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テトラ87

 だが、あの剣の強烈な光は多分女性がわざとやった事だろうとヒヅキは推測する。

 光は目くらましになるので、女性にとってはその方が都合がよかったのだろうが、ヒヅキとしては、単に別次元の神と交信するだけであれば、失明しかねないほどの強烈な光は必要ないような気がしていた。

(では何故? と思うが、見られたくなかったからだけだろう。何故かまでは知らないが、作業する様子は見せたくなかったのかもしれない)

 などとヒヅキは考えたが、ヒヅキが魔力の流れを調べた限りでは女性は動いてはいなかった。もっとも、その気になればヒヅキの感知魔法ですら捉えることが出来ないような女性だ、魔力の流れぐらい容易に誤魔化すことが出来そうではあるが。

 一応ヒヅキはその辺りを女性に尋ねてみたが、剣を介して別次元と交信を行った際に、その過程で剣の力が起動しただけで、特に意味は無いという事であった。

 疑わしくはあるが、それを確かめる術をヒヅキは持ち合わせてはいない。剣も今は村長が仮面と共に厳重に保管しているらしい。

 それから神との交信が上手くいったことや、質問で水晶の欠片の位置を教えてもらった話になった。

 しかしその話は夜に聞いた事と同じで、魔族領にまだ手付かずの1つと、誰かが所持している水晶の欠片が2つという話だけ。その2つは1つずつを二人で所持しているようだが、やはり夜の話と同じで動きはほとんど無いらしい。

 神事と水晶の欠片の場所について話し終わると、そのまま今後の話に移る。

 今後は、まずは1番近い魔族領の水晶の欠片から先に回収するらしい。場所は首都の近くではあるが、首都には用事が無いので赴く事はないだろう。そもそもスキアに責められている最中の首都になど行きたくはない。

 その水晶の欠片が存在している場所は、遺跡の中だという。どんな遺跡かは行けば分かるという事であまり詳しくは教えてもらえなかった。それでも、時の狭間の迷宮という名前だけは教えてくれた。

 時の挟間というのも、迷宮というのも非常に気になったが、答えは得られなかった。ただし、迷宮の方は長く少し入り組んでいるからだと告げられたが。

 それとともに、少し時間が掛かるかもしれないので準備はしっかりしていった方がいいと忠告されたが、ヒヅキとしては保存食の補給が済んだ事でその辺りは解決していた。

 あとは長い縄とかのちょっとした物が必要になるかもしれないが、それをこの村で調達するのは難しいだろう。それに、縄自体は無い訳ではないし。

 そんな話をヒヅキが女性にすると、問題はないだろうと納得していた。であれば、ヒヅキの準備は何もすることがなくなる。

 女性に準備が出来ているのか尋ねると、そちらも問題はないと告げられた。なので、明日の朝にはこの村を出る事を決めて、ヒヅキは女性の部屋を辞した。

 自分が借りている部屋に戻ったヒヅキは、窓の外を1度見てから寝室に移動する。

 女性との話し合いは結構時間を要したようで、既に月明かりが少し薄くなった時間ではあったが、それでも少しぐらい睡眠はとっておこうと思い、ヒヅキは寝台の上で横になる。それから程なくして、ヒヅキは眠りについた。


 そして朝。ヒヅキの眠りは浅いがそれでも睡眠は十分らしく、隣室からの光が明るくなってきている中で目を覚ます。寝る時間が遅かったからか、起床時間は普段よりやや遅い。

 それでも早朝なので問題ない。慌てる事なく上体を起こしたヒヅキは、魔力水の用意をしてそれを飲むと、目をしっかりと覚ます。

 寝台を下りて隣室に移動すると、採光用の小窓に目を向けながら身体を解すように動かす。

 その後に、女性とは朝と言っただけだったのでまだ早いだろうかと思いながらも、最終的な確認を行い、荷物を持って部屋を出る。

 玄関まで来ると、女性が女将と話をしているところであった。手元の台の上にお金が置いてあったので、保存食か何かを購入したのだろう。

 ヒヅキの存在に気がついた女性が、ヒヅキへと朝の挨拶をする。それにヒヅキが挨拶を返しながら近づくと、女将にも声を掛けられた。

 それからヒヅキも交えて三人で少し話をした後、ヒヅキは女性と揃って宿屋を後にした。

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