけでもない。大体真ん中ぐらいの順位にいる。
小テストは午後からあるから、昨日勉強しなくてもいいわけだ。
マンションから、駅までの距離はそれほど遠くない。
くだらない話をしているとすぐに駅に着いてしまう。
案の定、駅に着いてしまった。
駅には、沢山の学生がいて、混雑していた。
これも、いつも通りだ。そりゃそうだ。同じ学校へ行く生徒が一斉に集まるのだから。
ナオヤと、学校の愚痴をこぼしながら「杖」を使って改札を通る。
この「杖」こそが「魔法専門学校」の生徒の証である。
政府は、魔法という技術を確立した後、それをどうやって扱うのか迷ったらしい。
何を介して扱うのか?
そこで、何千年前から魔法を扱うのに適しているイメージ。
つまり、「杖」が魔法を使うための媒体となった。
かと言っても、「杖」はまだまだ普及していない。その安全性が疑われているのだ。
それに加えて、とても高価である。
なんせ、夢の力「魔法」を扱うことができるのだから。
そんな杖を持っている学生は、多いだろうか?いや、多くない。少ないだろう?
魔法専門学校の生徒には、杖が無償で提供されるのだ。
だから、生徒の証明になる。
毎年、杖を使いたいと思う中学生はそう少なくない。そんなに高いものを無償でてない入れられるのだ。
こんなに美味しい話は珍しいから、受験生が多く、倍率がとんでもないことになる。
二人は、驚くべき倍率の中を勝ち残ったのだ。
今は、そんな面影は皆無だがな。
やがて、ホームに降りると電車が到着した。
幸いこの電車は、学生専用だから全く混んでいない。
電車に乗ると、今まで忘れていた肩の荷の重さが急にのしかかってきた。
ナオヤが、早くこいと言わんばかりに手を振っている。
ナオヤと同じ席に座った。
「 今朝の夢はなんだったんだろう?」
と、不意に口から漏れた。
「ん? 何か言ったか?」
そう、ナオヤが言った気がした。
僕は、ナオヤの口が動いているのが見える。
一体、なぜ俺はあんな夢を見るんだろうか?
なんの意味があるのだろうか?
俺が、あんな夢を見たがっているのか?
もしくは、誰かに見せられているのか?
流れ行く景色を見ながら、考える。
「……おい、大丈夫か? 聞いてる?」
ナオヤが肩を叩きながら言った。
「あ、ああ。大丈夫だよ。で、なんの話だったけ?」
「だから、なんでそんなに荷物が多いんだよ。今日は、副教科ばっかりだぞ。」
言われてみればそうだ。
どうして、こんなに多く持ってきてしまったのだろう?
「なんでだろうな? 自分でも分かんね。」
適当に返す。
どういう話のつながりで、俺の荷物の話になったんだ?
まあ、いいっか。
流れる景色の向こうに、真新しい綺麗な建物が見えてきた。
あれこそが、俺が通う魔法専門学校だ。
読んでくださってありがとうございます。
今回は、どうでしたか?
ミソを見つけることができたなら、この後がもっと面白くなります。
次は、明日か明後日に出ます。
それでは、次でお会いしましょう。