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魔法使えますけど・・・何か!?  作者: 八剱蒼弓(旧名kata)
第7章 閉ざされた世界
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第60話 ケルベロスを倒せ

「グルルルル!」


 完全に獲物を狩る目となっているケルベロス。三つの頭だけあって鋭い眼光が三倍増し。

 その眼光は間違いなく、護とガブリエルにむけられていた。


「ま、護、ア、ア、アタシがついてるからな!」


 言葉とは裏腹に、護の背後に隠れるガブリエル。正直あてにならない。


 フシュルルと声を荒げ、口からよだれを垂らしながら、牙をむき出しにして前足を蹴りながら突進して来た。そのスピードは普通の犬の三倍のスピードでチーターと同格、もしくはそれ以上かも。


「「ぬぅおわーーーー!!」」


 二人は逃げ回るのに精一杯、魔法も放つ隙もない。

 何とかこの状況を打破しなければ、これではジリ貧で食われるのが落ち。


「何とかしろ天使! さっきまでの勢いはどうした?」


「ふ、ふ、ふざけるな! アタシもこんな奴初めてなんだよ!」


 言い合いをしている束の間、ケルベロスが次の行動に移る。

 縦横無尽に駆け回り、二人を翻弄する。行動そのものがまるで新しいおもちゃを見つけたかのように。


「チ、チクショー! さっきからちょこまかと.....」


 咄嗟に隙を伺いながら、ファイヤーボールを放つ護。無情にも空振りし天井に当たるだけ。


「何とかあいつを足止めできればなぁ....」


 護が困っている。ここは良い所を見せて、護はアタシに惚れさせてやる! とガブリエルが勇気を振り絞り行動に出る。ラファエルがいないとメタトロンが使えない今、出来る事をやる。


「エンジェルスピア!」


 ガブリエルが光眩い槍を取り出し身がまえる。一振りする度光の粒子が軌跡を残し、ガブリエルの周りが輝いて眩しい。


「行くぞ! 犬っころ!」


 槍を振り回しながら、勇猛果敢に突っ込むガブリエル。ケルベロスもガブリエルの行動に少し怯み出す。槍を旋回させ、背中から羽を生やし光の粒子が槍と共に更に眩しくなる。


 ケルベロスの右側の頭から炎を吐き出し、左の頭からは吹雪を吐き出し、ガブリエルの攻撃に備え出す。


「そんな物効くかぁ!」


 旋回させた槍が二つのブレスを受け流し、四方八方と散らばり、辺りは炎の燃えかすと氷の固まりが散らばっていた。


「こ、こいつ.........隙がねぇー!!」


「グルルルッ」


 ガブリエルの行動に怒りが増したケルベロス、第二のブレス攻撃がガブリエルに襲いかかる。


「やられる........」


「手のかかるやつだな!」


「ま、護?」


 護がガブリエルの前に立ち、魔力の防御壁を展開。まさか、こんなところで修行の成果が出るなんて。


「これ、長くは持たないからな! やるならさっさとやれよ!」


「ま、護ぅ……お前はやはりアタシの見込んだ男だぜ!」


 何を言ってやがる……と、護はシラケるが、ガブリエルは愛の力だ! 夫婦初の共同作業だ! とか、わけのわからない事を言い、やる気に満ちていた。


 護が防御壁を展開している間、ガブリエルが槍を旋回させ、ケルベロスの胸元をめがけて斬りつける。手応えは十分にあり、ケルベロスがのたうち回る。


「やったか?」


「いや、まだだ!」


 護が防御壁を解除し、直ぐ様氷魔法アイスジャベリンを発動する。そのアイスジャベリンはケルベロスではなく、地面に向かって発動されていた。


「何やってんだよ!」


 ガブリエルが大声で、狙う場所が違っていると豪語するが護はそれでも攻撃を止めなかった。


「良く見ろ! あいつの足元を」


「へっ?」


 護が放ったアイスジャベリンは、ケルベロスの足元を凍らせて身動きを封じていた。立つ事もできないケルベロス、ひたすらもがきあがいている。


「神里君!」


「ガブリエル!」


 護を追って、伊織とラファエルが合流した。これでもう、大丈夫かな? と護は安堵する。


 合流したのも束の間、ケルベロスが足元の氷を解除しようとさらに暴れだす。直ぐ様臨戦体制に入る一同、緊張感が迸る。


「ケルベロス厄介だね........」


 伊織がぼそっと呟く。


「チクショーこれじゃ魔界に行けないじゃねーか!」


「魔界? ガブリエルちゃん、神里君と魔界に行くつもりだったの?」


「あぁ、あそこに封印された闇の書があるからな!」


 いきなり魔界へ行く事を言い出すガブリエル。伊織に何か考えでもあるのだろうか? 急に黙りこみ何かぶつぶつと呟いている。


「コキュートスを倒すには、ゴッドフレアの魔法が必要..........だから私を天界まで.........」


「い、伊織様、は、早く助けて.......もうこいつ動き出すよ」


 護は必死に氷魔法でケルベロスを足止めしている。だが、もうそろそろケルベロスが氷魔法から解放される。


「一刻を争うのね........神里君! ここは私が何とかやってみるから、君は急いで魔界に行って!」


「宮本さん.....」


「バカリエル! これをもって行け! 護、このバカ(ガブリエル)を頼む!」


 ラファエルが渡したのは、メタトロン使用後に使う薬と注射器。ここぞと言う時にガブリエルのメタトロンが必要だろうと。ラファエルは伊織と共に戦う事を決意したのだ。


「バカバカうるせー! ラファエル借りは必ず返すからな!」


 作戦は伊織とラファエルがケルベロスを引き付け、その隙に護とガブリエルが魔界へ向かう。


「神里君、これ持って行って.......」


 伊織は髪を束ねているシュシュを外し、護に手渡す。下ろした髪がまた何とも新鮮で、護は一瞬伊織にドキッとした。すぐさまゴムバンドで髪を束ね、護はシュシュを手首に巻いた。


「これお気に入りだから、ちゃんと生きて返しに来なさい! これは約束よ!」


「わ、わかった」


 お互いの思いを携え、ケルベロスと第二ラウンドがゴング。一刻も早く急がないとコキュートスが何をしでかすかわからない。



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