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18話 ソウルイーター再び

「酷い事を……」


 ソウルイーターの悪行に、怒りを覚える伊織。前回は護の卑劣な、いや、考え抜いた策略で勝てたが、今度はどうなるやら。


「クカカカッ久々に食らうこの魂、生きた人間の魂は新鮮だぜ」


 死者の魂しか食らわなかったはずなのに、生きた人間の魂を喰らうとは。そんな中、伊織が園内の地図を確認し、何か考えている。


「よしこれで行こう、神里君、私は園内に破邪封印の結界を張るから。神里君は時間を稼いで」


 声をかける間もなく、伊織はソウルイーターの隙を伺い、結界を張りに行く。


「俺様一人舞台、ここをジャックしちゃうぜー、クカカカッ、俺様のコンサートだぜぇ」


 相変わらず、こいつバカだなと護は遠くから見守るが、どうやってあいつを引き付けるか……。


「ん? そういや、さっき、走り去った女の子が居たな、クカカカッ喰ってやるぜー」


 や、ヤバイ、伊織の走り去った方向へ向かって行く、一か八か護は、ソウルイーターの足元に氷魔法をかける。


 ズテーンッ!!


 勢い良く転倒したソウルイーター、見事にしりもちをつき、立ち上がり怒り狂いだした。


「だ、誰だ、コラーッ」


「俺だッコラーッ」


「テ、テメーは、あの時のガキか? 丁度いい、リベンジしてやる」


 護にやられたあの時の恨みが甦り、口を大きく開け、ソウルイーターの口から、死の文字が護を襲う。


「食らえ、ソウルバスター!!」


「げげっ!何だこれ?」


 死の言葉を浴びた護、景色が一変し綺麗な花畑と清んだ川が流れていた。不思議と癒されるこの景色、護は只、呆然と立ち尽くしている。


「まも君、こっちおいでよ………」


「君は、二次元嫁の紫音しおんちゃん」


 護が良くやっている、恋愛シミュレーションゲームの女の子が目の前に立ち、手招きをする。今の現状、護は死の言葉を浴び動かないまま、花畑の景色と二次元嫁の紫音と対峙している。

 この二次元嫁の紫音は、護がやっている恋愛シミュレーションゲームのヒロインで、攻略難易度がかなり高い、護の推しメンである。


 ソウルイーターは今の内に護の魂を、喰らおうとしている。しかし、護はこの景色前に見た記憶があった。一度事故で亡くなった時、この景色の中清んだ川を渡り、あの世への一歩を踏み出していた。


