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テトラ86

 帰ってきた女性に促されるままに、ヒヅキは女性と共に部屋へと向かう。

 到着したのは、いつも通りヒヅキが借りている部屋、ではなくその隣の女性が借りている部屋。

「たまには別の部屋でもいいでしょう。とはいっても、造りは同じなので気分転換にもなりませんが」

 僅かに苦笑を帯びたような笑みを浮かべながら、女性は部屋の扉を開けてヒヅキを室内に招待した。

 それに従い、ヒヅキは部屋の中へと入る。

 部屋の中に入って軽く見回した限りではあるが、部屋の造りは女性が言っていたようにヒヅキの部屋と同じらしい。

 今回はヒヅキが客人という事なのか、ヒヅキは女性に椅子を勧められた。

 それに礼を言って椅子に腰掛けると、女性は温かいお茶の入った湯呑を机に置いた。何処から用意したのかとも思うも、ヒヅキ自身空間収納が使えるので、その辺りの魔法でも使用したのだろう。

 そう思い、特に問う事もなくヒヅキはお茶を1口飲む。女性がヒヅキを毒殺する必要性はおそらく無いので、警戒はあまりしていない。一人で何もかもに対して警戒し続けるというのも結構疲れるものなのだ。

 ヒヅキがお茶を飲んで一息ついたところで、寝室から椅子を持ってきた女性が机を挟んでヒヅキの向かい側に座る。どうやらこの部屋には椅子が2つあるらしい。事前に女性が用意していたのかもしれないが。

 そうして向かい合って座ったところで、女性が話し始める。気づけば女性の前にもお茶の入った湯呑が置かれていた。

「まずはそうですね、神事お疲れ様でした。これでこの村での目的は達成出来たという事になりますが、神事をご覧になっていかがでしたか?」

 村までの道中で交わした会話でそんな話もしたなと思い出したヒヅキは、どうだったかと問われて首を捻る。

 正直な話、視たぐらいではよく解らなかったのだ。何やら凄い事をしている感じはしたものの、解ったのはそれだけ。

 仮面だって、神事用にと提供した剣に魔力を供給していたぐらいにしか解らなかったし、その剣も性能は不明。

 その前の遠雷や鳴動のような現象もよく理解出来なかったので、全体的にヒヅキでは解析不能な事態であった。

 事前知識のおかげで別次元の神と交信するという事を知っていたので、魔力の様子を探った結果、別次元の神と交信しているのだろうなと、辛うじて結論付けただけ。そんな、なんとも情けない結果しか残せなかった。

 ヒヅキは一瞬躊躇しつつも、そんな話を女性にする。

 結局は解らなかったの一言で済む話なのだが、それでも何がどう解らなかったのかも一応付け足しておいた。

 一通り話を聞いた女性は、ふむと頷いて頬に手を添えると、少しの間思案する。

「まぁ、それだけ解れば十分ではないでしょうか。普通でしたら、何が解らないのかさえ解らないほどに何も解らないモノですよ。それこそ村人達がいい例ではないですか。彼らは解らないからと最初から決めつけて思考を放棄、流されるままに驚き、崇めたに過ぎません。そして今は怯えてますね」

 呆れたように鼻から息を出した女性は、神事で何が起こったのかの説明を始めた。

 それによると、まず最初の音や振動だが、次元を動かしていた音らしい。動かしたと言っても、あれだけ大きな音を立てても小指の先ほどだとか。それを成したのは仮面だという話だった。どうやらあの仮面、触れなくとも出来る事が幾つかあったらしい。

 太陽を隠した雲だが、あれも仮面に組み込まれていた魔法だとか。その二つは事前準備に必要だったという訳。

 次元に穴を開け、神の眼でもある太陽を隠したところで次だが、魔鉱石は元々仮面に魔力を供給し、剣は仮面の補助の役目だったらしいのだが、どうやらあの剣は性能が良すぎたらしく、魔力を全て吸い取っていったのだとか。

 しかし、それでも問題なさそうだったので、そのまま続行したらしい。

 どうしてそんな事をしたのかと問えば、剣に魔力が流れて通路が出来ていたので、そちらの方が確実だったからだとか。女性にしか起こせない現象だと思われるので、ヒヅキでは事実かどうかは確かめようがないが。

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