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魔法使えますけど・・・何か!?  作者: 八剱蒼弓(旧名kata)
第7章 閉ざされた世界
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55話 冥界大パニック

 冥界、それは死者の魂が集う死後の世界。その冥界を仕切っているのが、老骨じゃなくて、ハーデスのスケベジジィ。


「うーむ、今日も冥界は平和じゃ」


 死者の集うこの世界、暗いイメージを吹き飛ばすため、冥界を明るく、楽しい、死後の世界を死者に提供する事を目標に掲げている。


「さて、ポチ、タマ、マロに餌を与えねば」


 ハーデスの言う、ポチ、タマ、マロはハーデスの可愛いがっているペット。冥界の門番を担っている。簡単に言えば頭が三つの犬型モンスターケルベロス。


「餌をやり終わったら、昨日の続きをやらねばのぉ。ムフフ、待っててねぇ愛子先生」


 鼻の下を伸ばしながら、パソコンに目を向ける。愛子先生……つまりはハーデスが夢中になっている18禁ゲームで、教師と生徒の禁断の愛を描いた作品。


「ムフッ、ムフフッ。そ、そこじゃー脱げー」


 何をしているんだか、パソコンの画面の前で興奮が止まらない。


「ハーデス様!」


「なんじゃい? 今いい所じゃ、邪魔をするな!」


「いえ、ペットがお腹を空かせて餌を催促してますが」


「あっ! 忘れてたわー急いで行かねば、早くしないとあやつら拗ねるからのぉ」


 そそくさと餌やりの準備を済ましペットの元へ………。


「のおおぉー!!」


 ハーデスがペットの元へやって来たが、そこには首輪とリードだけしか残っていなかった。


「たたたたたた、大変じゃーーーー!!」


「どうされました?」


 騒ぎを聞きつけ、部下がやって来る。


「ポチ、タマ、マロが逃げたーー!」


「えっ? まずいじゃないですか! どうするんですか? このままだと冥界を乗っ取ろうと企む輩が出てきますよ」


 ポチ、タマ、マロの名前の付いたケルベロス。冥界の門番だけあって、冥界に来る不審者を追い払う役目を担っている。冥界を狙う者、そう、魔界の魔族だ。


 急ぎ緊急会議を開くハーデス。ケルベロスがどこへ逃げたのか足取りが掴めないでいる。


「あいつらが逃げた事も重用じゃが、このままだと魔界から魔族が攻めて来るかも....異世界交流法を良く思わない魔族がな」


 先代魔界の王が設立した異世界交流法、これを良く思わない魔族を監視するため、ジブリールとの境界に魔界の監視所を作り、極悪魔族は魔界の監獄に閉じ込められる仕組みを作ったのが先代の魔界の王。しかし、先代の王が亡くなると魔界の治安が日に日に悪くなっていた。


「気が進まないが、ジールのババァに協力を仰ぐか」


「何か言った? 老骨」


「げっ! ジール」


 冥界の異変を感じとったのか? ジールが冥界にやってきた。


「魔界の監視所から連絡があってね、魔界の動きが慌ただしいの」


「ポチ達が逃げたのと何か関係あるのかのぉ...今日は紫か」


 どさくさに紛れて、ジールのスカートを捲り上げるハーデス。事もあろうにジールの履いている下着を拝借。当然ジールから怒りの電撃魔法が乱れ飛ぶ。緊張感のかけらもない。


「骨砕いてやろうか? コラッ!」


「ジジジ、ジョークだってば! もういけずぅ」


「ここは死んだ魔族の魂もいるのかしら?」


「いない事もないが先代の魔界の王は既に転生したからのぉ」


 冥界に来る魂は種族を問わず、やって来る。だが極悪魔族は隔離されているため、ちょっとやそっとじゃ出て来れない。


 ジールは仮説を立てた。もしかしたら、冥界にいる極悪魔族の誰かが仕組んだのでは? と。


 ***


「あー、テスト勉強しんどい……」


「真面目にやらないと進級できないよ」


 護と伊織は、来るべく期末試験に備え護の部屋で勉強をしていた。この試験が終われば楽しい楽しい夏休みが待っている。


「魔法の書き取りだけでもしんどいのに……」


「わかったから、手を動かしなさい! わからない所ある?」


 学生のよくある光景、護はガブリエルとの一件依頼、伊織と中々顔を合わせづらくなっていた。

 それにしても平和だ、日差しも気持ちいいのに、何故俺の部屋で勉強会? 護の心中……昼寝したい。


「ねぇ、何か妙に寒くない?」


 伊織が急に寒いと言い出す。

 新緑の季節を過ぎ季節は真夏を迎えると言うのに、この寒さは異常だ。


「さっきまで暑いくらいだったのに、エアコン効きすぎかな?」


 護の部屋のエアコンの温度を確認。設定温度は快適な二十五度なのに。


「エアコンじゃない……これは一体?」


「か、神里君、外の様子がおかしいよ」


 外の様子を見た伊織が異変に気付く。

 既に衣替えの季節なのに、町の人達が防寒着を着こんでいる。更に空の太陽が分厚い雲に覆われ、強風が吹き荒れていた。


「宮本さん、これヤバくない? 植物が氷出したよ」


「ただ事じゃないわね、神里君、部屋の中まで氷付いたよ!」


 家族が心配になり、家族に電話をする伊織。なのに、繋がらないと言うか、発信音が何もない。


「繋がらない……」


「母さん! 梨央!」


「神里君?」


 護も家族の様子を見に行った。護の大きい声に駆けつけた伊織。


「氷漬けにされている……」


「ひどい……」


 護が駆けつけた時には、母凛子と妹梨央が氷漬けにされていて、彫刻のように全く動かない。そして、電気、水道全てのライフラインが遮断された。


「自然現象じゃない、これは魔族の仕業?」


「宮本さん、そうなると宮本さんの家族も」


「そうね……たぶん、生き残ってるのは私と神里君の二人。ここを離れましょう」


 伊織の予感は的中した。

 何者かによって、人間界が氷の世界に閉ざされてしまった。


「ホホホホッ。逃がさぬよ」


「「えっ?」」


 突如二人の前に現れた魔族。

 二人が目にした魔族は見覚えのあるやつ。見下す態度、そして、人間界を氷漬けにした犯人が。


「「コキュートス‼️」」


「久しぶりじゃのぉ」


 二人は目を疑った。

 確かに倒したはずのコキュートスが再び二人の前に姿を現した。一体何故? どうやって?




















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