「さてと、お前の魂を頂くとするか」


「じゃんけんぽんっ……あっち向いて……」


 突然意識を取り戻した護、じゃんけんを仕掛け、釣られてソウルイーターも手を出した。


「ホイィィーッ!!」


 護の手に込められたファイヤーボールが、ソウルイーターの顔面にビンタを打ち込む様に、顔面ヒット。


「アチ、アチ、そして、痛えぇじゃねーか、コラッ」


「必殺、魔法じゃんけんだ」


「じゃんけんどうでも良いよな? 単に殴っただけだよな?」


 口笛を吹きながら、そんなの知るかみたいな態度、ソウルイーターの顔が黒く焼け焦げている。


「頭に来たぜ、もうテメーの炎は喰らわねーぞ」


 隠し持っていた剣を持ち出し、護に突進するが、護は直ぐ様地面に氷魔法をかけ、ソウルイーターを転倒させていた。


「いやー、お前がバカで助かったわ」


「神里君、お待たせ」


 伊織が駆けつけ、破邪封印の魔法の準備万端。


「テメーら何をする気だ?」


 伊織が詠唱を開始し、阻止にかかるソウルイーター、護がアイスジャベリンで壁を作り、サンダーボルトでソウルイーターを感電させた。


「聖なる光よ、邪を祓い、清めたまえ、破邪封印セイクリッド!」


 遊園地内に伊織が仕掛けた、東西南北の場所に石が置かれていた。

 五妄星を形取り、光が溢れだす。


「う、ウゲエェェッ、なんじゃーこりゃー熱い体が、と、溶けるぅー」


 破邪封印魔法が発動し、ソウルイーターの体が眩しい光と共に跡形もなく消え去り、魂を奪われた人間達は正気を取り戻した。

 何事もなかったかの様に、人間達は遊園地を満喫している。


「疲れたね、帰ろうか?」


 護が伊織の体を気遣い、今日の所はお開きにしようと言い出し、伊織も賛成する。伊織の中で、護は気遣いがある人なんだと、新しい発見をし、妙に喜んでいた。


「ん? 神里君、上を見て」


「ん? なんじゃあーあれは!!」


 二人が空を見上げると、緑に覆われた要塞が空中を浮遊していた。


 空中要塞を操る魔族の姿が、鼻にリングピアスに褐色の肌を持ち合わせている。


「ソウルイーターがやられたか……空中要塞デッドマン、これで人間共をゾンビにしてやるよーん」


「ジャド様により甦ったこの命、忌々しいあの童貞魔法使いに必ず復讐するわ」


「サキュバスちゃん、好きにやっていいけど、ワシの邪魔はしないでね。後、手を貸してくれたコキュートスもね」


「好きにしろ、体力が回復するまでは、わらわは見物じゃ」


 要塞の中には、ネクロマンサーのジャドとジャドにより、再び命を取り戻したサキュバス。ガーゴイルとソウルイーターはジャドにより、生き返ったと言う事だった。

 そして後ろ楯には、護に敗れてから復讐を誓うコキュートスの姿も、今回の事件はコキュートスも絡んでいたとは。


 空中要塞デッドマン、人間界ゾンビ化計画が動き始める。


「み、宮本さん、やばくね?」


「何か粉みたいなのが降ってくるよ」


 デッドマンから、輝かしい粉が雪の様に舞い散り出した。その粉を浴びた人間達が、ゾンビとなり神魔町の建物を破壊していく。


「伊織さんや……これ、現実ですか?」


「これで、殴ろうか?」


 現実とわからせる為、ハリセンチョップと思いきや、護のスマホに着信あり。


「もしもし、お兄ちゃん、無事?」


「そりゃ、こっちのセリフだ、莉央大丈夫か?」


 莉央は電話越しで、母親と家に居るから何とか無事だと言う、更に父親は会社の付き合いでゴルフに行っている為、神魔町には居ないと報告が。


「家は結界張ってあるから、何とかなるけど……莉央ちゃん達を避難させよう」


 莉央達を避難させる為、護の家に向かうが、途中ゾンビ化した町の住民が襲い掛かる。伊織はこの様な光景をパニック映画で見た事があった。

 もし、同じならゾンビに噛まれると死に、やがて、ゾンビとなる事を。もう一つ気になる事は、魔族達は神魔町から出られないのか? 万が一神魔町より外に出られたら世界中大混乱に陥る。


 包囲網を掻い潜りながら、莉央達と合流し、伊織の家に到着。幸い、神社の参拝客は結界により守られ今の所は無事でいた。


「神里君、この事をジール様に報告に行こう」


「あら、護お出かけ? お土産よろしくね」


 今の状況を理解しろ、何て呑気な母親だ。それに便乗して、莉央まで同じ事を言う。


 ジブリールに着き現状報告をし、疑問に思っていた魔族の行動範囲について聞く。異世界交流法に基づき、魔族は神魔町より先は出られない様にと強力な結界が張られているとジールは言う。

 既にジブリールの者が、避難した住民に対し救援物資等を送ったと言うので、その辺は安心した。護達は心置き無く、空中要塞デッドマンの破壊とネクロマンサージャドの討伐にかかるのだった。














































閲覧ありがとうございました。

これからどうなるやら………。

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