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テトラ79

 そう予想するも、魔力の質の変化には気づけても、魔力の流れについては先程調べたのと変わらない。

 視界は相変わらず強烈な光で満たされているので、直視は無理だろう。

 ではどうするかだが、今のヒヅキではどうする事も出来ない。打てる手が無いのだからしょうがない。

(光魔法が使えるのであれば、こういった事態への対処の魔法もあっていいと思うのだがな)

 一応引き続き女性の周辺や剣の魔力の流れを調べながら、ヒヅキは内心でそう思う。同じ光を司るのだから、強烈な光に対する何かしらの対処法があってもいいだろうにと。

 とはいえ、無いものは無いのでしょうがなく出来ることで出来ることをしていく。

 そうしてヒヅキがあれやこれやとどうにか調べていると、光が徐々に収まっていくのを感じて目を開ける。

 目を開けると、依然として周囲は明るいものの、それでも目を細めれば何とかなる程度。先程までの目を瞑っていても眩しい光に比べれば可愛いものだろう。

 そうこうしている内にも光は弱まっていき、とうとう女性の方に目を向けられる程度にまで弱くなった。

 ヒヅキが女性の方に視線を向けると、仮面から手を離して行儀よく手を揃えて膝の上に置いている女性の姿。

 正座している女性の頭上には光る前と同じように剣が浮いていたが、周囲から視線が集まってくると、剣はゆっくりと三方の上まで移動していき、最初と同じように横向きで上に載った。

 それを合図にしたかのように、大きな音で音楽が奏でられる。観客を高揚させるような曲調だが、ヒヅキはそんなものは気にせず剣に視線を送る。

(もう何も感じないな)

 強烈な光を発している時に剣の中から感じられた魔法の反応は、今の剣からはとんと感じられない。やはりあれだけはっきりと魔法を発動している時でないとヒヅキでは外から調べるということは出来ないらしい。

 それに諦めたように小さく息を吐いたヒヅキは、そのまま視線を剣から女性の方へと移す。

 女性は変わらず舞台中央に正座しており、仮面を被っている顔を正面に向けたままだ。しかし、ヒヅキには何となくその仮面の奥から視線が向けられているような気がした。それもいつもの優しげな感じではなく、観察するような見極めるような、そんな線を引いたような冷たさを感じる視線を。

「………………」

 そんな視線を感じたヒヅキは、はて何かしただろうかと首を捻る。剣を調べはしたが、そのぐらいは事前に想定出来た事だろう。であれば別の事だろうが、ヒヅキには特に心当たりはない。敢えて言うなら、どこまで調べられたのかを見定めようとでもしているのかもしれない。と漠然と思ったぐらいだ。

 とりあえず、今すぐどうにかなるモノでもなさそうなので、ヒヅキはその視線は気にしない事にする。

 それから少しすると曲を奏でていた音が小さくなり、それを合図に女性の後ろに控えていた三人の女性の内の一人が、中央に座す女性の許へと素早くそれでいて静かに近づく。

 近づいた女性が耳を近づけると、座している女性が何事かを伝える。それを聞いた女性はしっかりと頷いた。

 頷いた女性はそのまま観客である村人達の方へと近づくと、舞台端で立ち止まり、眼下の村人達の顔を一人一人しっかりと確認するように顔を動かしていく。

 それに村人達も緊張した面持ちで応え、緊張した空気が場に流れる。

 一体これから何が起こるのかと思うも、ヒヅキは何となくこの後の流れを理解した。

 なにせ今行われているのは神託を受ける神事なのだから、それを行った巫女から何か言葉を受け取った者がこうして民衆の前に出るとなると、もう後は巫女が受けた神託を皆の前で告げるだけしかないだろう。

 という事は、やはり成功していたのだろう。ヒヅキはそう思いながら、前に出た女性が語り出すのを静かに待った。

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