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魔法使えますけど・・・何か!?  作者: 八剱蒼弓(旧名kata)
第6章 狙われたアイドル
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51話 護愛ゆえに戦う

 何の因果かわからないが、護にとってもアリサを助けなければならない理由ができた。むしろ、ここで逃げたら全国民のアリサファンと、二次元嫁の紫音から非難の嵐。紫音に関しては護の中の妄想ではあるが。


「さてと、俺は俺でやるしかねーな。紫音ちゃん力を分けて」


 伊織があれだけパワーアップしているのなら、自分も伊織程ではないがそこそこパワーアップしているはず。そう思いながら両手に念を込めた。


「右手にファイヤーボールを、左手にアイスジャベリンを」


 やれば出来るものだなと、つぐつぐ感心する護。魔法を同時発動させネウロに狙いを研ぎ澄ます。


「何をしでかすのですか?」


 護に気づいたネウロが構えを取り、攻撃に備えている。余裕の表れなのか、当然護の事は自分より弱いと思っている。


「せいぜい余裕こいてな! 愛の力は強いんだぞ!」


「人間風情がなめるな!」


 伊織から受けたホーリーボールのダメージがみるみる回復し、短剣を再び持ち護に襲いかかる。


「自己修復能力あるのかよー! クッソーこうなりゃ自棄だ」


 右手のファイアーボールを解き放ち、すかさず左手のアイスジャベリンを解き放った。それを見逃さず、伊織が再びホーリーボールを解き放つ。


「チッ! やってくれますね……」


 二人を睨み付け、アリサが閉じ込められた大木に視線を送るネウロ。何か良からぬ事を企みだしている。


「神里君お願い、あいつを引き付けて」


 そう心の中で呟きながら、伊織は護にアイコンタクトを送る。当然護も伊織に任せる気満々のため、何がしたいのか十分に伝わった。

 啖呵を切ったにしても、正直弱い自分が出来る事がない。今の護には紫音が心の支えとなっていた。


「小僧、先にお前から始末してやる!」


 ネウロの手が鎌に変形し、護に突進してきた。

 これを目の当たりにした瞬間、二人は完全に気持ち悪い不快感を覚えてしまった。


「ぐおぉーっ! こっち来るなー!」


 必死で走り回る護。伊織は手に魔力を集中させ、セイントアローの準備をしていたのだが、護があまりに走り回るため狙いが定まらない。


「あーっもう! 神里君ちょこかまかと動かないでよ!」


 伊織の心の叫びとは裏腹に、ネウロにしつこく追われひたすら逃げ回る護。


「鬼ごっこはもう終わりですよ」


 逃げ回り続けて、ついに壁際に追い詰められた。汗だくになり、切れた息を整える。


「そうだな、お前の趣味の悪い遊びにはうんざりだ」


 壁際に追い詰められ、何の策もないままネウロをじっと睨みつける。こんな局面は何度も体験してるし、むしろ妙に冷静でいた自分がいた。


「本当に...つぐつぐ運ないな...俺は」


「神里君?」


 伊織が不思議そうに護を見つめながら、ネウロの隙を伺う。こいつを倒すには魔力を具現化させたセイントアローしかないと思ったからだ。


「それじゃぁ、そろそろ死んでくださいね」


「うわっ! キモッ!」


 ネウロの腕が歪み、右腕が鎌と変化した。それを目の当たりにした護は当然気持ち悪いと思っていた。このままではやられる...。


「神里君、ナイス時間稼ぎ!」


 護に気を取られて、伊織の事を忘れていたネウロ。伊織のセイントアローがネウロの胸を貫いた。


「ぐぬぬ! 小娘貴様...」


 そのまま、ネウロは倒れ込みその場を動かなくなった。


「やったの?」


「わからない...だけど致命傷には至ってるはず」


「そういや宮本さん、俺らこいつが人間界で何をしようと企んでたのか知らないよね?」


「あっ!」


 今頃気づいた二人、アリサのライブ終了後、ガブリエルの様子がおかしかったのは確かであったのだが。

 ガブリエルに聞けば謎は解けるはずだが、当の本人が意識を失ったまま。しかし、前に護と倒した魔族二人組の会話を思い出し、すぐに謎が解けた。


