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テトラ96

 大分近くなってきたのでここからは一気に遺跡まで進むという事で、朝までの長めの休憩を終えたヒヅキ達。夜間は特に何が起きるという事もなく、ヒヅキ達はしっかりと体を休める事が出来た。

 早朝に休憩を終えて片付けを済ませると、女性を先頭に街道に戻る。

 街道は首都まで延びているらしいが、ヒヅキ達が目指している遺跡は首都から離れた森の中にあるので、途中で街道を逸れていく。

 首都まで続くそれなりに整備された街道を歩いているというのに、道中で誰かと会うどころかその影すら見かけなかった。

 過去視でも使用すれば大量の幻影が確認出来るのだろうが、意味が無いので使用しない。

 そうして街道を離れていく途中、それにしてもとヒヅキは1度後ろの街道へと顔を向ける。

(最近誰かが使用した痕跡もなければ、管理も出来ていないな。それだけ長くスキアは魔族の国を攻めているという事か)

 ヒヅキはスキアに攻められてからの年月の経過を感じ、やはり神は遊んでいるのだなと魔族達を憐れむ。長い間攻められているという事は、一応は神の遊び相手が務まっているという事になるのだろう。

 神の遊び相手というのは悲惨な末路しか辿らないようだが、それでも神の遊び相手というのはある程度実力が必要でもあった。

(神は飽きっぽいようだからな)

 そもそもある程度の力がなければ、神の気紛れで一気に攻められたりするのを防ぐことは出来ない。

 遊び相手は個人か団体かは決まっていないようだが、団体の場合、甚振るようにじわじわ攻めながらも、飽きてきたら一気に戦力を集中させて攻めたりする。

 それを跳ね返せば神は喜び、遊び相手は継続させられる。だが、それを防ぎきれねば滅びを待つのみ。神相手に逃げる事など出来ようはずもない。

 魔族の首都は正しくそれで、実際にどれだけの期間攻められているかは不明ではあるが、それなりに長い年月が経過していると思われるので、神の攻撃を幾度か跳ね返す事には成功しているのだろう。

 その攻め手は当然スキアだ。どれだけの数で攻めたのかは知らないが、それでも普通であれば数体のスキアが攻めれば、それだけで大国の首都でもあっさりと落ちる可能性があるほど。それを跳ね返している以上、魔族というのはかなり強いという事が窺える。

(まぁ、魔法の扱いに長けているらしいからな)

 スキアと戦うのであれば、魔法は必須だ。なので、相性がいいと言えば相性がいいのかもしれないが、それでも驚愕すべき成果だろう。

 そんな強い魔族でも放置して防壁代わりにするしかないのが、今向かっている遺跡を守護している魔物。ヒヅキの感覚では、魔物は強さでスキアに劣ると思っているので、その事実に警戒を強めるしかない。

 スキアを跳ねのける強さを持つ魔族でも、この先の魔物は駆逐出来ないか、まともに相手したくないという訳なのだから。

 それでも救いはある。ヒヅキの前を歩く女性だ。遠くに見えてきた森を目指しながら、全く気負う様子もないその後ろ姿は、今の状況では何とも頼もしい。

 正直、ヒヅキとしては女性が一人で遺跡に潜ればいいのではないかとも思うのだが、それも今更であった。

 ここまでの事を振り返ってみれば、女性は止めるどころかヒヅキを連れていこうとしているようにも思えたので、ヒヅキをどうこうしようとしているのでなければ、きっと何かしらの理由があるのだろう。

 そう思えば納得出来るが、では何があるというのかとヒヅキは考える。

 持ってる情報は少ないが、そもそも女性は遺跡の事について詳しかったが、水晶の欠片がそこに在るというのは知らなかったようだ。それが嘘ではないとすれば、女性の感知か何かには水晶の欠片は捉えられないのだろう。

(それだけでは理由としては弱いと思うが、もしかしたら女性は水晶の欠片の封印に干渉出来ないとか?)

 現在手元にある情報から推測すれば、その可能性はありそうだった。しかしそれが正しいかどうかは、手元の情報が少ないので判断出来そうにもなかったが。

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