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盗聴器時代
ぼくの生まれた時代は、盗聴器が普通に売ってて、賢いやつらはみんな盗聴器を買ってどんどん近所にしかけていた。
美女の家に仕かけるやつ、重要人物の家に仕かけるやつ、洗脳されてる家に仕かけるやつ、重役会議に仕かけるやつ。
そんなやつらが人生ずっと勝ってたのが、おれたちの時代だった。
盗聴器だけで、ずっとおれは美女を近所から奪われつづけた。
おれの生きていた時代は、盗聴器を手に入れて仕かけるというのが人生の成功への初めの一歩だったのだ。
それがないだけで、どんなにがんばってもすべてを奪われる。




