表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔法使えますけど・・・何か!?  作者: 八剱蒼弓(旧名kata)
第6章 狙われたアイドル
43/62

43話 魔族アイドルアリサちゃん

 テレビを見ていると、アイドルの神魔(しんま)アリサちゃん。

 今日もファンの為に精一杯歌い、ファンサービスしたり。


「ん?」


 不思議な違和感を感じた。

 護はテレビに映るアリサちゃんを良く観察。


「あの子人間じゃない」


 魔法が使える護だから見えているのか? 角と尖った耳。人間界の人には、普通の人間に見えているが。


「魔族のアイドルかぁ、これはこれで、この子応援したくなるな」


 この子はアイドル、一般人が近寄れない存在。まぁ、自分には関係ないだろうと思っていた。

 この時までは……。


 翌朝、いつもの様に登校。

 クラスの男子、女子のほとんどが昨日のアリサについて語っていた。


「すげー人気だな……」


 特に話す相手が居ないし、クラスメイトを横切り自分の席に座り込むが。


「うぉーマジで! アリサちゃんの握手会当選したー」


「きゃぁ、先輩から告られたぁ」


「先月応募した、景品が当たったー」


 気のせいか? 護が横切った途端に、クラスメイトに次々と幸運が舞い降りる。


「マジか……」


 こいつら、なんたる幸運なんだ……。

 ここまでは、自分には関係ないと思った護。


「あの……神里君」


 一人の女子が護に声をかけた。

 珍しい事もあるものだ。

 まともに話した女子は、妹の莉央と同じ魔法使いの伊織だけ。

 そんな、護に声をかける物好きがいたのか……。


「あのね……何も聞かずについてきて……」


 妙に赤面しながら、女子についていく護。

 嫌な予感しかしない……。


「神里君は、ここに居るだけでいいから」


 言われるがまま、黙って立つ護。

 行き着く先は体育館裏。

 何をする気だ?


 遠くから、男子生徒が近づき、女子生徒と鉢合わせ。護はそっと身を隠せと言われた。


「あ、あの……ずっと前から……す、好きでしたー!! わ、私と付き合って下さい」


「は、はい……喜んで」


「はぁっ?」


 何で、このリア充を見せつけられなければならんのだ? 俺か? 俺なのか? 原因は。


「神里君、ありがとう。もういいよ。じゃあね」


 告白を成功させ、女子生徒は男子生徒とキャッキャッ、ウフフッと手を繋いで帰っていった。


「おいっ………ふざけんなー!」


 翌日も、クラスメイトに次々と幸運が舞い降りる。

 特に女子の中では、護を近くに置いておくと、恋愛成就と言う噂が広まり、女子はもちろん、男子からも引っ張りだこの護。



「マジですか……。これ、マジですか……」


「神里君、ちょっと」


 救いの女神ならぬ、伊織様。

 護の異変を感じたのか、護を連れ出す伊織。


「何かあった? クラスで神里君は今、福の神扱いだよ」


「いや、自分でも良くわかんねーす……」


 事情を話す護、親身に聞く伊織、謎が解けないからジールに電話する伊織。


「ちなみに、私だったら、神里君を下僕として使うね。もしもし、ジール様? これこれ、こう言う訳で」


 伊織の怖い発言。

 どこまで本当なんだか……。

 電話越しで、自分から説明すると言い、物の数分で二人の前に。


「やっほー、お二人さん話は聞いたわ。本題に入るわね。神里君、魔法の書き取りノートに、ハッピーマテリアルの魔法を書いたわよね?」


「ま、まさか……」


 こういう時は、本当に勘が鋭い護。

 確かに、絶対的な幸運が欲しくて、ハッピーマテリアルの魔法を他の魔法と一緒に書いた。


「あれね、別名、幸運錬成魔法と言って、自分の回りの人を幸福にしちゃう、全く自分にメリットのない、()()()()なのぉ。テヘッ」


「何で言わねー?」


「だってぇ、あまりにも必死になる君が楽しくてつい。でも大丈夫、効果は三日で切れるし、ついでにあの魔法は、自発的には発動しないのよ。つまりは、願いに願って発動する魔法だから、あの魔法は気まぐれ」


 返せ……俺の努力を返せ。

 無駄な努力だったと知り、ガックリうなだれる護。

 後、一日我慢しなければならんのか……憂鬱の嵐が護を襲う。


「ついでにお土産話ね、天界から依頼で、天使が休暇で人間界に遊びに行くから、滞在先を提供してくれとさ」


 天使? まさか………。

 護と伊織は確信した。

 ()()()しかいない。

 どこが、お土産話だ? 単なる押し付けだ。


「うぉーい、護ぅ、伊織ぃー」


 上から聞き覚えのある声が。

 空を見上げると、破滅の天使ガブリエル。ちなみに、破滅の通り名は、護が勝手に命名した。


「ガブリエルちゃん」


「げっ!? 歩く殺戮兵器」


 あまりの、ひどい言い様に伊織とガブリエルから手痛い洗礼を食らった。


「休暇って、ガブリエルちゃんだったんだ」


「まぁな! そして、人間界のアイドル、神魔アリサちゃんのライブチケットが手に入った」


「「えっ?」」


「み、宮本さん……神魔アリサは、実は魔族なんだよ……」


 小声で耳打ちする護。

 天使と魔族は、昔から相入れない仲と相場が決まっている。

 もし、ガブリエルがアリサの正体を知ったらどうなるやら……。


「知ってる……けど、アリサちゃんは皆のアイドル、そんな悪い人じゃないよ」



 知られたら何が起きるかわからない。

 結論は、黙っていよう、知らないふりをしよう。


「ところで、ガブリエルちゃん、どこに泊まるの?」


 じろじろと、護と伊織を見るガブリエル。

 こいつ……まさか。


「護ぅ、伊織ぃ」


 目を輝かせ、二人を見つめるガブリエル。


「「や、やっぱり……」」


「お前達、二人しか居ないんだよぉー。頼むぅ、神様ぁ」


 天使のくせに、人間を神様扱い。

 とりあえず放課後、伊織お気に入りのドーナツショップで話し合う。


「う、美味い、美味いぞこれ!」


「本題に入るわよ、ガブリエルちゃんどうするの?」


「護様と伊織様、どちらかのお家にホームステイさせて下さい」


「素直でよろしい」


 実際は、どっちの家に行きたいのか謎だが、ガブリエルはチラチラ護を見つめている。

 確かに、護の家ならゲーム機もあるし、漫画もある、ガブリエルにとっては、暇潰しに時間を費やせるからだ。


「決まりね」


「えっ? やっぱり?」


「「うん!!」」


 仲良く頷く、ガブリエルと伊織。

 ………何かハメられた気分だ。




































評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