「ん? 電話だ」


 突然一本の電話が伊織のスマホに掛かりだした。


「もしもし、伊織。ちょっと大変なの」


 電話の相手はジールだった。大変の割には慌てふためく様子もなく、淡々と話をし始める。


「何ですか? 今取り込んでますから手短にお願いします」


「あら? 神里君とデート? ヒューヒュー若いねぇ」


「茶化さないで早く言って下さい!」


「実はね、先日人間界で人間達をマリオネットにして、人間界を征服しようとするふとどきな魔族がそっちに行ったのよ。見つけ次第やっつけて」


 そう言ってジールがすぐさま電話を切った。

 伊織の顔が青ざめた。

 今、まさに、目の前に居るんですけど・・・


「ぐはははっやってくれたな!」


 ネウロが意識を取り戻し、アリサが閉じ込められた大木に体を委ね同化していく。

 成す術なく、二人は見ているだけであった。


「み、宮本さん、これ非常にマズイ展開?」


「最悪ね」


「こうすれば貴様らは手も足もだせまい! 俺に攻撃するとアリサも殺すことになるんだからな!」


 アリサの名前が出た瞬間二人は確信した。

 ガブリエルはアリサを助けるため単独で動いていた事に。


「あの、クソ天使・・・」


「神里君、私も同じ気持ち。だから、今こいつをやっつける方法を考えよう」


 大木から、ネウロの放つ稲妻が四方八方に飛び回避するのに精いっぱい。

 距離が縮まらない。


「完全に手詰まりね..どうしよう」


 とか言いつつ、妙に冷静な伊織。

 護はそんな伊織に賭けていた。

 伊織なら何とかすると。

 逆に伊織も、護の意外性に賭けていた。

 こういう時に妙に頭がキレる護なら何かすると。


「どうした? 逃げるだけか? 攻撃してみろよ!」


 二人を見透かし、大木から激しい稲妻を撃ち落とすネウロ。

 しかし、急に動きが鈍りだした。


「どうしたんだ? 体が重い」


 大木の周囲が冷気に満ちている。

 床が凍り付き、周りの空気がひんやりし始めた。


「いやーふと思ったけどさ、植物てさ基本冬場は育たないよな? って。だからさぁ、その木の細胞を停止させちゃえば動きが止まるんじゃないかと思ったわけよ! お前がいい気になって俺達を攻撃している隙によぉ、周囲を冷やさせてもらったぜ」


「な、なんだってえぇぇぇぇ!!」


 みるみると、大木が凍りつきネウロが焦りだす。


「宮本さん! あの大木光ってるよね? つまりは」


「わかってるよ神里君これ以上は言わなくていいよ!」


 大木が凍り付き、一部に邪悪な光を放っている。

 護は伊織に託した。聖なる光ならネウロを一掃すると。


「我が魔力弓矢となって具現せよ、セイクリッドアロー!」


 伊織の放つセイクリッドアローが見事に命中。

 それでもネウロが最後の足掻きを見せる。


「おのれーー! この俺が人間なんぞに負けてたまるかぁ!」


 さっきまでの丁寧な口調が変わり、逆上し始めた。おそらくネウロに余裕がないと二人は睨んだ。


「神里君、これあんまりやりたくないけど、やむを得ない」


 そっと左手を差し出す伊織、護も何がしたいか直ぐに察知し右手を差し出した。


「おや? 仲良く手を繋いでどうしたの? 君達付き合ってるの?」


 少し余裕を見せるネウロ。残り少ない体力で護達に捨て身の攻撃を開始する。


「「付き合ってない!! 合体魔法セイクリッドフレイム!!」」


 ギリギリまで惹きつけ、二人の意気ピッタリのセイクリッドフレイムが螺旋を描きネウロに直撃。


「こ、この俺が負けるなんて...」


 物の数秒でネウロの体が浄化の炎を浴びせられたが如く朽ち果てて行った。


「「やったの?」」


 邪悪な気配はなくなったが、目の前にはまだアリサが閉じ込められている大木が残ったままであった。









































お久しぶりに続き書きました。

まだ生きてます。(笑)

更新亀ですが、よろしくお願いいたします

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